新年おめでとうございます。令和6年も皆様にとって良いお年となりますようお祈り申し上げます。今年は色々な本を読んで、皆様に感想などをお伝えしたいと思っております。私が今読みたいと思っているのは、宮沢賢治の全集です。賢治は大正10年に父親政次郎と共に比叡山を訪れており。根本中堂の近くには賢治の歌碑が建立されているからです。
「根本中堂」
ねがはくは
妙法如来
正偏知
大師のみ旨
成らしめたまへ 宮沢賢治
建立除幕されたのは昭和32年9月21日のことです。その歌の「妙法如来」というのは。根本中堂の本尊として祀られている薬師如来のことで、「正偏知」とは正しく悟った人ということです。「大師のみ旨」というのは、伝教大師最澄様の「願文」で『願はくは、必ず今生の無作無縁の四弘誓願に引導せられて、周く法界に旋らし、遍く六道に入り、仏国土を浄め、衆生を成就し、未来際を尽くすまで恒に仏事を作さんことを」と言う言葉があるのを賢治が念頭に置いていたからだといわれます。
宮沢家はもととも浄土真宗であり、賢治は大正9年に国柱会に入り、日蓮宗の信者となります。親鸞も日蓮の比叡山で修行したことがあるために、親子そろって拝観したのでした。そのときに詠まれた歌です。詩集『春と修羅 第二集』には「比叡(幻聴)」が収録されています。
「比叡(幻聴)」
黒い麻のころもを着た
六人のたくましい僧たちと
わたくしは山の平に立ってゐる
それは比叡で
みんなの顔は熱してゐる
雲もけはしくせまってくるし
湖水も青く湛えてゐる
(うぬぼれ うんきのないやつは)
ひとりが所在なささうにどなる
私も比叡山で修行しましたから、山頂から琵琶湖を望む景色の素晴らしさには心打たれたものです。賢治の作品を少しずつ紹介していきたいと思いますので、今年もまたご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
合掌
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