パルマ展:イタリア美術、もう一つの都
会期も8月26日(日)まで、残すところ僅かとなってしまいました。
詳しい内容や見所は、東京国立西洋美術館のホームページ
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibition/index.html#parma070529や
Takさんのブログ「弐代目・青い日記帳http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1052」を
ご覧いただければと思います。
かいつまんで言うと、イタリア美術においてはルネッサンスからバロックへと
変遷するその時代の橋渡しをするのがパルマ派ということになります。
《聖カタリナの神秘の結婚》:パルミジャニーノ
パルマ派の始祖とも言うべきコレッジョはラファエロと同時代の人。
ラファエロによってルネッサンス芸術は完成されてしまった感があります。
そんなルネッサンスを引き継いだ「マニエリスム」がパルマ派とも言えるのではないでしょうか。
《聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネ、聖エリサベツ、マグダラのマリア》
コッレジオに代表されるパルマ派は、
ギリシャ神話ばかりを主題としていたものとばっかり思っていましたが、
キリストや聖母マリアを主題とした「祈り」を多く画いていたんですね。
《キリストとカナンの女》:アンニーバレ・カラッチ
そこで未だこのパルマ展をご覧になっていない方、既に一度見たけど、
もう一度見ても良いなあ~と思っている方に、わん太夫的なこんな鑑賞法は如何。
先ず、音声ガイドを聞きながら、個々の作品についてじっくりと鑑賞をする。
《ルクレティア》:パルミジャニーノ
次に、音声ガイドの最後に収録されている音楽だけを聴きながら再度「パルマ」を鑑賞する。
曲は、バルトロメオ・デ・セルマ・イ・サラヴェルデ作曲の「ファンタジア《騎士の歌》」
演奏は「アントネッロhttp://www.ne.jp/asahi/anthonello/casa/」による古楽器アンサンブルです。
アントネッロはダヴィンチ展の時、ダヴィンチの誕生日を祝す記念の演奏会を
東京国立博物館の表慶館で演奏したトリオです。
その演奏は、どこまでも清らかで、しみじみと心に響くものであります。
この曲は僅か3分足らずですが、この曲を繰り返し繰り返し聴きながら、
先程の解説のことは気にせず、「絵画のある空間」に流れる清らかな音色に浸ると、
まさにそこはファルネーゼ家の一室にいるのかと錯覚をしてしまいます。
コッレジオの「戴冠の聖母」、アンニバーレ・カラッチの「キリストとカナンの女」、
ルドヴィーコ・カラッチの「カルヴァリオへの道行き」、
シスト・バダロッキオの「守護天使」、そしてスケドーニの「キリストの墓の前のマリアたち」
《キリストの墓の前のマリアたち》:バルトロメオ・スケドーニ
アントネッロの演奏に「心」を傾け、じっと佇む。
なんとも贅沢な空間であります。
そして、もし未だお時間があるようでしたら、
今度は音声ガイドなし、音楽なしで、
絵とその空間をもう一度じっくりとご覧になられては如何ですか。
これで「パルマ」を満喫できることでしょう。