第257世座主大僧正森川宏映猊下の逝去に伴い、天台宗と総本山比叡山延暦寺は先月22日、第258世座主に次席探題で書写山圓教寺(姫路市)第140世長吏の大樹孝啓(おおき・こうけい)師の就任を発表しました。大樹師は大正13年(1924)6月兵家県生まれ。97歳。昭和11年出家得度。大正大学予科卒。昭和59年書写山圓教寺長吏に就きました。平成22年には最高法階である探題に就任されました。平成28年からは一隅を照らす運動の会長を務めています。書写山圓教寺開創千年余の古刹で、西国三十三観音霊場の第二十七番札所として、多くの巡礼者が訪れています。
大樹新天台座主は、祖師先徳鑽仰第法会を記念した特別授戒会が全国各教区で行われたときには、伝戒和上を勤められ、伝教大師の「忘己利他」「一隅を照らす」の教えを説かれました。また、一隅を照らす運動会長に就任されたときには「最澄様は浄仏国土を目指された。そのためには在家の菩薩を一人でも二人でも増やさなければなりません。菩薩を作るためには『布施 持戒 忍辱 禅定 智慧』の六行の実践が必要です」と述べておられました。
私も一隅を照らす運動の40周年東日本大会が平成21年、一隅を照らす運動45周年東日本大震災復興記念大会が平成26年にいずれも郡山市のユラックス熱海で開催されましたが、当時私は事務局の大役を仰せつかりましたので、大樹新天台座主のお言葉の一つ一つに深い感銘を覚えたものでした。
上任式は去る11月22日午後3時から滋賀院門跡で営まれ、天台宗と延暦寺の両内局が見守る中、阿部昌宏天台宗宗務総長から梶井袈裟が贈呈されました。天台宗は新たな師表を迎え、私もまた天台宗の教えを広める先頭に立つべくお誓い申し上げます。
合掌