まだまだ、身辺整理するには早い
のだが「ちょっと、物、多くね?」と思い、
昔使っていた木製リコーダーをヤフオク
で売った。たしか4,000円くらいには
なったと思う。
この木製リコーダーには、ちょっとした
思い出がある。
私の高校(当時)は、入学時に「音楽」
か「美術」を選択する必要があった。
音楽を選択した学生は、入学案内に
学校が推奨するリコーダーを購入
しなければならないと書いてあった。
授業で使うからね。
実は私は、ピアノ、バイオリンの他に
リコーダーもやっていた。
死んだ親父の言うところの、「一族の
突然変異」だったのだ。
親戚で、誰もいなかったからね。
自分で言うのもなんだが、けっこうな
腕前だったと思う(笑)。
市の演奏会で、フルートのソロパート
をリコーダーで吹いていたから。
当然、学校が推奨するリコーダーより
いいものを持っていたので、学校推奨
品は買わなかった。
学校推奨品は、安物のプラスチック製
だったのだ。
話は変わるが、私には「洋子ちゃん」という
同級生がいた。
両親は、学校の先生だった。
小学校から高校まで、いっしょだった。
小学校の頃は、お互いの家に遊びに
行ったりしていた。
特別「彼女」ということでは、なかった。
何度かクラス替えとかもあり、友達関係は
自然消滅の形になっていた。
だが高校2年の時、またいっしょのクラスに
なった。
音楽の授業の時は、出席番号順に
座るのだが、「あべちゃん」なので、最初か
ら3番目だった(笑)。
そして最後尾までいって、2列目になる
のだが、そこで私の隣に洋子ちゃんが
座ったのだ。
私の高校は「あいうえお順」の出席番号
で、「誕生日順」では、なかった。
先生が「じゃあ、リコーダー出して」と
言ったとき、当然私は木製リコーダーを
出した。
すると洋子ちゃんは「うわっ、なにそれ見せ
て」と言って、私からリコーダーを奪った。
そして何を思ったか「ピーヒャラ!」と吹き
出したのだ。
今でもドキッとするのに、40年前だからそり
ゃとんでもなく驚いて、焦ったよ。
「そして、これちょうだい」と言ったのだ。
なんてヤツだ・・・
俺が口をつけたヤツだぜ・・・
動揺した私は、やっとのことで「そんなら、
俺はリコーダー、どうすんのよ」と言った。
そしたらなんと、自分のリコーダーを差し出したのだ。
「私のなら、いいでしょ」と言わんばかり
だ。
男でも、気にするヤツは気にするのに・・・
なんという、自信。
しかし、そこから進展はなかった。
「リコーダーを売りに出した」ということ
は、洋子ちゃんの手には、リコーダーは渡ら
なかったということだ。
半分「冗談よ」というニュアンスがあったか
らね。
計算された究極の「男たらし」なのか、それ
とも悪気のない天然なものなのか、田中
○○○真っ青の女であった。