topics(583): 安倍元総理は人事の天才である
政権批判者のたまり場であるヤフーのサイトに、二階元幹事長が久々に登場、都内の後援会での「国葬やらなかったらばか」発言に批判が殺到していました。記事は、朝日新聞記者の転落コースの『女性自身』で、悪意ある記事と悪意あるコメントを出すヤフーにはうってつけの内容となっていました。
さて、ここでは二階さんの発言についてではなく、久々の二階さんの登場を見て、そういえば二階さん、安倍元総理のもとで長いこと幹事長にとどまっていたなということを思い出して、もしかして二階さんの役職は、安倍元総理の絶妙な人事配置によるものではないかとの思い、それを少しく考えてみたいと思ったわけです。
二階さんの足跡をたどってみると、2012年の衆議院選挙で圧勝した安倍政権下で衆議院の予算委員長となり、2014年9月に党総務委員長、2016年8月に党幹事長に就任し、次の菅内閣が終わるまでその職にとどまりました。その間、私のようなイデオロギー的保守にとっては、なぜ安倍元総理が、媚中派で利権派の二階さんを党の要職に起用するのか、といつも疑問に思っておりました。
このことは私と同様のイエオロギー的保守派の国会議員が、二階さんの派閥である志帥(しすい)会から抜け出ていることからもわかる通り、祖国防衛を第一に考えるものにとって安倍人事は、実に不可解だったのです。
しかし、今考えてみるとこれは安倍元総理の絶妙な人事配置ではなかったかと思えるのです。それは、二階さんが15歳も年下の安倍元総理につかえ、安倍元総理の命がけの課題である安保法制の成立にむけて大きく貢献したことから、そう思うようになったわけです。
安保法制の成立は2015年ですが、その法案のとりまとめについては政務調査会とその上の政調審議会を経て、総務会で満場一致の議決が必要となります。当時の総務には、集団的自衛権そのものに反対する村上誠一郎氏がおり、全会一致になるには至難の業でした。しかし、議決を取る直前に同氏が退場し、満場一致となったわけですが、ここは老獪な二階さんが総務会長だったから彼の思惑通りの展開になったのではないかと思います。
さらに、中国にとっては、落ち目の小沢一郎氏よりも天下の自民党の総務会著である二階さんは最も大事な存在になっていました。和歌山に多数のパンダがいることがそれを証明しています。日中間の最大の太いパイプがあるからです。こんな関係の二階さんが、中国の最も嫌がる安保法制の議論をまとめたとなると、中国はお得意の罵りを自民党に浴びせることはできません。せいぜい、金を配っていた野党に頑張ってもらうしかなくなりました。
しかし、野党の抵抗は、所詮パフォーマンス。国対を通じてお金でも流されればうまく立ち回りながら国会の最前線から逃げ出した野党の連中もいるはずです。また、派手なパフォーマンスをしていた連中も怪しく感じています。こんな連中は、老獪な寝業師がいれば、パフォーマンスをさせてガス抜きし、強行採決の形を取れば野党としての言い訳も立ちます。ペーペークラスならワイシャツの仕立券、靴の購入券程度で済むこともあります。
野党議員を熟知している二階さんクラスならお手の物です。安保法制も野党国会議員の派手なパフォーマンスで終わりましたが、今思えば、総務会長としての二階さん、直接は動かなくとも指南役として活躍していたのではないか、そんな風に思えてなりません。
こうして考えると、才能を見出し最も活躍できる場所に人を配置する天才、それが安倍元総理だったのではないかと考えるようになりました。その人材配置の妙は、おそらく、安倍元総理の人に対する優しさと気配りにあったからではないかと思います。
私自身、安倍元総理と直接にお目にかかったことが何度かあります。
お父上の安倍晋太郎外務大臣の秘書のときは、やや、やんちゃな印象を受けましたが、お父上の葬儀のときにお目にかかった時は将来の嘱望される政治家の顔になっていました。
そして、ある代議士との対談に同行したころは内閣官房副長官でしたが、同行する私にさえも丁寧にあいさつをされていました。昔から福田派ー安倍派の系譜は国会議員以外を見下すのが伝統なのですが、安倍元総理に限ってはそのようなことは一度もありませんでした。
おそらく、安倍元総理は一人ひとりに対して誠実に向き合い、あたたかく接していたからだと思います。それが、直接接する人の心に響き、それが周りの人びとにまで伝わったからだと思います。ここに、人びとの心に共感を生む安倍元総理の人事の天才たる所以を見ます。
それにしても、任期をあと二年残していた時に内閣改造をおこないましたが、その際、長年の同志だった国会議員を国務大臣に任命しました。最後の年でも間に合うのにと思いましたが、その時、任命しておかなければ後に体調を崩して退陣せざるをえなくなっていましたので、これまた、優れた判断であったと後になって理解しました。
最もふさわしいときに、最もふさわしい人を登用する、これが安倍元総理の真骨頂だと思います。それにしても惜しい方を私たちは失ったものです。
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