会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

令和五年の新年のご挨拶 柴田聖寛

2023-01-01 06:52:26 | 御挨拶

 

 新年おめでとうございます。世界中がきな臭くなっていましが、まずは平和な一年であることを祈念いたします。新型コロナの影響はまだまだ残りそうですが、トンネルの出口が見えてきましたから、もう少しの忍耐ではないでしょうか。
 今年の私は、伝教大師最澄様の「忘己利他」の教えを、一人でも多くの人に知ってもらうように努めたいと思っています。とくに、私が力説したいのは「利他」についてです。八十代後半になられたひろさちや先生も、最近出版された『最澄を生きる』のなかで、私と同じようなことを述べておられます。
 ひろさちや先生は、世の中の役に立つとか立たないとかいう議論は差別でしかなく、「すべての人が世の中の役に立っているのだ、というのが大乗仏教の考え方であり、最澄の『忘己利他』です」とお書きになっておられます。   
 人は人として区別されることはあっても、この世で成功して大金持ちになっても、優等生であり続けても、そんなことで幸福になることはできないのです。自分が成功者になったことを鼻にかけるのではなく、普通の以上に「利他」の心で他の人と接するべきなのです。それを実践に移して始めて、信仰の道が見えてくるのです。
 ひろさちや先生は「金持ちは金持ちらしく布施行に励む。優等生は優等生らしく、自分が学んだことを社会のために還元する。そういう生き方が最澄の利行だと思います。金持ちやエリートが、なおも自利にがつがつしている現代日本のあり方を、きっと最澄は、『おまえたちは小乗根性の人間だ』と叱るだろうと思います」と述べておられます。
 今年はどんな年になるか分かりませんが、私としては、これまで以上に精進を重ねていくつもりですので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

          合掌

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