会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

東日本大震災を風化させてはなりません  柴田聖寛

2019-12-10 17:53:24 | オピニオン

 歳月の経つのは早いものです。仏教では「劫(こう)」という言葉があります。永遠の時間を意味します。それだけ長いスパンで物事を考えているのです。それからすれば、2011年の東日本大震災は、ついたった今起きたことと変わりがありません。
 3分20秒にわたって大きく揺れたことが忘れられません。たまたま私の子供が小学生だったせいもあり、友達が多く来ていましたので、怪我をしないように大声を張り上げたことを覚えています。貞観以来の1000年に一回の地震であるといわれていますが、あれから来年で9年を迎えます。関東圏では直下型地震の危険性が叫ばれていますが、当然万全の処置が講じられなくてはなりません。京都大学の藤井聡教授の主張しているように、国土強靭化は喫緊の課題です。
 また、私は東京への一極集中ではなく、国土の均等ある発展の観点からも、中央官庁の一部分散化も検討すべきだと思います。さらに、東北であれば、東京を飛び越して関西との交流を深めることを大事ではないでしょうか。
 国のエネルギー政策の根幹に関する方針が定まらないのも問題です。太陽光発電や風力発電の再生エネルギーだけで本当に電力は維持されるのか、それとも暫定的に原子力発電が必要であるかどうかについても、国会で真剣に議論されるべきではないでしょうか。
 師走に入って悲しいニュースが飛び込んできました。中村哲医師がアフガンでテロの犠牲になったのです。中村さんはクリスチャンでありながらも、伝教大師の「一隅を照らす」の言葉を常に口にされていたといわれます。世界平和を実現するために、命を賭して菩薩道を実践されたのでした。
 私は天台宗の一僧侶ですから祈りの心を大事にするのはあたりまえですが、来年もまた政治や経済に関しても発言していくつもりです。ぜひ皆さんの意見もお聞かせください。

                    合掌

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