創建55年の国立劇場も老朽化で、建て替えのため今年度限りのさよなら公演
第1部、第2部は「碁太平記白石噺」
南北朝時代のの楠木正成亡きあと、江戸時代初期の由比正雪が登場するもの。
第1部では田植の段、逆井村の段。ストーリーが淡々と進むが華やかさはない。
その為か客席の入りは火曜日の朝一と言うこともあり2~3割程度で寂しい。
第2部は浅草雷門の段、新吉原揚場の段。こちらはぐっと艶やかな舞台。
第3部は「奥州安達原」
奥州での安倍一族の反乱を源氏の八幡太郎義家が平定した「前九年の役」に拠るもの。
朱雀堤の段、敷妙使者の段、矢の根の段、袖萩祭文の段、貞任物語の段、道行千里の岩田帯の段。
特に見どころは貞任物語の段。源義家と、桂中納言則氏(実は安倍貞任)、外ヶ浜南兵衛(実は安倍宗任)との場面。第3部のまさにクライマックス。
貞任の妻の袖萩が三味線を弾くが、人間国宝の鶴沢清治の三味線と息がぴったり。人間国宝の人形遣いの桐竹勘十郎とのガチが凄い。
桐竹勘十郎は「阿古屋」でも琴、三味線、胡弓を人形で演奏するが、やはりさすが。
それを上回る凄味を見せたのが、吉田玉男の遣う貞任。最後の「決め」のあの大迫力。これは「奥州安達ヶ原」を象徴する名演技でその醍醐味に満場の拍手で段切れとなった。
楽屋訪問の時、舞台裏やバックヤードをご案内して下さる吉田玉佳さんが源義家を遣っていました。義家のキャラを表すように凛としていながら心の篤さがにじみ出ている素晴らしいものでした。
余談ながら、今まで太夫の切り場語りは人間国宝の豊竹咲太夫だけだったが、今回から竹本千歳太夫、豊竹呂太夫、竹本錣太夫が加わった。
公演詳細は
https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu/2022/bunraku_9.html
碁太平記の見どころ・あらすじ
田植の段、逆井村の段
https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu/2022/bunraku_9.html
浅草雷門の段、新吉原揚場の段
https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu/2022/bunraku_9.html
奥州安達ヶ原の見どころ・あらすじ
https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu/2022/bunraku_9.html