画像左 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏:北斎
画像中 東海道五十三次 庄野:広重
画像右 笛吹く少年:マネ
万博と日本ブーム:ジャポニズム
講師:千足伸行 成城大学名誉教授
世界初の万博がロンドンで開催され、その成功を見たナポレオン3世により
パリでも万博が開催されました。
そのパリ万博に幕末以来の日本からも数々の物産が出品されました。
その中で特に注目されたのが美術工芸品でした。
さらに言えば、浮世絵、陶磁器、着物など様々な文物でしたが、
日本から派遣された芸者による日本舞踊や茶の湯の実演などもあったそうです。
そんな日本からの文化・芸術は当時の欧米、とりわけフランスやアメリカまでも席巻し、
19世紀後半はかつてない日本ブームが出現したようです。
それがジャポニズムで、日本趣味とか日本ブームが西洋美術にも影響を与えたことであります。
特に印象派の画家、マネ、モネ、アメリカ人のホイッスラーなどに多大な影響を与えました。
北斎や広重の浮世絵は、陰影濃淡のない平面的な色彩、
明瞭な輪郭線、奥行き、遠近感の無い平面的な画面構成は、
当時のパリの画壇を支配していたアカデミズム見られないものでした。
例えば、西洋絵画で重んじられていたシンメトリーにこだわらない大胆な画面構成や余白を生かした構図などは、
マネなどの若い印象派の画家たちに一つの啓示となったようです。
美術だけではなく、音楽でもプッチーニのオペラ「蝶々夫人」なども「ジャポニズム」によるものです。
富士山が世界文化遺産として登録されましたが、
これも「ジャポニズム」のなせる業かもしれませんね。
今でもヨーロッパで日本と言えば、「フジヤマ、ゲイシャ」を思い浮かべる人が多いそうです。