
【村民の声・特別編】
もう独居老人とは呼ばせない!
玉井秀幸 (白井健康元気村村長)
牝猫3匹とラブラブ生活
長年連れ添った妻に旅立たれたのは、昨年のことです。子供たちはとっくの昔に巣立っていますので、独り暮らしになった私のことを、寂しい「独居老人」と思っている人もいることでしょう。しかし、私は全然寂しくはありません。
なぜか。
私のことを「パパ」のように思い込んでいる3匹のかわいい猫ちゃんがいるからです。しかも3匹ともメス。いつも私にまとわりついて甘えまくってくれるので、私には本当の娘みたいな存在です。
私が一方的に話しかけると、「にゃーん」でなく、「ニャン」とか「ニャンニャン」とか短い鳴き声で答えてくれます。それが「そうよ」「いやだぁ」「うっそー」「うん」とかに聞こえるから不思議ですね。だから、お互いに気持ちは十分に通じ合っているのです。早い話が猫ちゃんたちとは、いつも会話を楽しんでいると思ってください。
キョウヨウとキョウイクがボケない秘訣
でも、『徒然草』の「あやしうこそ ものぐるほしけれ」ではないけど、周囲の人から正気を失ったのではないかと思われるかもしれません。そこで私は「キョウヨウ」と「キョウイク」の標語をモットーに日々を過すことにしました。
ある高名な人物の講演会に行ったときのことです。講演が終わりに差し掛かり、その人が結びの言葉として、こう言ったのです。
「みなさん、70歳を過ぎたら『キョウヨウ』と『キョウイク』を大切にしましょう」
えっ、今更「教養」と「教育」だなんて。一体何を言い出すのだろうか。会場のみんなが私と同じように思った筈です。その講師が説明を始めました。
「私が言う『キョウヨウ』と『キョウイク』とは、『今日(キョウ)、何か用(ヨウ)がある』『今日、どこかに行く(イク)ところがある』という意味です。つまり、何もしないで、ボーっとしているのではなく、積極的な日々を送ることが大切だということです。みなさん、それがボケない秘訣だと思いませんか?」
なるほど、そういうことか。いや、まさにそのとおりではないですか。いいことを聞いたものです。
(さあ、これからは積極的な日々を過ごそう!)
と私は秘かに決心したのです。
「無財の三施」で「健康寿命」を延ばす
しかし、こうも考えました。
どこにでも顔を出し、よくしゃべる人がいます。積極的なのはいいのですが、他人の悪口と自分の自慢話に終始する人が少なくありません。なんとも嫌なタイプではないですか。愚痴ばかりこぼす人も敬遠されます。さらに人間、年をとると頑固になり、ひねくれた性格になりがちです。困ったことですが、それも事実です。
そこで、もうひと決心。
経典の中に、「無財の七施」というのがありますが、たとえ7つの施業(施し・善行)ができなくとも、財のない私でも、施しの3つくらいはやらねばと思いました。その3つとは、
①慈眼施:慈しみの眼・優しい目つきで接する。
②和顔施:おだやかで、にこやかな顔で接する。
③言辞施:誠と優しさのある言葉をかける。
この3施が通じるのは、なにも人間だけではありません。そう、猫ちゃんにも通じるのです。優しい目つきでニコニコして、「ミーはかわいいねー」「 チィロちゃんもかわいいよ、ハイハイ、こっちにおいで」「ポーちゃんはお利口さんだねー」と声をかけてあげると、必ず体をくねらせて、「ミャーオ」とすり寄ってきます。猫や犬を飼っている人なら、ご理解いただけることでしょう。
このように私は「キョウヨウ」と「キョウイク」を心掛けるとともに、「無財の三施」をモットーに、心豊かに毎日を過ごしています。それが「健康寿命」を延ばし、75歳以後を「光輝・好齢」に変えることにつながると確信しています。みなさん、今後のご参考になったでしょうか。
海上自衛隊の哨戒機パイロットから下総教育航空群司令へ
【玉井秀幸さんの略歴】
昭和15(1940)年10月4日生まれ。愛媛県伊予市出身。防衛大学校を卒業(7期生)し、海上自衛隊へ。哨戒機P2Jのパイロットとして全国の航空基地に勤務する。その間、防衛庁(六本木)海上幕僚監部装備体系課で「P3C(現・哨戒機)100機態勢」の整備に従事したことも。自衛隊広島地方連絡部長を経て、平成5(1993)年に海自下総教育航空群司令に。それが白井との縁だった。群司令を3年間勤め上げ、平成8(1996)年3月に退官する。一時、家族と横浜で過ごすが、平成18(2006)年、懐かしの白井に移り住む。白井シニアライオンズクラブ(現・会長)などで数々のボランティア活動を行う。平成24(2012)年の秋の叙勲で瑞宝小綬章を授章。平成29(2017)年4月、白井健康元気村の村長に就任した。母猫のミー(12)、娘のチィロ(10)とポー(10)の3匹と暮らす。
★ミーは令和元年10月にあの世に召されました。