❶「テマリカンボク(手毬肝木)」と❷「オオデマリ(大手毬)」は、花だけを見ると似ていて区別がつきません。
どちらもレンプクソウ科の落葉低木で白い球状の花は全て装飾花です。
(撮影:’08.05.04)❶テマリカンボクは、❸のカンボクの園芸品種で、花は❷オオデマリと同じように黄緑から白に変化します。
(撮影:’05.04.29)❷「オオデマリ」(別名:テマリバナ、ジャパニーズ・スノーボール)」は、❹ヤブデマリの変種。
また、❸「カンボク(肝木)」と❹「ヤブデマリ(藪手毬)」も花の中央部が小さく、装飾花で囲まれていて、よく似ています。
「ガクアジサイ」の装飾花(萼)と同じような形態です。
❸「カンボク」(別名:ケナシカンボク)の花(撮影:'08.05.08)
'070716 ❹「ヤブデマリ」の花
では、どこが違うかと言うと<葉の形>です。
❶、❸(テマリ)カンボクは、対生した長い柄のある葉はカエデの葉のように浅く3裂しています。
❷「オオデマリ」の葉は卵形(広楕円形)で裂けないので区別できます。
平行する側脈が目立ちます。一般的に花は黄緑から白に変化します。 両性花がないため、結実しません。
'070629 ❸「カンボク」の実と葉中心部に両性花があり、結実します。
果実は液果で球形。まずくて食べられないそうです。
'080504 ❹「ヤブデマリ」の葉も裂けず、倒卵形又は長楕円形で、先端は急に尖り、基部は円形又は楔形です。
果実は赤色から黒色に熟します。
5枚の装飾花の内1枚が極端に小さいという特徴があり、他の似た種との区別できます。
なお、開花期は、❶、❸(テマリ)カンボクが5~7月、❷オオデマリが4~5月、❹ヤブデマリが5~6月です。
❷「オオデマリ」:装飾花がピンク色の品種やピンクと白と咲き分ける品種などもあります。
更にややこしいのが、❸カンボクには❹西洋カンボクと❻西洋テマリカンボク(別名:ビバーナム・スノーボール)があるところです。
❺「西洋カンボク(別名:洋種カンボク)」は、ヨーロッパから北アフリカにかけ分布する原種。
果実は苦味が強く、生食するには適さないそうです。
❻「西洋テマリカンボク(スノーボールの名前で流通)」は、❺西洋カンボクの園芸品種。こちらも花は緑色から白色に変化します。
❺西洋カンボクは、❸カンボクに比べて樹皮が薄くて割れ目が少ない点や、葯の色がカンボクは紫色なのに対し❺セイヨウカンボクは黄色である点などで識別できるそうです。
ヤブデマリに似た花もあります。
’050522 ❼「ムシカリ(虫狩)(別名:オオカメノキ)」(レンプクソウ科)
花期は4~6月。葉脈がシワ状に目立ち、葉の形が亀の甲羅に似るため「大亀の木」と言う。
’050522 ❹❹ヤブデマリに似ていますが、装飾花が5裂し、裂片はほぼ同じ長さなので、前述の装飾花の違いで区別できます。高さ2~5m 。
❼ムシカリ実と葉(撮影:’06.07.10)
また、花序の基部に柄が発達せず、葉腋から直接出るのも特徴。葉の基部はハート形に窪みます。実は、鳥が好んで食べるとのこと。若葉は、縁を中心に茶系の色だが、葉が成長するにつれて、緑色一色になります。
❽「ビバーナム」(レンプクソウ科)。園芸的には「ガマズミ」や❷オオデマリなど日本に分布する種を除く外国産ガマズミ属の低木を指すのが一般的。写真は「ビバーナム・カールセファラム?」