コラム(463):日本に害悪しかもたらさなかった日中友好
――日中国交樹立とは何だったのか③
中国の掌で躍らされ続けた日中友好――日中国交樹立とは何だったのか①
日中友好の黒歴史――日中国交樹立とは何だったのか②</a>
国交樹立の節目の年に事件が発生する
日中関係は中国の思惑に左右されますので、日中間が友好であったためしはほとんどありません。見せかけの友好ばかりで、中国に不利益があると中国は子供のようにわめきちらします。
たとえば、国交樹立30年(2002年)の節目の年には、小泉純一郎総理(当時)が靖国参拝しましたが、それに対し中国は激しく抗議してきました。もともと歴代首相の靖国参拝は眼中になかったのに、1985年の朝日新聞の反靖国キャンペーンを見て、政治カードに使い始めたのです。以降、事あるごとに靖国参拝を問題視し続けています。しかし、これは典型的な内政干渉であることは間違いありません。
また、国交樹立40年(2012年)には、2010年9月7日に起きた「尖閣漁船衝突事件」を契機に、野田内閣が尖閣を国有化しましたが、これに対し中国は過去最多となる6隻の「海監」を尖閣に領海侵犯させました。さらに、9月18日には過去最多となる12隻の公船を接続水域に侵入させ、このうち3隻に領海侵犯させました。以降、領海侵犯や接続水域へ航行は日常茶飯事になっており、海上保安庁は休む暇もありません。
国交樹立50年の今年は、中国の行動がますますエスカレートし、軍事力を露骨なほど誇示するようになりました。特に台湾周辺での活動は活発化、常時演習状態にあると言わるまでになっています。もし台湾有事ともなれば「沖縄も一緒に攻撃する」と中国軍人が発言しています。
先般の軍事演習は、米国のペロシ下院議長の台湾訪問を口実に行われましたが、これはもともとの計画を前倒しで実施しただけのもののようです。しかし、それでもわざわざ日本のEEZ(排他的経済水域)にミサイルを5発も落としたということは、明らかに沖縄を取る腹積もりであることを物語っています。中国側の日中友好という謳い文句が実に危険な言葉であるかということを私たちは強く認識する必要があると思います。
気が付けば私たちの眼前に軍事大国化した中国があります。日本が、ODAを通して世界の工場に育て上げた中国は、いまや、袖の下から鎧を見せる世界の問題児になってしましました。これもひとえに日本が中国を甘やかしたツケにほかなりません。
このような現状に対し、米国は空母打撃群による周辺海域の警戒や、台湾海峡がどの国の領海にも属さない国際水域であることを示すため、艦艇航行を継続していますが、都合のいい解釈ばかりする中国軍には馬耳東風のようです。ただし、米海軍のみならず、英仏独加の海軍が南シナ海、東シナ海を遊弋し始めたことに対しては恐怖を感じているようで、従来見られた米艦船への挑発行為は慎むよう指令されているものと見られます。
マルクス崩れの人間が最後のたのみとする中国
日中の国交樹立は日本国内にも大きな禍根しか残しませんでした。最大の問題は、死んだはずのマルクス主義の亡霊たちを生き返らせたことです。ソ連の崩壊とともに生きる術を失っていた左翼学者、文化人、ジャーナリストたちが、新たに中国に寄生することで息を吹き返したことです。例えば、先年、菅前総理が日本学術会議から排除したのはマルキストたちです。彼らにとって中国こそが思想的な祖国であり、中国の利益のために宇おいている人たちなのです。だから、野党が中国の意向に沿うようしつこく抗議し続けたのです。
しかし、彼らの思想は時代遅れの噴飯ものです。例えば、経済学者は、未だにマルクス経済学を使って日本の経済政策を批判し、政治学者や憲法学者は「日本は帝国主義だ、軍国主義だ」とのたまい、「国家は悪いことをするのだから抵抗して何が悪い」と居直りながら思想界を跳梁跋扈するさまはいかにも異様です。天が彼らを召すまでのあと十年くらいは辛抱しなければならないのかもしれませんが、ちょっと心が重たくなるのも事実です。
そんな思想的に狂った人たちが、彼らの信奉者を使って、「アベガー」と叫ばせ、国葬を反対させているのですが、その背後には彼らが崇拝してやまない中国が介在していることは明らかです。
なぜなら、安倍元総理こそが中国つぶしの元凶と認識しているからにほかなりません。いまや、安倍元総理の発案でアメリカの世界戦略となった「自由で開かれたインド太平洋戦略」が実現、中国包囲網の完成で、中国が完全に封じ込められていることに苛立っています。これを打ち破るために戦争を起こしたくても、直ちに叩き潰されるという現実に直面する習近平氏は切歯扼腕しているのです。
したがって、中国は、あの安倍元総理さえいなければこんなことにはならなかったと考え、安倍憎しの一点で、安倍元総理の功績が世界的に讃えられる場である国葬儀をつぶすことに全力をあげているのです。いまその指令を受けた人びとが騒いでいるのはご承知の通りです。
こんな迷惑な話はないのですが、ここにも中国を甘やかしたツケがとなってあらわれてきたのです。
わたしたちは、日本の対中政策の失敗と、中国の意のままに日本が操られてきた事実を再確認し、猛省すべき対象として、日中国交樹立50年を振り返らなければならないと思います。
後日、改めて中国という国家をどうとらえるべきかを論じたいと思います。
(終わり)
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