池田一貴さんの短期連載小説(上・中・下=毎週火曜日)
矢切の渡し 関八州夢幻譚(下)
源次楼の留守を狙った忠治は、百合の香を力づくで……
八 板割の浅太郎の無残(承前)
与えられた田部井村の農家で、源次楼と仲睦まじく暮らす百合の香は、不器量とはいえ、幼い面影をのこす初々しい新妻だと、周囲から好感をもって . . . 本文を読む
池田一貴さんの短期連載小説(上・中・下=毎週火曜日)
矢切の渡し 関八州夢幻譚(中)
これは夢なのか。蚊帳の中で見た女は……
四 満月の夜の変身(承前)
源次楼(げんじろう)は頭が混乱していた。さっきまで蚊帳(かや)のなかで寝ていたのは、柴又生まれの不細工な娘、百合の香(ゆりのか)だったはずだ。それが今 . . . 本文を読む
池田一貴さんの短期連載小説(上・中・下=毎週火曜日)
矢切の渡し 関八州夢幻譚(上)
ふとしたことから醜女と駆け落ちしたのだが……
一 駆け落ちをせがむ醜女
小雨のそぼ降る利根川の堤に、母の姿を見た。傘もさしていない。 「おっ母さん、ごめんなさい……」 舟から頭を下げる娘に対 . . . 本文を読む