コラム(373): 選挙の敗者は左派メディア
総選挙の結果が出そろいました。
自民党は公示前の276から15減の261議席となりましたが、それでも17ある常任委員会の委員長と委員の過半数を確保する「絶対安定多数」を維持しました。
一方、立憲民主党は公示前の110から14減の96議席となりました。共産党も公示前の12から2減の10議席となり、野党候補の一本化は両党の思惑とはきわめて異なる結果となってしまいました。
「立民躍進」の文字が消された
今回の選挙では、立憲民主党の枝野氏が「政権交代」を叫ぶほど野党陣営の強気が垣間見て取れましたし、左派メディアも「野党共闘、確かな効果」と報じて強くバックアップしていました。しかも、NHKや左派メディアは開票開始の直後までは「自民の過半数微妙、立民増」を報じていましたが、開票が進むにつれトーンダウンさせています。これに伴い、時事通信は、ネットでの「立民躍進」との報道を見えなくするという措置を取りましたが、それでも自民が大負けでなかったことが悔しかったのか「自民議席減」を強調していました。
メディアの期待がかなわなかったことは、2009年の総選挙で民主党に308議席を獲得させたメディアにもはや力がないということを意味します。あの時分は、読売新聞を含めて全メディアが総力を挙げて自民党をたたき、民主党政権を力強く後押しをしました。ある分析によれば、テレビ・メディアがもっと特番を組んでいたらさらに民主党の得票巣は伸びていたとの指摘もあるほど、民主党政権はメディアの力によってつくられた政権であったと言っていいと思います。
その夢の再現を狙ってこの数年自民党に対して激しい攻撃を仕掛けていた左派メディアにとって、今回の選挙は千載一遇のチャンスになりうるはずだったのですが、現実は、メディアが思い描いたシナリオとは全く違う結末となりました。有権者はメディアがいくら煽ってもメディアの思惑とは全く違う選択を行ったのです。
自民と野党の一騎打ちであっても、多くの選挙区では、自民党が嫌いでも、立憲民主と天秤にかければ自民を選択せざるを得ないほど、左派メディア一押しの立憲民主が支持をえられなかったわけです。ちなみに第三極の候補者がいれば、反自民の票は第三極に流れます。これが維新、四倍増の背景です。
世論操作ができなくなったメディア
「メディアが世論を動かす」という幻想をメディアは早急に捨てるべき時が来たようです。彼らには、自分の期待する方向に世の中が進んでいるように見える幻想にとりつかれており、客観的な事実には目をつぶるという欠点があります。そのフィルターを通して見れば確かに彼らが描いた通りの世界が見えるようです。
要は、彼らは彼らの夢見る世界がいまにも現実化し、現実化が遅ければ言論の力で世論を誘導すれば自分の思いは実現すると強く思い込んでいる一連の人びとなのです。したがって、仮に、現実から幻想をぶち破られたとしても、現実の方が間違った現実であると強く否定し、現実をさらに捻じ曲げようと考えているのです。朝日、毎日、共同の各社や系列テレビの報道、論調にはいつもそれがあふれていることはお気づきだと思います。
しかし、彼らの主義主張と幻想に共感を抱く人は少なくなりました。なぜなら、彼らの主著の奥にある反国家の思想、反国家の感情が世の中の人びとに受け入れられなくなってきたからです。しかも、彼らがシンパシーを感ずる国々がたびたび日本を威嚇することによって、彼らがそれらの国々と仲間であることがばれてきたのです。
例えば、わが国に脅威をもたらす北朝鮮のミサイル実験は選挙の公示日に、ロシア艦船を伴った中国軍艦の津軽・大隅海峡通過は投票日の5日前と、国民感情を逆なでる行為を行いました。これに対して左派メディアはそれらの示威行動に重きを置いて、日本がかの国々と敵対するのではなく融和することが、危機を回避する正しい選択であるかのような報道を試みていました。言うなれば、かの国々の気持ちを代弁していたわけです。
事実、その影響を受けて立憲民主などは、表向きには日本の安全保障政策は重要と言いながら、本音では「沖縄の辺野古基地建設を中止」を表明し、国防の空洞化をはかる政策を発表しています。
そうした政策を見た上で、国民は結局、自民と立憲民主を天秤にかけて選択した結果が今回の総選挙だったわけです。表現を変えれば、左派メディアの手のひらの上で踊った立憲民主は国民に見放され、それを扇動した左派メディアは国民からもはや相手にされなくなったという証明でもあります。
今後ますます、左派メディアにとって厳しい環境になると思いますが、慣れ親しんだ主義主張や思想は変えられませんので、自滅の道を歩むほかはありません。左派メディア終焉の始まりが今回の総選挙だったようです。
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