アコログ

色んなコトを感じ思ったこと。 誰かに伝えたくなったこと。 日々の記憶。忘備録。

二重生活

2013-03-22 22:31:29 | BOOK
図書館で、沢山読みたい本が見つかると、
この上なく幸せになる

買ったり、借りたり。
まだ手を付けてない本があればあるほど、
心に余裕が生まれて、まだ大丈夫って気になる。



そんな、単純で単純じゃないワタシです(笑)

それと言うもの、先日よくわかんないけど、
熱が下がらなくて、風邪って感じでもなく、
食欲があるのに、怠い。。。

病人メニューのお粥じゃなく、肉とか食べたいのに
熱が37.5℃とかで、なんだか解んないけど
染すと悪いから、外に出れない。。
と言うことになった時に、読む本が切れたのだった。

この時の苦しみが、今を語っているのだが、
とにかくストックが無いと、ダメなのだったw


さてさて、最近色々あって外に出掛けられなかったので、
お楽しみがなく本の中に逃避するしか無かったのだが、
小池真理子の「二重生活」は、面白かった。





大学院生の主人公、白石珠は、大学の講義で知った
ソフィ・カルの「文学的・哲学的尾行」に魅せられ、
ある日、ふとしたきっかけから近所に住む既婚男性
石坂を尾行する。そして、不倫現場を目撃してしまう・・・


あたしは、この「文学的・哲学的尾行」について、
イマイチ馴染めず、何なんだ?そりゃ??っと
のみ込めなかったのだが、(笑)読むに従い、
どんどん引き込まれてった。


ストーカーでも目的のある調査でもない、尾行。

「文学的・哲学的尾行」は観察であり何の目的も持たないもの。
ただ、密かに尾行者によって記録し続けられていくのだ。

そして、それは疑似体験をすることにもなる。と、言うのだ。

なる程・・・主人公、珠は、他人の秘密を知ることに興奮し
石坂を観察し続けていくうちに、
自分自身の恋人との関係にも影響を及ぼしてく。。。

著者の心情の表現が素晴らしい。

次第に精神が苦悩してく主人公だが、

「...それは、重度の、病的と言っていい妄想だった。
妄想ほど愚かしいものはない。
結局、壊す必要のない自分を壊してしまうのは妄想なのだ。」


「嫉妬は、大半が妄想からはじまる。
...人を傷つけ、自分をも傷つけているのだ。
まったく、手に負えない状態に自分を追い込んだのは
自分自身なのだ。」

などなどw
ああなのか、こうなのかと、他者の心情が図れず
勝手に妄想で解釈してしまったりする、あたしは
なんか、すとんっと溜飲が下がったのだった。


勝手な解釈と、妄想ほど無意味なものはないのだった。


本から学び得ることって多い。
描かれた表現が、自分とリンクした時に、
本って、すごいなぁと思う。
そしてその時、その本とは出会うべくして出会うのだと
そんな風に、思うのだった。