赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

バイデン弾劾の裏事情

2023-10-05 12:00:00 | 政治見解



バイデン弾劾の裏事情 :231005の02情報



アメリカでは野党・共和党が多数派の議会下院で、バイデン大統領が次男のビジネスに不正に関わっていたなどとする疑惑について、大統領の弾劾に向けた調査が始まり、アメリカ議会下院では28日、大統領の弾劾に向けた初めての公聴会を開きました。

このなかで共和党のコマー委員長は「バイデン氏は国民に対して公務と私生活を区別していると言うが、それはうそだ」と述べて、大統領は説明責任を果たすべきだと訴えました。

大統領の弾劾訴追には議会下院の過半数の賛成が必要です。下院では現在、共和党が多数派ですが、その差はわずかで、弾劾訴追には共和党内でも慎重な声があることから、実際に訴追されるかどうかは不透明です。

さて、この間の裏事情を国際政治学者は以下のように説明しています。

なお、本稿とは直接関係がありませんが、参考までに。米下院は10月3日、共和党のマッカーシー下院議長の解任を求める動議を採決し、賛成多数で可決しました。下院議長の解任は米史上初。下院の議席数は共和党221、民主党212。採決は賛成216、反対210。共和党の8人と民主党の208人が賛成に回りました。マッカーシー氏は身内の反乱で議長の地位を追われたことになります。


マッカーシー下院議長が共和党トランプ派の突き上げを食っていて「弾劾プロセスを始めないのか、ダラ幹だ」と言われて責められていたのですが、いよいよ9月12日にバイデン大統領の弾劾に向けた正式な調査の開始をしました。下院で該当する委員会が3つくらいあるようですが、そこに指示を出したということです。

結論から言うと、1番目はその事実、2番目に弾劾までいくかというと、現在の上院・下院の構成では無理と言って良いでしょう。

なぜなら下院が「これは弾劾に値する」と言っても、最終的に決めるのは上院だからです。上院は今、51対49で民主党が2名多いという状態になっています。そうすると18人の裏切り者が民主党から出ないと弾劾できません。上院の出席議員の3分の2というのは100名が全て出席すると67名が必要となるのです。民主党から18名の裏切り者が出るということはあり得ないから、弾劾は最終的にはできません。

3番目として、弾劾は非常に長いプロセスになるので、普通にいったら来年の夏休み明けという話になります。

それから2ヶ月後の11月には次の大統領選挙ですから、あまり意味がないのではないでしょうか。しかし、そうではないという側面があって、なぜトランプ派の人たちが一生懸命急がせているのかと思うと、これは議会の委員会が捜査権を持って、召喚状を発行して証人を呼んで発言をさせるからです。

この召喚状には法的強制力があります。証拠を出させるにしても委員会が召喚状を出して「各省庁、司法省の書類を出しなさい」と言えば、出さざるを得ません。

そうすると、バイデンファミリーが外国から賄賂をとっていたという事実が、より明確な証拠をもって国民の前に示すことができます。そうすれば2024年の選挙でトランプが有利であろうということなのです。だからこそ、どうしても弾劾をやりたいということになります。

加えて、マッカーシーが指令を出して弾劾プロセスを始めたということの裏には、こういう話があるという話をいたします。それは民主党のエスタブリッシュメント、民主党側がバイデン降ろしを始めたということです。やる気のバイデンおじいちゃんをこのまま出しておいたらやばいということがわかってきたので、引きずり下ろさないといけないと民主党のキングメーカーたちが決断したということだと思います。

マッカーシーは元々ユニパーティー的、かつ共和党エスタブリッシュメント的な色の濃い人です。だから、トランプ派の人たちは彼が下院議長へなることに対して随分と抵抗をしました。最終的にはトランプ派と妥協して約束をして、下院議長の王座を射止めたという人です。

彼が弾劾をやるということは民主党側も“バイデン引きずり下ろし工作”を始めたということが明確になりました。民主党の方も本音では反対しないということを確かめた上で、弾劾プロセスを始めたということではないでしょうか。

それから明らかにリベラルの大手メディア、メインストリームメディアも含めて民主党エスタブリッシュメントが引きずり下ろし工作によって“バイデン引きずり下ろし”を始めたということの、もう一つの間接的な証拠と思われるものがあります。

それはカマラ・ハリス副大統領に対する態度です。カマラ・ハリスは無能だから大統領になったら困るのですが、通常はバイデンを引きずり下ろした時点で副大統領が昇格してしまいます。しかし、面白いことがありました。

9月6日、インドネシアのジャカルタで開かれたASEANサミットに、アメリカを代表して出たのが副大統領のカマラ・ハリスです。その日にAssociated Press(AP)の記者が次のような質問を投げかけました。「バイデン大統領に万が一のことがあった場合、あなたは大統領になる準備ができていますか?」と言ったのです。

私の記憶にある限り、メジャーな大手メディアの記者が注目を集める場所で、このようなストレートな質問をしたのは初めてだと思います。それに対してカマラ・ハリスは「バイデン大統領は健康で職務に精励しており一生懸命やっているし、政権運営は上手くいっている」とそつなく答えました。

しかし、副大統領というのは憲法上定められたことであって、大統領に万が一のことがあった場合も大統領職を継承するという覚悟で副大統領になったときから、その覚悟・準備はできているという受け答えをしたわけです。AP記者の質問も含めて、いよいよ“バイデン引きずり下ろしプロセス”が公然と始まったなと捉えていいと思います。

また、反トランプのウォール・ストリート・ジャーナルで9月12日に社説において「既におよそ2000万ドル(約30億円)がペーパーカンパニーを通じてバイデン氏の親族および関係者の元に渡っていることがわかっている」と書かれていたのです。これは賄賂以外の何ものでもありません。ハンター・バイデンというバイデンの兄弟が金もらっているのです。

その社説には続けて「ペーパーカンパニーは自分がしていることを誰にも知られたくないときに使うものだ」と書かれています。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルは調査に値するが、これまでの調査では収賄罪とか重罪及び軽犯罪を理由とした弾劾について憲法が定める基準に達していないとも言っているが、私は達していると思うのです。

確かにウォール・ストリート・ジャーナルも既に約2000万ドルの金がペーパーカンパニーを通じてバイデンファミリー及びバイデンの周辺に渡ったということは認めています。これはオバマ政権の副大統領のときの話です。息子のハンター・バイデンが賄賂をウクライナの会社からもらっていたということを追求していて、ウクライナの検事総長をクビにしたということは、公然とわかっているのです。

さらには、お金をもらって自分の影響力を行使したということもわかっているので、私はウォール・ストリート・ジャーナルの意見と違って、今の時点でバイデンは弾劾に値すると思います。

しかし、アメリカの政治情勢はそのようにはなっていません。これをやること自体は大事であるのと同時に、民主党のエスタブリッシュメントが既に“バイデン引きずり下ろし工作”を始めた可能性が濃厚であるということです。  





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意外としぶといロシア経済の底力

2023-10-05 00:00:00 | 政治見解



意外としぶといロシア経済の底力:231005の01情報


イギリス国防省は9月28日、ウクライナ紛争の状況に関する分析を更新。

「ロシア空軍がウクライナ侵攻を開始した2022年2月以降、戦闘で約90機の固定翼機を喪失した」との分析を明らかにしました。「ロシアは空軍の見込みよりも早く、機体の残存寿命を食いつぶしている可能性が高い」としています。また、「需要の増加や制裁によるスペアパーツ不足により、航空機のメンテナンスに支障をきたしている」といいます。

これを見ると、ロシアの戦力ダウンは必至で、ロシアの配色濃厚の様にみられるのですが、どうも西側報道を鵜呑みにはしにくいものがあります。なぜなら、ロシアは欧米諸国による制裁にもかかわらず、原油供給量を今春に50%増やした背景があり、経済は潤っているのではないかと思われるのです。

この間の事情を、国際政治学者は以下のように解説しています。




これは日本にとって悪いニュースです。

初めにニューヨーク・タイムズが9月13日に報道したのですが、ロシアの砲弾の生産能力は欧米の7倍と書いてあります。ウクライナ戦争を始めたときは非常に貧弱だったけど、彼らなりに部品の調達網(サプライチェーン)を構築して制裁を回避しながら、砲弾の年間生産能力は欧米の7倍となる200万発となり、戦車も200両という侵攻前の2倍の数を現在保有しているそうです。

ロシアは品質を犠牲にするけど兵器のコストダウンに成功しました。例えば、155ミリ榴弾砲について言えば、ロシアはアメリカのコストの10分の1で砲弾を生産できると言っています。質は悪いけども大量生産できるので、長い戦争にも耐えられるということです。

それから2023年の4〜6月期のロシア経済がプラス成長になりました。

前年同期比の速報値でGDP4.9%も増加しています。ウクライナ戦争を始めてから今までずっとマイナスで、2022年の年間GDP成長率は前年に比べてマイナス2.1%でした。

しかし、今年は第2四半期でプラス4.9%だったということです。そして、2022年のロシアの原油生産量は前年比で2.1%増加しています。ロシア産原油の対中輸出は金額で44%も増加しているのです。

それから欧州諸国もロシアから液化天然ガスをいっぱい買っています。ロシア産LNGをヨーロッパ諸国が引き続き大量に輸入しているようで、今年の1月から7月に欧州諸国はロシアの液化天然ガスを50億ドルも輸入しているのです。

欧州諸国が買っているロシア産液化天然ガスの量はウクライナ戦争前と比べて40%も増えています。また、インドがロシアのエネルギーを間接輸入しているのではないのかということです。

ドイツは2023年1月から7月にインドからの石油製品の輸入を急増させました。金額上は前年同期の1100%(11倍)という大幅増加となっています。これはディーゼル油とか、ヒーティングオイルという暖房用のオイルの原料を輸入しているのですが、結局、ロシアから原油をインドが輸入して、インドで製品化したものをドイツが輸入しているということから、ロシアからロシア産原油を買って間接迂回輸入しているのと一緒だと言って非難の声が出ています。

9月14日付けの日経朝刊を見ますと「EUのロシア産LNG(液化天然ガス)輸入、最高水準脱却依存と裏腹、原油高でロシア収入増、8月輸出額10ヶ月ぶりの高水準」と報じられました。

これはロシアの継戦能力が十分にあるということです。これに輪をかけているのがバイデン政権の自殺的な政策でして、バイデン大統領は9月6日にアラスカの野生生物保護区で石油ガス開発をするという許可があった土地商用案件の7件を取り消しました。

これはトランプ大統領がOKと言っていたもので、アラスカも国有地が多いですから民間企業が連邦政府から土地をリースしてもらって、その土地で石油や天然ガスを開発するという許可が7件出ていたのですが、これを全部潰したのです。現地先住民の生活と生物保護が優先であると言って、やっているのですがこんなことをやっているから石油の値段も上がっていくし、アメリカは自分で自分の首を絞めているということになってしまっています。


(午後は『バイデン弾劾の裏事情』をお届けします)




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