書棚を整理していたら今から約20年前に購入した写真用語辞典が出てきた。
さすがにもう使えないだろうと思ったら、以外と今でも通用するんですね。
今はデジタルですから、フィルムの性格とか現像の仕方とかは
古くて使えませんが、レンズの性質とか色の関係とかは現役で使えます。
光の性質というのはピタゴラスの時代から変わってないのですよ。
そしていかにハイテクの現代であっても、光の性質を変えるまでには
人類の英知は至ってないのであります。
そこでピントの話。
自分の撮りたい被写体が1m先にあったとします。
そこでピントを合わせるのですが、それは物理の法則で一点しかありません。
1m以外の1.0001mでも0.99999mでもないのです。
距離が1mでないものはすべて”ボケている”ということになります。
しかし距離が1mに近づくにつれだんだんボケの量が少なくなっていき、
しまいには人間の目では、ボケているのかいないのかわからなくなります。
わからないのなら”ボケていないことにしよう”ということになりました。
つまりピントが合っているということにしたのです。
ピントの位置に幅ができましたね。
これを専門用語で許容錯乱円と言います。
大体八つ切りサイズで1/30ミリまでのボケだそうです。
そして、どれくらいまでがピントが合っていると認識されるかという距離
を被写界深度(深度)と言います。
被写界深度内に収まっている被写体すべてが”ピントが合っている”
ということになります。
そしてこの被写界深度には次のような性質があります。
広角になるほど深く(長く),望遠になるほど浅い(短い)
絞りを絞ると深く、開けると浅い。
被写体までの距離が長いと深く、近いと浅い。
ピント位置より後ろが深く、前が浅い。
マクロ域まで近づくと、ピント位置の前も後ろもほぼ同じ深度。
そして画面のすべてが被写界深度内に収まっている、つまり
画面全体にピントが合っている写真を”パンフォーカス”と言います。
「ピントなんてAFだからカメラまかせでいいんじゃね?」
いいえ、見せたい物にピントを合わせ、それ以外はぼかす。
この自分の意思をカメラが理解してくれますか?
してくれないんだったら自分でコントロールしるしかないですよね。
撮影データー
Canon EOS-1HS EF35-70mm 3.5-4.5 f16 AV PKR ポジをスキャン
広角側で絞りを16まで絞った。画面全体にピントがきています。
Canon EOS-1HS EF80-200mm 2.8L f2.8 AV PKR ポジをスキャン
中望遠で絞り解放です。ボケの量が多いですね。
Canon EOS-1HS EF100mm macro 2.8 f2.8 AV PKR ポジをスキャン
マクロ域で絞りを開けると、ピント位置の前後4,5ミリしかピントが合いません。