田舎へ行ってご/見てご!

二地域居住(田舎暮らし)、花・写真、古民家めぐり、旅、日々のあれこれなど。

長塚節(たかし)生家:常総市

2018年10月31日 | 古民家っていいなぁ。(県外)
下妻市の古民家café「あかり家」での昼食後、常総市(旧結城郡石下町)にある「長塚節(たかし)の生家」(茨城県史蹟指定文化財)を訪れました。
こちらは今でも長塚家の子孫の住居(東京在住)になっており、この日は案内人(飯塚さん)から一つ一つ丁寧に説明を聞くことが出来ました。

歌人であり、小説「土」で有名な作家でもある長塚節の生家は、町の北より、鬼怒川から約1km西に離れた位置にある大字国生にあり、田畑が広がる平坦地です。
節は3歳のころ小倉百人一首をそらんじて、神童といわれましたが、病弱で病気療養を兼ねて諸国を歩き、九州で、37歳の生涯を終えました。

屋敷の南面は道路に面し東西約60m余り、南北は80m余りで東南角が鋭角に変形している広大な敷地です。建物は江戸時代後期に建てられました。

長屋門全景

長屋門の入口

入口脇に建つ節の銅像
南道路に面して建つ桁行17.5m、梁間5.5mの大きな瓦葺の長屋門を入ると、正面に南面して茅葺の主屋が建っています。

長屋門と主屋との間は、ほぼ長屋門の桁行巾を方形とした空間です。
主屋は西方に書院を突出部として接続した規模の大きな建物(桁行9間、梁間6.5間)で、屋敷のほぼ中央に位置します。

長屋門の西端から主屋の書院境にかけて瓦葺の屋根塀を設けて西側を内庭と区切り、中央に本瓦葺の中門(切妻、本瓦葺)があります。

中門の両サイドにある彫刻。こちらは亀が3匹。反対側は鶴が3匹です。
内庭は自然木と庭木を巧みに配置した庭園です。
長屋門の両脇の道路沿いは樹木で囲み、門の東には納屋があります。
背面は樹木と竹林に覆われ、書院の後方に稲荷社(屋敷神)、その後に土蔵が一棟が建ち、背後は竹林が繁っています。 (説明は県HPより引用)

書院(桁行5間、梁間5間)へはここで靴を脱ぎ、障子を開けて入ります。

一般公開されているのは書院のみで母屋は現在でも持ち主が利用しているそうです。
書院の内部。節が実際に旅の道中、お気に入りの詩を記しながら使用した旅傘や愛用していた机、直筆の原稿や手紙なども見ることができます。

豪農ぶりを伺わせる生家の庭とのことですが残念なことに管理が行き届かず荒れた印象でした。
最後にお恥ずかしながら、私は民文学の名作『土』を読んだことも無く、長塚節の名前すら知りませんでした。
なお、長屋門の向かいにある案内所は毎週土、日、月曜日オープンで、案内時間は午前10時から午後4時です。

この後、坂東市にある「逆井城跡公園」を訪れました。別ページへ。

あかり家:下妻市

2018年10月30日 | 古民家っていいなぁ。(県外)

27日(土)、見世蔵巡り(結城市)の後、昼食を予約していた下妻市の「Gallery&Cafe あかり家」に向かいました。

あかり家は昭和4年(1929年)に建てられた元材木商の店舗兼住宅をリノベーションし、2004年にオープンしたカフェです。

外観は築約90年の昭和レトロな趣きのある2階建ての古民家です。国道125号線に面しており、右側の妻側中央に玄関があります。(妻入り)
ランチを予約した際に予め建物を見学したい旨、お願いしたら快く了承して頂き、先ずは建物探訪から。

玄関を中に入るとホールが吹き抜けになっていて、正面上には神棚が置かれています。照明が点いているところが2階和室。

玄関を内側から見たところ。

玄関ホール。

中央の一段上がったところが和室、左がギャラリー、手前のホールにもテーブル席があります。古民具などがディスプレイされていて雰囲気いいですね。

幅が1間(1.8m)もある古い神棚。

玄関を入って右側にある薪ストーブ。奥がキッチンです。

私達は1階の和室のテーブル席に通されました。こちらの陶器のランプシェードはご主人の作だそうです。
こちらの部屋は床の間と書院のある和室に絨毯を敷いてあり、書院欄間には無垢の杉柾に「富士山と松林」の透かし彫り加工(絵柄を切り抜く工法)を施してあります。書院の組子障子も年代を感じさせる趣があります。

1階の座敷と玄関ホールの間の欄間にも「透かし彫り欄間」があり、「波と千鳥」の図柄が彫られています。

また、和室を囲むように庭側が縁側になっています。木の引戸が年代を感じさせます。

縁側のコーナーに藤の椅子が置かれ、お洒落なカップが飾られていました。

建物の正面にあたる元店舗だった部屋。作家さんの益子焼を販売しているギャラリーがあり、こちらにもテーブル席があります。

ご主人が作られた陶器も展示されています。

玄関ホール左手にある階段を2階に上がるとこちらは出書院(別名:付書院)、床、床脇のある本格的な座敷。書院障子(組子障子)の桟の繊細な図柄も見ものです。

2階和室から見た吹き抜け。

2階から吹き抜けを見下ろしたところ。この部分は元々床があり部屋だったのですが、吹き抜けにする為、床・天井部分を取り払ったそうです。

2階の天井も取り払ってあるので、小屋組みが見え、開放感のある素晴らしい空間になっています。

2階廊下のレトロな乳白色の照明がいいですね。窓は模様のあるガラスになっています。

日替わりランチは、2段重ねの弁当箱(左の2つ)で1,100円(コーヒー付)。量が少ないかもと心配していましたが杞憂に終わりました。
なお、料理は奥様が作られる家庭料理が中心で、コーヒーはご主人が焙煎しているそうです。因みにこちらの建物はご主人の生家です。

この後、常総市にある「長塚節の生家」に。続きは別ページで。


見世蔵めぐり:結城市

2018年10月29日 | 古民家っていいなぁ。(県外)
「結城紬(重要無形文化財)」で有名な「結城市(人口:5.2万人)」に友人5人と出かけました。この日は生憎の曇天でしたが雨が降らなくてラッキーでした。
今回の目的は主に「見世蔵(店蔵)」巡りです。結城市には国の「登録有形文化財(建造物)」になっている「見世蔵」が沢山残っています。
「見世蔵」は蔵の一種で江戸期からの商店建築様式のひとつで店舗・住居を兼ねるものです。
用途は倉庫ではなく店であるため妻入りではなく、桁方向を前面開口とし、三和土(たたき)と畳座敷で構成されています。
「土蔵造り・蔵造り」と言われる米穀、酒、繭などの倉庫や保管庫として建てられるものとは分化して発展してきました。
日本語における「みせ」の語源は、「見世棚(みせだな)」に由来しています。「見世棚」とは商品を陳列する棚のことであり、鎌倉末期より言葉自体は存在し、台を高くして「見せる」ことから「見世」となり、室町期に至って、「店」の字が当てられるようになったとのことです(Wikipediaより)

結城市には現存する「見世蔵」が30棟、うち「登録有形文化財(建造物)」は12棟です。見世蔵以外も含めると15件、31棟あります。(カウントミスはご容赦を!)

この日、結城市役所で「結城市観光ボランティアガイド」の方と落ち合い、2時間かけて街なかを案内して頂きました。
今はすっかり復旧していますが、瓦屋根の見世蔵などは、3.11の大地震で、瓦がかなり落ちる被害があったそうです。


「鈴木紡績見世蔵」。明治39(1906)年に奥の座敷(住居部分)とともに建設。

「お休み処ふじの蔵」。切妻平入・木造2階建ての見世蔵で、現在は無人休憩処です。

「結真紬」(切妻・平入り、土蔵造・2階建・瓦葺)。外壁全体を黒漆喰仕上げとした典型的な関東の見世蔵。

結真紬看板。もと呉服屋と見世蔵の住居で、昭和26(1951)年に紬問屋となり,同55年から現在の結真紬の店舗になりました

結真紬の壁面に付いている頑丈な太い鉤型の釘を「折れ釘」といい、土蔵の壁の塗り替えや屋根の補修をするとき足場を組みやすいように、また火事のときには火消しが屋根にあがる足掛かりになるように取り付けてあるのだとか。

「赤荻本店見世蔵」(土蔵造2階建、瓦葺)。明治初年以来、この地でお茶の販売を続けてきた老舗。

「小倉商店店舗兼主屋」。店舗は木造2階建、切妻・平入・桟瓦葺,桁行4間・梁間5間。

「結城紬郷土館」。結城紬の歴史、生産工程等に関する資料の展示など。

1階は結城紬資料室。2階で機織りの実演を見学しました。

「秋葉麹味噌醸造見世蔵」。見世蔵の奥に続く工場で味噌の醸造をし、見世蔵でその販売を行っています。

内外装ともに当初の姿とはかなり異なる。現在の正面外観は、昭和9年、結城駅に通じる県道拡張の際に、前面1間半を切り取ったため出来上がったもの。

蔵の中には大きな木の味噌樽。竹の箍(タガ)で締めた木の樽ですが、現在ではこんなに大きな箍(タガ)を作れる人がいないそうです。
味噌汁、漬物をサービスで頂き、お土産に、なめみそ(辛口)「繁盛ナス」を購入。ご主人商売うまいよ!

「称名寺二条門」。寛永3(1626)年に建造された総欅造りの平屋根瓦葺の門(市指定文化財:建造物)

地震前は常時開門していましたが、地震で傾いたため裏側に支柱をし、常時閉門状態。

「武勇見世蔵」。銘酒「武勇」で知られる(株)武勇。(土蔵造2階建,瓦葺)建設時期:幕末。

武勇脇蔵、旧釜蔵

「結城酒造」。安政6(1859)年の酒造鑑札を持つ、老舗の酒蔵。高さ10メートルの煉瓦煙突は、安政蔵の北側にあり,、治36(1903)年の建設と伝わります。

「弘経寺(ぐぎょうじ)」三門(山門)。浄土宗の学問所 関東18壇林の1つ。

本堂。1595年、秀康の長女松姫の菩提を弔うために創建された寺院で創建以来一度も焼失していない。

結城家18代秀康(徳川家康の次男)の長女松姫の墓。

境内にある江戸時代の俳人、与謝無村の句碑。

「奥庄店舗兼主屋」。奥庄の創業は1831年と伝えられ、以後、澤屋庄兵衛商店の名で代々紬問屋を営んでいました。「奥庄」と改称したのは昭和38年。

「奥順」店舗(木造2階一部平屋建、瓦葺)大正初期建造。

奥順壱ノ蔵。建物の造りから明治期に建設されたものと考えられています。現在はギャラリー喫茶として利用。お茶をする予定でしたが時間が足りずパス。(弁当も予約できます)

奥順見世蔵(土蔵造2階建,瓦葺)。結城澤屋、結城紬の専門店「弐ノ蔵」を改装

「キヌヤ薬舗」。見づらいですが薬の看板(お宝?)。店舗は2階建の切妻・平入り・桟瓦葺で,前面に半間の下屋庇。

奥順離れ(室内)。見世蔵と同じ明治19(1886)年の建てられる。

「古民家陳列館」。常時200点以上の結城紬を展示。150年にわたり風雪に耐えてきた重厚な古民家を、結城紬の陳列場として移築。

本場結城紬 染織資料館「手緒里」

結城紬ミュージアム「つむぎの館」。奥順(株)が、創業100周年を記念して、より多くの方に結城紬を知ってもらいたいという想いから作られた施設。

「結城蔵美館」。本蔵,袖蔵の2棟から構成される観光スポット。

小屋組み。

「旧黒川米穀店」。明治45(1912)年に建設。現在はパン屋として利用されている。


「市立結城小学校」。茨城県内で創立が2番目に古い小学校。
ここは、「結城行在所(あんざいしょ)跡」で、明治40年に大本営が設けられ、7日間、明治天皇、総理大臣など政府高官が滞在し、執務したところです。

今回は中をじっくり見学できる建物も少なく、時間も足りず、駆け足で巡ったので、今度またゆっくり来たいと思います。
この後、市役所に戻り、昼食を予約したgallery&café「あかり家(下妻市)」へ。続きは別ページで。



登録有形文化財って?

2018年10月28日 | 古民家っていいなぁ。(千葉県内)
これまで県内外の古民家など「登録有形文化財(建造物)」を数多く記事にしてきましたが、あらためて「登録有形文化財」について調べてみました。

建造物、工芸品など有形の文化的所産で、歴史上、芸術上、学術上価値の高いものを総称して「有形文化財」と呼んでいます。

このうち、国が指定する「国宝・重要文化財(建造物)」と国が登録する「登録有形文化財」(建造物)があります。※美術工芸品除く
有形文化財のうち,重要なものを「重要文化財」に指定し、さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを「国宝」に指定して保護を図っています。
 〇重要文化財(建造物)は全国で4,998棟(2,489件)(内国宝284棟(225件))
  ※多くの修理事業が国の補助事業として実施。優遇と同時に多くの義務、責任がある。
 〇登録有形文化財(建造物)は11,762件
  ※保存・活用するために必要な修理の「設計監理費」の2分の1を国が補助、固定資産税などの減免。登録することで規制に強く縛られることはない。

「登録有形文化財」は都市開発などで消滅が危ぶまれる近代建造物を守るため、1996年に設けられた文化財登録制度に基づいて登録される。
築後50年以上がたち、歴史的景観や造形に優れ、再現が容易でないのが選考基準。登録されると、修理のための設計監理費の補助や減税の措置が受けられる。
厳しい規制がある「指定文化財」と違い、外観を大きく変えなければ改修や改装も認められます。(朝日新聞掲載「キーワードより)

 〇国宝:「久能山東照宮(静岡市)」や「旧東宮御所(東京都港区)」など
       ※千葉県内には国宝の建造物はありませんが、美術工芸品が4点あります。
 〇重要文化財(建造物):「旧花野井家住宅(野田市)」、「飯高寺(匝瑳市)」、「香取神宮(佐原市)」など
 〇登録有形文化財(建造物):「飯沼本家主屋他(酒々井町)」、「吉野酒造店舗兼主屋他(勝浦市)」、「旧秋葉家住宅主屋他(一宮町)」など


重要文化財指定書:旧徳川家松戸戸定邸(松戸市)

重要文化財:旧吉田家住宅(柏市)

登録有形文化財:旧水田家主屋他:鴨川市


登録有形文化財に登録が完了すると「登録証」と「登録プレート」が交付されます。このプレートは何棟あっても1枚しか交付されません。

登録有形文化財:塩田家住宅主屋(中野家):大多喜町

「登録証」複製(同上)

「登録プレート」(同上)
プレートのサイズは横30cm×縦21cm×厚さ1.5cm。(A4)
重さ約5Kg?の青銅製。「塩化アンモニア」「硫酸銅」「緑青」を水に溶かし(「青銅ふかし」という)、プレートに塗ってあります。
プレートには「登録ナンバー」と『この建造物は貴重な国民的財産です 文化庁』と記されています。個別の建造物の名称は記載されていません。
このプレートは「桐の箱」に入れられ文化庁から交付されます。

まつりだ!まぐろだ!

2018年10月25日 | 日々のあれこれ
21日(日)、久しぶりに「かしわ市場まつり2018」に行って来ました。

かしわ市場は正式には「柏市公設総合地方卸売市場」(柏市若柴69番地の1)と言って柏市唯一の市場です。
4歳の孫と行く予定をしていましたが、風邪で高熱が出てしまい行けなくなりました。

まあ、一人でもいいかと出かけて行き8時半頃に到着しましたが、8時から開催なので既に多くの人が詰めかけていました。



この日は快晴で爽やかな陽気、イベントには最高の日和で、「まぐろ解体ショーと特売」、「一般参加による野菜・果実・花きの模擬せり」、

「新鮮青果や花きの謝恩価格販売」、「縁日広場(場内食品店などによる模擬店)」などに加え、

ビッグバンド「BELL’Z」や「佐々木麻衣歌謡ショー」などのステージイベントもあり、中でも「模擬セリ」が一番盛り上がっていました。
数年前に行った時に比べると規模、内容など縮小した印象でした。
私のお目当てのマグロやこの日限定のハムの詰め合わせなどを購入し、午前中には自宅に帰って来ました。
自宅でテレビを見ていると、この日東京でも大田、豊島、世田谷の3カ所で市場まつりが行われていて、来週も淀橋市場など4カ所で行われるとのこと。
豊洲ばかりが話題になっていますが、都内には全部で11もの「中央卸売市場」があるそうです。

安くて良いものが買える市場まつりはどこでも人気、なかでも「まぐろ解体ショー」は特に人気があり、人だかりでごった返しています。