日本の命運を左右させかねない台湾総統選:231021情報
2024年1月予定の台湾総統選で、野党第一党の国民党と第三勢力の民衆党の選挙協力が実現すれば、政権交代に現実味が出るとの世論調査結果を、台湾有力紙の聯合報(9月27日付)が発表しました。
民進党政権が退場して連立政権が誕生すると「日米台同盟」にとって危機的状況になります。そんななかで立候補する、台湾独立を目指す民進党の頼清徳(らいせいとく)氏とはどんな人物なのか、本日は、当ブログに再三登場していただいている台湾独立運動家の方に、頼清徳さんが世界に提示した4つの戦略について解説していただきます。
◼️ 頼清徳の約束 4本の柱
今年の7月4日、頼清徳副総統の投書がウォールストリートジャーナルに掲載されました。そのテーマは「My Plan to Preserve Peace in the Taiwan Strait」「台湾海峡の平和を維持する頼清徳の提案」というもの。
この提案は、
1.抑止力の構築
2.経済安全保障
3.民主国家パートナー関係構築
4.台湾海峡の安定へ指導力発揮
という4本の柱で構成されています。
1. 抑止力の構築は、台湾国内で軍事改革を行なって自分の力をつけるのはもちろん、アメリカと一緒に軍事訓練や情報交換をして台湾の防衛力を高めることが目的です。
また、2. 経済安全保障は、経済から国家の安全を守ろうという彼の考え方が現れています。
国内に古くから残る規制を緩和して台湾で新しい産業がどんどん誕生するようにしよう。という台湾国内の産業活性化に加え、今、中国に完全に依存してしまっている台湾の貿易を変えよう。中国から何らかの圧力がかかったときに国民の生活が脅かされるということがないように、「アメリカと貿易を始める必要がある」と世界に訴えかけているのがこの2本目の柱の役割です。
そして、3. 民主国家パートナー関係構築には、台湾の「世界の孤児」という立場が現れています。国連に加盟しておらず正式な外交関係がある国が少ない台湾にとっては、「台湾はパートナーとして付き合う価値のある国だ」と世界にアピールしていくことが重要になります。
とはいえ、自分ひとりで関係構築をして行くのは厳しいため、ここでもアメリカの協力が必要になってくるわけです。この3本目の柱にはそういったアメリカへの協力要請の意味も込められていると考えることができます。
最後に、4. 台湾海峡安定のための指導力発揮について。最先端の半導体の9割が台湾で製造されています。その海峡の安定はすなわち世界にとっての利益となるわけです。ここを守って行く覚悟を世界に示したということです。
◼️ なぜこのような投書をしたのか
頼清徳はなぜこのような提案をウォールストリートジャーナルに出したのでしょうか。それは来年1月の台湾総統選が世界にとってどのような意味を持つのかに関係しています。
今回の総統選、一言で言えば「親米vs親中」です。
頼清徳以外のは2人の候補者はどちらも親中で、中国とのサービス貿易協定を復活させようとしているのです。
また、候友宜(こうゆうぎ)という候補にいたっては兵役を1年から4か月に戻すという、中国が喜ぶ政策を打っています。
そんな状況だからこそ台湾の独立を目指す頼清徳さんは、親米路線をはっきりと打ち出す必要がありました。そこで、この投書をするに至ったというわけです。
◼️ このタイミングに込められた意味
また、この提案を総統選挙の半年前である7月にしたということにも意味があります。
まずは、蔡英文総統路線の継承をアメリカ国民と全世界に伝えるということ。これまで通り台湾は親米路線、「自由・民主・独立」陣営の一員として歩んでいくという意志表示なわけです。それに加えてアメリカ政府への協力要請という意味合いもあるでしょう。
また、台湾国民に対しては親米路線を堅持していくというメッセージ、中国に対しては、妥協する気はないぞというメッセージが込められていると考えられます。
ではなぜ、台湾の選挙でここまでアメリカにアピールする必要があるのか。
理由は簡単です。台湾国内の選挙であってもアメリカの影響力が大きいから。実は2012年の総統選挙の際、「アメリカ(当時はオバマ政権)が 蔡英文を支持していない」という記事がイギリスから発信されました。その時の総統選挙の結果は、親中派の勝ち。独立派である蔡英文さんは負けてしまいました。
それだけ、「アメリカがどの候補者を支持しているか」ということに台湾人は注目しているのです。このことからわかるように、台湾の総統選挙を勝ち抜くにはアメリカの理解がとても重要です。
そういうことを頼清徳さんは理解しており、選挙の半年も前にアメリカに対してこのような発信を行ったのです。
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