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会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

第259世天台座主に藤光賢猊下 柴田聖寛

2025-03-22 21:28:19 | 天台宗

 

 次座探題の藤光賢大僧正が2月1日付で第259世天台座主にご上人されました。第258代天台座主探題大僧正大樹孝啓猊下がご高齢を理由にご譲職(辞任)されることを発表されたことを受けたもので、同日、滋賀院門跡で上任式が執り行われ、大樹座主猊下は前天台座主として遇されることになりました。
 大樹座主猊下は令和4年8月、比叡山宗教サミット35周年記念「世界宗教者平和の集い」では「神仏からの激励を賜った」と力強いお言葉を述べられ、参加者を鼓舞されたことが、今も語り継がれています。
藤光賢天台座主猊下は昭和7年1月生まれの長崎県出身。天台宗主務会議、宗務総長、宗機顧問などを歴任され、京都五箇所門跡のひとつである曼殊院門跡や九州西教区金乘院住職を勤められました。昭和生まれの初の座主猊下であられます。
 伝燈相承式は6月10日午前10時半より、比叡山根本中堂で古式に則り行われます。藤座主猊下は歴代天台座主の相承譜に、第259世座主の上任の署名をされる運びになっています。
 『岩波仏教辞典』では「座主」について次のように書いています。「本来は一座の主の意味で、中国で、人々の主、学解にすぐれた人、寺の上首を称した。日本では天台宗の管長の称となり、852年(仁寿2)円仁が座主に任ぜられてのち、江戸時代まで勅旨によって任ぜられた。義真を初代、以下円澄・円仁・と数えて現在に至っている」
                 合掌

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令和7年の比叡山から発する言葉は「繋紡心(けいぼうしん)」

2025-03-22 21:22:10 | 天台宗

 

 令和7年も春の季節を迎えましたが、今年1年間の心がまえを示す、比叡山から発信する言葉は「繋紡心(けいぼうしん)~心が繋がり紡ぐ道が照らされ相思う時代が訪れる」です。獅子王圓明延暦寺執行は「人と人との繋がりを心掛けて日々過ごすことで世界がより良くなる。<繋紡心>を持ち、ありがとうの心を日々忘れない一年を送りたい」と述べておられます。
「繋ぐ」は離れたものを結びつけること、「紡ぐ」はさまざまなものをより合わせて一つのものを作り出すことを意味します。人間が楽しく仲良く生きていくためには、自分にとって得があるかどうかではなく、多くの人との対話を深め、心を一つにして世界が平和になることを願うのが、信仰者としての役目ではないでしょうか。なかなかできることではありませんが、私もこの言葉を肝に銘じてこの一年を歩んでいきたいと思っております。
 繋紡心の「書」は比叡山の願いを象徴するものとして、根本中堂と一隅を照らす会館前に、一年間掲げられるほか、「比叡山時報」表紙の題字下にも印字されます。比叡山延暦寺のホームページでも閲覧することができます。

           合掌

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本年は明鏡止水を心がけます 柴田聖寛

2025-01-01 12:19:53 | 御挨拶

  新年おめでとうございます。皆様にとってもよき一年でありますよう心からお祈り申し上げます。私も後期高齢となり、何かと不行き届きの点もあるかと思いますが、本年もまた、悉有仏性の天台宗の信仰を広め、住職としての務めを果たしていく所存であります。
 私のブログも途切れ途切れながらも、何とか継続をして、私が日頃考えていることを、皆さんにお伝えできれば、と考えています。令和7年は昨年にも増して激動が予想されますが、如何なることがあっても、私たちは「明鏡止水」を忘れてはならないと思います。邪念のない落ち着いた心境であれば、いかなる困難も乗り超えることができるからです。何卒、本年もよろしくお願いいたします。

         合掌

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穏やかな新年を迎えられますようお祈り申し上げます 柴田聖寛

2024-12-30 23:28:09 | 日記

 年の瀬も押し迫ってきましたが、今年は新年早々に能登地方が大地震に見舞われました。総選挙では自公が少数与党となり、国内の政治も混沌としています。世界に目を転じれば、中東ではイスラエルとハマスの戦いが激化し、ウクライナとロシアとの戦争も、未だに休戦にいたっておりません。アメリカの大統領にトランプが当選したことで、今後の世界がどうなるかも見通せなくなっています。一天台宗の僧侶として私は、この一年、世界が平和でありますようにと日々祈りを捧げてまいりました。
 個人的にも、今年は色々なことがありました。伝教大師様の「一隅を照らす、此れ則ち国宝なり」(『山家学生式』)との言葉を旨としてきましたが、今後とも心折れることなく仏道に励みたいと思っております。皆様も良いお年をお迎えください。
 なお、令和6年の年末の御祈祷は12月31日、令和7年の初祈祷は1月1日に執行いたしますので、多数の御参拝のほどよろしくお願い申し上げます。
 合掌参拝

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彗星などの天体の謎と仏法 柴田聖寛

2024-10-31 21:44:23 | 読書

 

 私が生まれたのは二本松市ですが、それこそ東京と比べると本当の空が残ってはいますが、車社会になって、昔のような空ではなくなってきています。会津に住むようになって、とくに奥会津に出かけたときなどには、一面の星空に何度も魅了されたものです。そんな私がつい最近、渡部潤一先生の『なぜ彗星は夜空に長い尾をひくのか』を一読して、あらためて夜空を見上げるようになりました。
 渡部先生は1960年に会津若松にお生まれになり、東京大学東京天文台の上席教授であるとともに、総合研究大学大学院教授の要職にあられます。渡部先生はその本の中で、小学6年生のときに、1972年10月8日夜のジャコビニ流星群騒ぎの際しての想い出に触れていられる。小学生であった渡部先生は、小学校の校庭で、今か今かと待ち構えていたら、ついぞ現れなかったという体験をしたという。そういえば私も若かった時代で、新聞で大きく報道され
たのを覚えています。
 この本を手に取って感激したのは、何枚もの彗星の写真が掲載されていたことです。宇宙への夢がどこまでも広がりました。彗星について渡部先生は「通常の恒星とは異なり、夜空に突然に現れては、星座の間を日ごとに動いて行く。惑星のように規則性があるようには見えず、まったく予測不可能であった」と述べておられます。だからこそ、吉兆の印として、古代の人たちは考えたのでした。
 天体としての彗星の運動が解明されるようになったのは、ニュートンによって「引力の法則」が発見され、その法則を適用したのがエドモンド・ハレーで、周期彗星カタログ一番目のハレー彗星を発見したというのも、今回初めて知りました。今では「惑星や小惑星はすべてほとんど円に近い軌道を描きながら、規則正しく太陽のまわりを回っており、惑星同士がお互いに近づくことはないのに対し、彗星はほとんどが放物線や歪んだ細長い楕円の軌道を持ち、いくつかの惑星軌道の間を横切って飛び回っている。その中には194年のシュメーカー・レビー第9彗星のように、惑星に衝突してしまうものさえあることがわかったきた」とも書いておられます。
 私のような一天台の僧であればこそなおさら、仏法を理解する上でも、宇宙を眺めることで
多くの示唆を得ることができます。この度も渡部先生のこの本から多くの刺激を受けることができました。仏教では「輪廻の迷いから解脱すること」が説かれていますが、宇宙の根源の謎を解き明かすことにも結びつくように思えてなりません。
           合掌

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