赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナの戦略ミス

2023-10-03 00:00:00 | 政治見解



ウクライナの戦略ミス :231003情報


当ブログ『 イランの核兵器保有と次の戦争』などで独自の見解を述べているある若手の国際政治アナリストによる分析です。-


私は2022年2月24日にウクライナ侵攻が始まる前から、二つの話をしていました。

1つは、プーチンがウクライナ侵攻を決断する可能性がある。実際、決断しました。
2つ目は、プーチンがウクライナ侵攻を決断すれば、戦闘に勝っても負けても、【 戦略的敗北 】は確実である。

一方、ゼレンスキーも、「戦略的ミス」をしています。何でしょうか?

1つは、ウクライナがロシア国内をドローン攻撃していること。ウクライナはロシアの首都モスクワへのドローン攻撃も繰り返しています。

『毎日新聞』8月14日付。
<ウクライナで「特別軍事作戦」を続けるロシアは8月に入ってから、首都モスクワやその近郊でドローン(無人機)による攻撃を繰り返し受けるようになった。>
ーー

ウクライナがロシア国内を攻撃すること。基本的にアメリカは反対しています。なぜでしょうか?

ロシア国内を攻撃することで、「ウクライナの正義が揺らぐから」でしょう。

ロシア軍が攻撃し、ウクライナは国内で侵略者と戦っている。この時、国際社会から見てウクライナは「絶対的正義」です。しかし、ウクライナがモスクワをドローン攻撃し、一般人が亡くなったらどうでしょうか?

もちろん、「ロシアが側が先に攻めてきたから」というのはありますが、基本的に、「どっちもどっち」になってしまいます。だから、アメリカは、武器を供与する際、「ロシア領内を攻撃しない」という条件を出しているのです。

モスクワを攻撃しているドローンはアメリカ製ではないと思いますが、基本的にアメリカは、ウクライナのロシア領攻撃に反対なのです。

もう一つ。ゼレンスキーは国連演説でポーランドを批判しました。

『共同』9月21日。
<ポーランドがゼレンスキー氏演説に抗議 9/21(木) 0:07配信 共同通信
【ベルリン共同】ポーランド外務省は20日、ウクライナのゼレンスキー大統領が19日の国連総会演説でポーランドなどによるウクライナ産穀物の輸入規制を批判したことを受け、同国の駐ポーランド大使を呼んで抗議したと明らかにした。>
ーー

これ、大きな影響がでています。

『共同』9月21日。
<ポーランドのモラウィエツキ首相は20日、地元メディアに対し、ウクライナ産穀物の輸入規制を巡る同国との対立を受け「ウクライナへの武器供与をやめ、自国の軍備を増強する」と述べた。>
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ポーランドがウクライナへの武器供与をやめるそうです。これ、とても重要です。ポーランドは、もっとも熱心にウクライナを支援してる国の一つだからです。理由は、ポーランドがウクライナのすぐ西に位置していることです。

ポーランドは、「ウクライナが負けたらロシア軍はポーランドに来る!」と確信している。それで、熱心にウクライナを支援していた。ところが、ゼレンスキーは、そのポーランドとケンカをはじめてしまった。

なぜ、ポーランドは、ウクライナ産穀物を輸入規制しているのでしょうか?

『毎日新聞』9月13日付。
<ポーランド、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアの東欧5カ国は、黒海経由に代わるウクライナ産穀物の輸出ルートとして国内通過を認める一方、安価な穀物の流入による自国農業への打撃を懸念し、ウクライナ産の小麦やトウモロコシなどの国内での販売を禁止している。>
ーー

大国ロシアと対峙するウクライナはこれまで、「同盟戦略」によって善戦してきました。自国を守るウクライナ軍の士気は高く、侵略者ロシア軍の士気は低い。

それもそうですが、ウクライナは、欧米から無尽蔵に武器を受け取ることで善戦しているのです。

ゼレンスキーは、メインのスポンサー・アメリカが嫌がるモスクワドローン攻撃をし、ポーランドと対立している。これは「同盟関係を壊す」重要な戦略的ミスです。ゼレンスキーが、大局的、戦略的思考を取り戻すことを、心から願っています。



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