冬枯れで花が少ないので、ときどきヤシや多肉植物・羊歯植物なども取り上げています
基本的には植物園の名板どおりにしていますが、判別はかなり難しく、?と思うものもあります。
日本に生育するオオタニワタリの仲間としては、
➊オオタニワタリ(大谷渡)、➋シマオオタニワタリ(縞大谷渡)、➌ヤエヤマオオタニワタリ(八重山大谷渡)の3種が知られます。
3種共「つくば植物園」の温室で見ることができます。
チャセンシダ科チャセンシダ(アスプレニウム)属の大型の常緑性シダ植物 着生植物
➊オオタニワタリ(大谷渡) 別名:タニワタリ 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
日本南部の暖地から台湾にかけて分布
葉の裏側。胞子のう群が葉縁近くまで伸びる。
➋シマオオタニワタリ(島大谷渡) 日本、台湾、中国に分布
葉の裏側。胞子のう群は葉軸から葉縁の中間以上に伸びない。
➌ヤエヤマオオタニワタリ(八重山大谷渡) 準絶滅危惧 (NT)
日本・台湾・中国・フィリピンなどに分布
葉の裏側。胞子のう群は葉軸と葉縁の中間以上に伸びないものが多い。
琉球南部の八重山地域では若芽をてんぷらなどにして食べます。
以下の解説は「三重県総合博物館」のHPから引用させていただきました。
オオタニワタリの仲間の特徴は葉の形にあります。
多くの種類のシダ植物には、葉の縁に多数の切れ込みがある羽状分岐がみられ(別図参照)、これが一般的なシダの葉のイメージとなっています。
しかし、オオタニワタリの仲間の葉では、縁の切れ込みがみられない単葉全縁であり、長さ1m近い葉を根元から放射状に広げる大型シダであることから、見た目からも他のシダとは明確に区別することができます。
【別図】シダ植物の葉の形状例
その一方で、オオタニワタリの仲間である3種はよく似ているため、種類を判別(同定)するためには葉の細部の違いで見分ける必要があります。
同定のポイントとしては、葉の裏についている「胞子のう群」(ソーラス)の長さや、「チュウロク(中肋)」(葉の中央の軸)の形状などがあります(別表参照)
【別表】オオタニワタリの仲間を区別するポイント
オオタニワタリ (Asplenium antiquum Makino)
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葉の裏にある胞子のう群(ソーラス)が中肋(葉の中央の軸)から葉縁近くまで伸びる。日本では伊豆諸島・紀伊半島・九州(西部・南部)・琉球などの暖地でみられる。
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シマオオタニワタリ (Asplenium nidus L.)
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葉の裏にある胞子のう群は中肋から葉縁の中間以上に伸びない。葉の中肋は胞子のう群の付く裏面でほぼ扁平。日本では屋久島・種子島以南の琉球と小笠原北硫黄島にみられる。 |
ヤエヤマオオタニワタリ (Asplenium setoi N.Murak. et Seriz.) |
葉の裏にある胞子のう群は中肋(中央の軸)から葉縁の中間以上に伸びないものが多い。葉の中肋は胞子のう群のつく裏面で著しく盛り上がり2段にみえる。日本では沖縄本島以南と小笠原にみられる。 |
オオタニワタリは、大きな葉を生け花に使ったり、鉢植えなどの園芸植物として、主に観賞用に利用されています。
オオタニワタリの仲間は欧米でもBird's nest fern(鳥の巣シダ)と呼ばれ人気があります。
なお、近年、オオタニワタリの名で花屋に並ぶ鉢物のほとんどは近縁のシマオオタニワタリとのことです。