会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

ムラサキシキブが実を付けました  柴田聖寛

2019-10-29 09:55:09 | 日記

「倖あれと友が掌に実むらさき」 石田あき子

 ムラサキシキブといえば京都の嵯峨野の正覚寺が有名ですが、晩秋の会津路の私どもの会津天王寺でも、たわわに紫色の実を付け今が見頃です。名前の由来については「ムラサキシキミ」と呼ばれていたからだといわれます。「シキミ」とは実がたくさんなるということを意味しますから、見たそのままを植物の名にしたのです。
 石田あき子は俳人石田波郷の妻で、夫の闘病を支えながら、子育てをし、自らも句集「見舞籠」世に出したのでした。悪戦苦闘している彼女の姿を見た友人が、励まそうとして、そっとムラサキシキブの実を差し出したのだと思います。そんなほのぼのとした光景が目の前をよぎってなりません。

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御即位をお祝いして比叡山でも「天皇陛下御即位奉祝法要」 柴田聖寛

2019-10-26 10:43:38 | 天台宗

 「即位礼正殿の儀」が去る二十二日に挙行されましたが、誰もが感動したのは、あの日は朝から雨が続いていたにもかかわらず、天皇陛下が即位を内外に宣明されたときには、一転して青空となり、虹までかかったことです。
 日本天台の祖である伝教大師最澄は、桓武天皇によって見出されました。比叡山を開創し唐に渡ることができたのも、南都六宗と天台宗が平等に年度の得度者の数が割り当てられることになったのも、桓武天皇のおかげなのです。
 皇室が菊の御紋であるのは、比叡山の坊さんが比叡山菊十六花弁をお見舞いに持っていったのを、闘病中の桓武天皇が喜ばれたからといわれます。日本天台の宗章では菊十六花弁の真ん中に三つの星があります。天台の「台」は「星」ということで、「天空には天帝を補佐する三台がある」(「天台青年連盟」の「天台宗の名前の由来」より)ということです。
 政治に口出しをする南都六宗を遠ざけた桓武天皇は、純粋に鎮護国家のために祈りを捧げる伝教大師最澄への支援を惜しまなかったのです。そのときから日本天台と皇室との深い結びつきが生まれたのです。
 今回の御即位受けて比叡山では十一月五日、森川宏映天台座主猊下を大導師に延暦寺大講堂で「天皇陛下御即位奉祝法要」を執り行います。

                          合掌

菊十六花弁の真ん中に三つの星がある日本天台の宗章が入った輪袈裟

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会津天王寺境内の山茶花が開花  柴田聖寛

2019-10-25 09:25:53 | 日記

山茶花のみちのくびとに媚びて咲く 山口青邨

 会津天王寺は四季折々の花を楽しむことができますが、ことしもまた、境内に山茶花が5弁の花を咲かせました。秋の終わりから初冬にかけての花ということで、雪国に住む者の心を慰めてくれます。もともとは四国や九州が北限であったのですが、品種改良されたおかげで、会津でも見られるようになったのです。青邨のその句は、厳しい冬を前にしたみちのくびとをおもんばかって、精一杯に愛嬌を振りまく花であることを表現しています。

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聖寛の独りごと 治山治水は国の責任です

2019-10-19 09:39:42 | オピニオン

 台風19号の雨は100年に一回のことといわれていますが、県内でも阿武隈川などが氾濫し、甚大な被害をもたらしました。まずは台風19号により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての皆様にお見舞いを申し上げます。
 今から5、60年前にも福島県で同じことがありましたが、あのときは亀岡高夫とか天野光晴といった政治家が先頭に立ってくれました。それと比べると今回は、国会議員の顔が見えてきません。一級河川を管理しているのは国ですから、国会議員が住民の声を代弁すべきだと思います。
 洪水を防ぎきれなかったのは、去る17日の「みんゆうNet」でも取り上げていた「バックウォーター現象」が起きたからだといわれます。「水位の上がった本線が支線の流れをせき止める」ことで、堤防が決壊することになったのでした。本宮市は本線の阿武隈川と支線の安達太良川が合流する地点で、二本松市では安達ケ原周辺で大きな被害が出ました。
 さらに、阿武隈川の下流ということもあってよく水害に見舞われていた宮城県の丸森町では、筆甫地区などでこれまでにない記録的な豪雨になったことで、土石流で深刻な事態になっています。山間部は山崩れや地滑りの警戒を怠ってはならないのです。
 災害が起きると復旧ということになりますが、建設会社の数も減っていますし、人手が足りないのが現状です。地元の建設会社は人集めからしなくてはなりません。大工さんにまで声がかかっているのは、これまでだったら考えられないことです。
 国が治山治水に力を入れなければ、私たちは安心して暮らせません。洪水にならないように、河の流れを馬蹄形にするという先人の知恵にも学ぶべきです。台風や大雨のたびに洪水になるのは最悪です。党派を超えて福島県選出の国会議員に頑張ってもらわなければなりません。

                       合掌

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