わん太夫の迷路

気ままに人生を送りたいな~、との希望的観測と共に

五月の風に揺られて美術館散歩

2013年05月09日 15時53分52秒 | 美術散歩

五月晴れの好い天気の中、3つの美術館を回ってきました

原宿駅をスタートし、徒歩5分ほどの所にある太田記念美術館。

「北斎と暁斎奇想の漫画展

北斎漫画を中心としてそれぞれの作者の展示である。

連休中ということもあり、お客は外国人がほとんど。

日本人のお客が極端に少ない。

http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/index.html

 

 

次にここから表参道を一気に下り(実際は上り坂ですが)南青山の根津美術館へ。

尾形光琳の燕子花図屏風を観る。

光琳は絵の上手さというよりもデザインや図象に優れている。

http://www.nezu-muse.or.jp/

 

 

根津美術館をあとにし徒歩10分ほどで山種美術館に着く。

ここでは「百花繚乱 -花言葉・花図鑑ー 」を観る。

近代日本画の名品がそろっているが、この季節ならではの

まさに百花繚乱気分も明るくなる鑑賞でした。

http://www.yamatane-museum.jp/

 

帰りは恵比寿駅まで緩やかな下り坂をのんびりと歩く。

新緑の楽しい一日でした。

 

 

 

 

 

 


新人の女性運転手さん

2011年12月26日 15時27分07秒 | 美術散歩

 

先日小田急線の普通電車に乗ったら,

運転手さんが新人の若い女性。

凛々しくかぶった帽子の後ろから,束ねた髪を長くたらしていて,

いかにも初々しい感じ (^u^)

運転室には指導員と思しき教官運転手が添乗。


女性運転手は,始発の新宿駅から元気いっぱいで呼称確認を行い,

溌剌として運転に取り組んでいる。

発車ベルの確認,ドアーの開閉の確認,ホームの状況の確認,

途中通過する踏み切りの手前での警笛,などなど・・・・

一生懸命の運転。頼もしく拝見し,そして楽しく電車に乗らせていただきました。


これからも頑張ってください \(^o^)/


草月 いけばな展「花遊ぶ」

2010年11月11日 10時51分45秒 | 美術散歩

11月3日~8日と期間が短かったのですが、

知り合いの方からチケットをいただいたので行ってきました。


会場は日本橋高島屋ですのでやや手狭ですが、旨く仕切りをつけての展示。

会場内は大勢の人でごった返しておりましたが、

殆んどは関係者かと思われました。

皆さんカメラ持参で、思い思いにシャッターを切られていました。


本展を見た感想は、私が今まで知っていた「生け花」とは程遠いもの。

花嫁修業で習うような「お花」とは全く違うもの。

これはまさに「あーと」 ほとばしるエネルギーを見るよう。

空間を自由奔放、縦横無尽に占め、正に整然と混沌との饗宴でした。

 

 


誕生日を迎賓館で \(^o^)/

2010年07月28日 15時29分09秒 | 美術散歩

    

昨日誕生日を祝う為に赤坂の迎賓館に行ってきました。

そうです、御呼ばれしてきました。

と言っても、参観に申し込みそれに当ったわけです。

学生時代に四谷の土手からよく眺めていました。

当時は、司法修習所だったか、裁判官弾劾裁判所とかだったような・・・・

ちょっと記憶が定かではありません。


西門から入り、厳重なる手荷物検査とボディーチェックを受けたあと、

いざ建物の中へ。と言っても建物内は撮影禁止なので、画像をアップできません。



参観コースは決まっていて、人の流れに沿って着いて行きます。

中は白い空間に囲まれた廊下があり、それを通って先ずは、「彩鸞の間」

「さいらんのま」と読む。いとも煌びやかな空間であります。

ボランティアのガイドの方が説明をして下さる。

部屋は広いのですが、参観コースはロープで仕切られそれ程広くない。

次に、「花鳥の間」

晩餐会などに使われる広間。

壁には七宝焼の天才・涛川惣助(なみかわそうすけ)の四

季折々の花鳥の七宝焼きが飾られており見応えがあります。

次に、「朝日の間」

国賓・公賓のサロンの場として使われるそうです。

ノルウェー産の大理石の円柱が印象的です。

さらに、シャンデリアや西陣織などの壁掛けなども見事なものです。

そして最後は、「羽衣の間」

天井に能の「羽衣」が描かれているところからそう呼ばれているとのことでした。

オーストリアから大統領が国賓としてこられた時、天皇皇后両陛下の御前で

ウィーンフィルの弦楽五重奏団による演奏がされたところだそうです。


廊下には随所に花瓶を載せたテーブルがあり、天井からはシャンデリアが下がる。

そんな素敵な空間で誕生日を過ごせたのは至福の喜びでした。


中庭には噴水があり、夏の強い陽射しに涼を与えてくれています。

全体の印象は、ちょっと小ぶりなベルサイユ宮殿というところでしょうか。


http://www8.cao.go.jp/geihinkan/photo.html


今日は3月3日、桃の節句

2010年03月03日 13時20分23秒 | 美術散歩

 

でも今日は夜の予定[m:235]があるので、

昨晩前倒しでお祝いを。

といっても、家内と二人でこじんまりと

  

ちらし寿司に蛤のお吸い物。

飯台は家族全員のときのだから、明日の昼の分も作ってしまったとのこと。

白酒の変わりに、発売されはばかりの「シルクヱビス」で乾杯

昔は娘たちの賑やかな声が響いていたのだが・・・・・

 

 

シルクヱビス発売キャンペーン
http://www.yebisubar.jp/silk/


受動喫煙規制に関して (≧▽≦)

2010年02月16日 09時24分25秒 | 美術散歩
中央区も含め、23区どこでもそうでしょうが、

公園内は禁煙であり、看板も出ています。

だのに、いつの間にか、喫煙者のための憩いの場と化しています。

公園内で喫煙させないため、入り口で吸殻を捨てさせようと置いた灰皿。

これが原因で喫煙者を公園に吸い寄せています。

公園の入り口にあった灰皿がいつの間にか、

公園の中のベンチのそばに移動されていて、

更に喫煙者を呼び込んでいる。

以前は子供連れのお母さんたちで賑わっていたのが、

最近は専ら喫煙サラリーマンの為の『憩いの場』となっています。
 
 
更に不思議なのは、『駅構内は禁煙』のはずなのに、
 
駅中にある飲食店では喫煙がOK。
 
更に驚くことには、駅員事務所で、勤務中に吸っているタバコの煙が、
 
駅員事務所の換気のため換気扇で駅コンコースに流していたりとか、
 
踏み切り待ちしているときに換気扇からシャワーのように煙を浴びせてくるとか。
 
こんなことだから、ひと気のいないはずの地下鉄のトンネル内で火災が起きるのですよ。
 
 
そもそも地下鉄の駅構内が禁煙になったのは、
 
ロンドンの地下鉄で、タバコの火が原因で火災が起きたからではなかったんですか

世界遺産 アンコールワット展

2009年12月28日 14時35分38秒 | 美術散歩

    

三越日本橋本店で開催された、アンコールワット展に行ってきました。

アンコールワットはカンボジア内戦の影響もあり、

存続が危ぶまれる「危機遺産」としてリストアップされていました。

上智大学石澤良昭学長を中心とする上智大学アンコール遺跡国際調査団は、

単なる遺跡発掘に止まらず、現地で人材を育成しながら保存活動も行ってきました。

その結果、アンコールワット遺跡群は「危機遺産」から解除されました。


ところで、昨日は初日、しかも10時開場なのでそれに合わせて行きましたところ、

な、なんとびっくり (@_@;)

会場内は人で溢れていました。

11時から石澤学長によるギャラリートークがお目当てなのでしょうか。

ギャラリートーク開始前に展示品をザーッと観ておきましたが、

学長のお話しが始まる頃は、会場内は人で溢れかえると言うか、

朝の通勤電車に乗り合わせたようで、先生の声は聞こえるのですが、

お姿はおろか、解説をされている作品がどれなのか観ることもできませんでした。

そんな中、見知った顔がちらほら。

とにかく凄い人の数でした。

日本人にとっては人気が高いアンコールワットなんでしょうね。


   
 図録表紙と裏表紙

アンコールワットの彫像はそもそもは仏像彫刻から始まり、

その後ヒンズー教の神像へと移行していきました。

しかし近隣のインドの影響を強く受けたとはいえ、

その形や表情など、カンボジア独特の特徴が見て取れます。

インドの彫像よりも、より生身の人間に近い感じがします。


詳細はこちら http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/angkorwat/

 

 

 

 


『浮世絵百華』:平木コレクションのすべて

2009年11月20日 17時12分24秒 | 美術散歩

            


『浮世絵の美と歴史』を5回の講座で受講していました。

講師は、平木浮世絵美術館館長の佐藤充信先生。

平木コレクションは以前、リッカー美術館を展示の場所としてきましたが、

諸般の事情から、現在は豊洲での展示となっています。

所蔵品は菱川師宣から伊東深水まで、重要文化財11点を含め約6000点もあるそうです。

質量から、東博の松方孝次郎ゆかりのコレクションに次ぐものと言われています。

そのコレクションが、『浮世絵百華』と銘打って、開催されます。

前期:11月21日(土)~12月13日(日)

後期:12月15日(火)~1月11日(月・祝)

場所:たばこと塩の博物館


平木浮世絵美術館 http://www.ukiyoe-tokyo.or.jp/

たばこと塩の博物館 http://www.jtnet.ad.jp/WWW/JT/Culture/museum/WelcomeJ.html 


池上英洋先生のご講座『レオナルド・ダ・ヴィンチとともに歩く、ルネッサンスのイタリア』を聞く

2009年11月19日 17時10分14秒 | 美術散歩

昨日は中央区民カレッジの講座、

『レオナルド・ダ・ヴィンチとともに歩く、ルネッサンスのイタリア』を受講してきました。

講師は恵泉女学園大学准教授の池上英洋先生でした。

第1回目は、『レオナルドを介して見る、ルネッサンス当時の社会と人々の暮らし』

講座の内容は、レオナルドを以下のように分析したものです。

1.最も偉大な芸術家、思索家の一人

2.謎が多い・ドラマに富む

3.ルネッサンスを理解するために最適のモデル


レオナルドの名前は、以下のように実に長い名前、寿限無ほどではありませんが。

『ヴィンチ村のアントニオの息子で公証人のピエロの息子のレオナルド』


それはさておき、レオナルドの生い立ちについては、早くから実の母から引き離され、

祖父のアントニオの下、フィレンツェ郊外のヴィンチ村で幼少期を過ごしたとのこと。

また、父ピエロは、その後4人の妻を順次迎えているが、それぞれ死別してからの再婚になります。

何故かと言うと、当時のお産は女性にとってかなり過酷なことで、産褥に伴う死亡率は、

何とペストについで2位とのこと。

お産は女性にとっては正に戦のようなもの。

そのためか女性の墓碑には出産風景が描かれているのが多い。

ちなみに男性の死亡率は、1位はやはりペスト。2位は戦死だそうです。

ですので男性の墓碑には戦闘場面が描かれていることが多い。

当時は男性は家族を養えるほどの資産が無ければ結婚できず、

婚姻年齢も高いようである。

一方女性は16~18歳で嫁ぐのが一般的であるが、

その際持参金が必要になる。

何のための持参金かと言えば、亭主とは年齢差がかなりあり、

当然のことながら先に逝ってしまうので、若くして未亡人になる。

そうすると、そのあとの長い人生のための生活資金の備えとなる。

従って、何らかの理由で、亭主と別れるときは、その持参金は持って帰ることになる。

ちなみにイタリアはカトリックの国で、離婚は認められていない。


当時の社会情勢は、親の仕事を息子が継ぐのであるが、親の仕事を継げない次男三男は、

都会に出て工房などに入ったり徒弟奉公をする。

レオナルドも15~6歳の頃にヴェロッキオの工房入りをしている。

 
 キリストの洗礼:ヴェロッキオ

 
 同上の「キリストの洗礼」(部分):レオナルドの手になる

女性はと言えば、持参金の無い場合には結婚ができず、職を求めて都市に出ることになる。

都市には独身男性が多く、必然的に女性を求めることとなる。

当時は都市には需要と供給ではないが、娼婦もかなりいたようです。

ヴェネチアでは女性の10人に1人は娼婦であったとか。



そこで社会の大問題となったのは、母親のいない乳呑み児の大量発生です。

産褥で母親が死んでしまったり、父親一人では育てられなくなったり、

果ては産んだ子供を育てられない事情を持つ女性等々。

そんな事情もあり、フィレンツェでは、、捨児養育院が建てられました。

今で言う赤ちゃんポストです。

一見華やかそうなルネサンス期ですが大変な時代だったわけですね。

 

 
 ドメニコ・ギルランダイオの建築ですが今は美術館になっています


ドメニコ・ギルランダイオの「三王礼拝」が見れるそうです

 


こちらはおまけ

 
 受胎告知:レオナルド・ダ・ヴィンチ

 
 最後の晩餐:レオナルド・ダ・ヴィンチ

 
 自画像:レオナルド・ダ・ヴィンチ


 
 ちなみにこちらは、レオナルドを尊敬していたラファエロのアテネの学堂の部分ですが、

左の人物はプラトン。レオナルドの自画像にどことなく似ていませんか (^u^)

 

 


「牧島如鳩展 ~神と仏の場所~」

2009年08月25日 12時37分03秒 | 美術散歩

前から行こうと思いつつ、すっかり忘れていた美術展に行ってきました。

「牧島如鳩展 ~神と仏の場所~」と「上村淳之展-唳禽を描く」です。


牧島如鳩は山下りんに師事を受けたと聞いていたので、

聖母子 釧路ハリストス正教会 :山下りん 

本展はイコンが沢山見られるだろうと期待していたのですが・・・・・

入り口から数点の展示は確かにそうでしたが、進むにつれて只ならぬ空気を察知してしまいました。

イコン

祈祷の天使

 

ロシア革命以後、ロシア正教会から資金援助が乏しくなり、日本的な主題をも取り入れたが・・・・

その取り入れ方が凄い。

日本人の宗教画家河野通勢にも似ているのだが、どことな~く山本芳翠にも通じるところがある。

河野通勢展より

浦島図:山本芳翠

結局の処、彼の頭の中で、キリスト教と仏教とが渾然一体となり、融合し爆発したのである。

作品を見てみると、「慈母観音」と言いながら、その実は「聖母子像」

絵の構図からすると人物の位置などは、西洋画伝統そのまま。

参考にラファエロやマザッチョのと比べていただきたい。

大公の聖母:ラファエッロ

聖母子:マザッチオ

観音様であるので、後背があり、宝冠を載せ、瓔珞を胸に懸けている。

薬師寺:聖観音立像をご覧下さい。


この絵の隣に展示されている「聖母子」ですが、こちらの方が「慈母観音」により近い感じがする。

何しろ幼子イエスが「蓮の花」を手に持っているのだから・・・・驚くしかありません。


更に驚きついでに、彼の真骨頂を2点

魚籃観音像

龍ヶ澤大辯財天像

 

でも面白かったのは、小名浜在住の彼が足利にいる旧友の井熊辰次郎の絵を完成させるのになんと8

年もかかっていること。

しかもその間何度も足利を訪れていること。

ここで勝手な推察をすれば、絵を描くことを口実に旧友宅を訪れて楽しい時間を持ったのだろう。

そんなことを考えながら見ていると、牧島如鳩と言う人間が身近に思えた。

 

参照 弐代目青い日記帳
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1859#sequel

 


『奇想の王国 だまし絵展』に行こう♪♪♪

2009年07月30日 10時39分55秒 | 美術散歩


                        

先日、ミクシイのコミュニティーVisiting Tour Clubの美術鑑賞会に行ってきました。

Bunkamuraミュージアムで、開催中の『奇想の王国 だまし絵展』です。

恵泉女子学園大学准教授の池上英洋先生の引率によるものです。

本展は、
第1章 イメージ詐術(トリック)の古典
第2章 トロンプルイユの伝統
第3章 アメリカントロンプルイユ
第4章 日本のだまし絵
第5章 20世紀の巨匠たち―マグリット・ダリ・エッシャー―
第6章 多様なイリュージズム―現代美術におけるイメージの策謀

の6部から構成されているが、詳細については本展のホームページ、池上先生のブログ等以下を参照されたい。

Bunkamuraミュージアム 
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_09_damashie.html

池上先生のブログ http://blog.livedoor.jp/ikedesu/archives/51679142.html

弐代目・青い日記帳(Takeさん) http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1788

toshiさんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/dbaroque/e/981af3ee0a728fe460d77c369ff9a6ee

 

だまし絵とはそもそも遊び心や、絵画の技法の進歩によってはじめて可能となったものである。

絵画技法との関係では、ルネッサンス期に発展を見た『遠近法』が重要であろう。

ルネッサンス黎明期の画家マザッチョの聖三位一体は壁に書かれたフレスコ画であり

下からの視線を意識して、奥行き間を持たせてあるが、実は平面に描かれたものである。
   

本展の第1章の作品群もこれとの関係で興味深い。

参考までに、遠近法の虜になった画家、

パオロ・ウッチェロの「サンロマーノの戦い」。これは目が眩みそうです。

  

視覚のトリックで古典的なのは、フランドルの画家ハンス・ホルバインの「大使たち」だろう。
  

作品を斜め横から見ると、画面手前に髑髏が浮かび上がってくる。

本展では日本の作品も沢山出品されています。

江戸の浮世絵師、歌川国芳「みかけはこはゐがとんだいゝ人だ」は、人の顔を多数の人間をパーツとして描いている。
  

ジュゼッペ・アルチンボルド の《ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)》では色とりどりの野菜や果物を用いている。
  

洋の東西を問わず楽しいものである。

だまし絵で忘れてならないのは、本展に出品は無いが 、

鳥獣人物戯画のあの有名な場面は実に楽しい。

  

絵巻物であるので、一度に沢山の人は見れないが、鑑賞者の向こう側に廻れば、観ることができる。
  

向こう側では、反対の結果が見えるのをお気づきか。

うさぎが蛙を投げ飛ばし、腹を抱えて笑っている。そう見えるでしょ。

また、鏡に映しても楽しめますよ。

これなど、平安末期の時代背景と考え合わせるとさもありなんである。

 

今回はルネ・マグリットやエッシャーの作品も見られるので、必見ですよ。

お断りしておきますが、ここでご紹介した画像のうち、

アーチンボルトと国芳の作品以外は今回の展示はありません。

 


『ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画』

2009年06月12日 11時17分02秒 | 美術散歩

東京国立西洋美術館での『ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画』もいよいよ今週の14日(日)で終了となるが、見逃した方ご安心下さい。
6月30日(火)~9月27日(日)の日程で、
京都市美術館http://www.ytv.co.jp/event/louvre/index.htmlで開催されます。
作品解説は以下を参照下さい。
http://www.ytv.co.jp/event/louvre/exhibition/description.html


かく言う私は東京で既に3回観てきました。
土曜日にも行く予定にしておりますが、相当の混雑は覚悟の上です。

ところでこの展覧会、実は40数年前にも開催されているのです。
『フランスを中心とする17世紀ヨーロッパ絵画展』です。
今回の展示作品のうちの多くが当時も出品されていました。
前回出品作品の中では、ニコラ・プッサン(当時は、プーサンと表示されていました)の作品が多数出品されておりました。
あの有名な、『アルカディアの牧人』が当時の目玉だったような気がします。
 

前回と今回とも出品されている主なものをあげれば、
クロード・ロランの『クリセイスを父親に返すオデュセウスのいる港の風景』、
 

ジョルジュ・ラトゥールの『大工の聖ヨセフ』などなど多数である。
 

40数年前に観た時は、多感な青春時代であったが、
年月を経た今日再会できたことは、感無量である。

作品について少し触れておこう。
ニコラ・プッサンとクロード・ロランはフランス古典主義の画家である。
画風はルネッサンス以降のイタリア絵画のようであるが、さも有りなん。
当時のフランスは、イタリアほど絵画芸術は洗練されておらず、彼らはフランス人でありながら、活動の拠点はフランスではなく、イタリアであった。

ニコラ・プッサンはギリシャ神話や古代ギリシャを主題にした作品が多い。
今回の出品は旧約聖書に主題を取ったものである。
《川から救われるモーゼ》
 

 

クロ-ド・ロランは風景画家としても有名である。
こちらも同じく《川から救われるモーゼ》
 

当時のイギリス貴族の子弟はイタリアが留学ブームであり、
そのイタリアの風景を描いたクロ-ド・ロランの作品に人気があったようである。
彼は今回の出品作品以外にも古代をモチーフにした作品を描いている。
『タルソスに上陸するクレオパトラ』などなどである。
 

 

ジョルジュ・ラトゥールは光の魔術師とも呼ばれている。
イタリアのカラバッジョは絵画に『光』を取り入れて、劇的な効果を出した。
《聖マタイの召命》  (今回の展示はありません)
 

その『光』の効果をラトゥールはファンタジックに仕上げている。
今回の出品以外にも、『蝋燭の前のマグダラのマリア』などがある。
 

 

そのほかの作者では、フェルメールの『レースを編む女』が出品されているが、
 

40数年前のときは、日本ではそれ程フェルメールに脚光が当たっておらず、
そのためか出品が無かった。

とにかくこれだけ沢山の『ルーブルの珠玉』は必見です。


子どもをモチーフとする2つの美術展

2009年05月22日 16時48分09秒 | 美術散歩

今、子供に関した美術展が二つ開催されています。

といってもお互いに何の脈絡も無いのですが(笑)

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の

『没後80年 岸田劉生展』

 

こちらは言わずと知れた、『麗子像』がやはり見所の一つです。

モデルは画家の愛娘。写実的に画かれているが、子供独特の表情を捉え、

何枚も描かれているが、モデルとしてじっとしているのが辛いのか、

麗子ちゃんの表情は決して嬉しそうではない。

むしろ、ややふくれっ面をしたのもある。さもありなん(笑)

岸田劉生は彼女の成長に合わせ何枚も画いていたのであるが、

画家が30歳代で亡くなった為、少女のころの作品しか残されていない。

ちなみに麗子さんはその後も長生きをされた。


このように子供の成長に合わせて絵が描かれたのは、西洋にもある。

『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』

国立新美術館で開催中であるが、その中にスペインの画家ベラスケスと工房が描いた

《フランス王妃マリー=テレーズの幼き日の肖像》がある。
 
これはスペインハプスブルグ家の王女を描いたものである。

また『王女マルガリータ』は、

 

婚約者に自分の花嫁となる王女の成長記録の報告として描かれたが、

当時は写真が無かったためである。


『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』は7部構成になっている。

第1章 誕生と幼い日々 
古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術部門
第2章 子供の日常生活 
古代オリエント美術部門
第3章 死をめぐって  
古代エジプト美術部門
第4章 子どもの肖像と家族の生活 
絵画部門
第5章 古代の宗教と神話の中の子どもたち 
古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術部門
第6章 キリスト教美術のなかの子ども
 絵画部門
第7章 装飾モチーフとしての子ども
 古代エジプト美術部門


今回の展示で特に楽しみにしていたのは、イギリスの画家レノルズによる、

『マスターヘアー』である。

 

とにかく子どものあどけないしぐさが可愛いい。

こんなに可愛いし、服装から見ても女の子と思いきや・・・・

何と男の子である。

当時のイギリスの上流階級の家庭では、男の子どもも女のこのように装ったのだそうだ。

この絵はただ残念なことに、やや色彩がくすんでいる。

多分表面のニスの劣化によるものと思われるが。

描かれた当時のこの絵は、男の子の肌の色にみずみずしい透明感があったと思われる。

会期が押していますが是非是非お勧めです

『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』
 

http://www.nact.jp/exhibition_special/2009/03/louvre.html
展覧会ホームページ : http://www.asahi.com/louvre09/

損保ジャパン東郷青児美術館
『没後80年 岸田劉生展』
 

http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html