わん太夫の迷路

気ままに人生を送りたいな~、との希望的観測と共に

2月文楽公演第3部鑑賞

2020年02月25日 16時44分42秒 | 古典芸能


楽屋で弁慶を遣って説明をして下さる吉田玉男師匠

 

演目:
☆傾城恋飛脚 (けいせいこいびきゃく)新口村の段
 当時実際に起こった事件を近松門左衛門が「冥途の飛脚」として上演したものなどを下敷きにして書かれたもの。

☆鳴響安宅新関(なりひびくあたかのしんせき)勧進帳の段
 能の安宅をもとに歌舞伎の勧進帳ができそれを文楽にしたもの。
 文楽人形は歌舞伎と異なり人間ではできないような動きで魅せてくれます。
 人形は武蔵坊弁慶を吉田玉男師匠が、安宅の関守富樫を吉田玉助が遣う。
 先日楽屋訪問をしたとき、玉男師匠に弁慶が舞台を下がる時六法を踏みますが、 どうされるのでしょうかとお尋ねしましたら、ニコッと笑っておられました。
 舞台では人形の足遣いが片足だけで歩くようにして六法を踏んでました。
   🙋‍♂️ 💁‍♂️ 🦵
 3人遣いの人形では通常左手遣いと足遣いは黒子のように黒い頭巾をかぶるのですが、この弁慶だけは主遣いと3人とも顔を出しての遣い。やはり弁慶は別格なんでしょうね。
 舞台で特に印象に残ったのは、最後の方で弁慶を残し義経一行がその場を去り、義経もその場を去る時、笠を取り富樫に挨拶をしました。
 富樫は一瞬義経と気付き表情をこわばらせるが、弁慶の「心」を察しその場を去っていく。
 その一瞬を表した玉助さん、さすがです。


二月歌舞伎座昼の部 十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言

2020年02月17日 16時38分29秒 | 古典芸能

二月歌舞伎座昼の部
十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言

演目:菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
   加茂堤 筆法伝授 道明寺

仁左衛門の追善狂言と言うだけあって、仁左衛門の一族総出の感がある。
菅丞相の当代仁左衛門をはじめ、桜と立田の前を息子の孝太郎、刈谷姫は孫の千之助。さらには、秀太郎,我當。

元は人形浄瑠璃のために書かれ大当たりしたものを歌舞伎にも移され上演されるようになった。

今回公演の見どころは十三世の当たり役と言われた菅丞相を当代仁左衛門が演じる。
右大臣菅原道真の役ですから知性教養、気品が求められる。
以前にもこの仁左衛門の菅丞相を見たことがありましたが、今回はさらに凛とした迫力がありました。
派手な演技や大立ち回りもなく、台詞もそれほど多くない。でもその圧倒的な存在感と微妙な表情の変化で演じている。
能の舞台を見るようでした。

そうしてもう一人の極めつけは玉三郎。歌舞伎の難役の三婆の一つ、覚寿。凛として凄味があるのに心の奥に温かさがある。さすがさすがの玉三郎でした。

終演後は感想会であれこれと歌舞伎談義をしてきました。

余談です
桜丸、梅王丸、松王丸の三つ子ですがその奥さんの名は
八重=桜丸、春=梅王丸、千代=松王丸
考えるまでもなく上手く付けた名前とお判りでしょう(笑)

演目の詳細はこちらを
http://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/736