赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ミャンマーで起きていること current topics(551)

2021-03-10 08:57:41 | 政治見解



current topics(551):ミャンマーで起きていること 

2月1日にミャンマーで軍によるクーデターが発生、軍は国民民主連盟(NLD)の党首のアウン・サン・スー・ チー国家顧問とNLD幹部ら多数を拘束しました。軍は「(改選議席の8割以上をNLDが獲得した)昨年11月の総選挙改不正をただすため」との理由を挙げています。しかし、欧米や日本を含む海外の監視団は選挙直後に「選挙は公正に行われた」と表明しているものでした。

現在、軍は1年間の非常事態宣言を行って立法・行政・司法の全権を掌握しています。これをめぐって国民の側からは抗議デモが相次ぎ、ゼネスト前夜の状況となっています。また、NLD議員らによる臨時政府の動きも出てきています。

ミャンマーは、貧困層が全人口の2割以上に及び、軍のクーデター前の昨年10月には、新型コロナウイルスの感染拡大が原因で稼ぎ頭が仕事をしていない世帯が35%に達していたと言われ、さらに現在では、抗議のためのストライキで給料を得られない人も出ている状況です。

そのため、このままの状況が続けば、新型コロナウイルスと経済苦による二重の苦しみにより、国家としての存続どころか社会的規範が失われかねない事態になることも想定されます。

また、国際社会は軍のクーデターの背後には中国があると見ていますが、国連は無力で安保理決議もままならない状況です。せいぜい、軍がミャンマーの政府資産10億米ドル(約1,078億円)に手を付けようとした際、米国のニューヨーク連邦準備銀行が差し止めた程度の制裁を課しただけでした。

一方の中国は「NLDと軍側のいずれも友好的な関係にある」、「全ての関係者に自制と、政治と社会の安定を保つことを呼び掛けている」と述べるにとどめています。

しかし、中国の本音は、ミャンマーがベンガル湾からインド洋に直接接続できる要衝の地であり、マラッカ海峡や南シナ海を経由せずに中東から運ばれた石油がミャンマーで陸揚げして中国に運び入れることができるようになっています。すでに中国の雲南と結ぶ原油とガスのパイプライン(全長約800キロ)が完成しています。

また、現在は中断されていますが、雲南からミャンマー第二の都市マンダレーに至る高速鉄道が完成すれば、中国の一帯一路構想に弾みがつくと見られています。そのため。昨年1月にミャンマーを公式訪問した中国の習近平主席は今後の3年間で約637億円の供与を確約したほどで、中国にとって東南アジア支配の戦略的拠点になっています。

結局、ミャンマーの争乱は、国内事情のみならず、中国と中国に不快感を抱く国々との思惑が交錯していると考えられます。

これらの問題に対し、当ブログが最も信頼する情報源は以下の分析を寄せています。



ミャンマー国内は、人々の心が不満、不安、憎しみで複雑に分断されています。
さらに暴力がその感情を増幅させています。

暴力の背後にすべてを奪い取りたい覇権国家の存在があります。
実は中国の思い通りにさせたくない国々も、「民主化や人権」を口実に暴力で対抗しようとしています。
中国に対抗する国々は、自分たちが得るべき利益を中国に取られたくないのです。

つまり、世界中の国々が自国の利益、欲望を基本に奪い合っているわけです。
中国だけが悪玉ではないのです。

この状態はミャンマーだけにとどまらず世界中で生じています。
この状況が地球にどのような事態を引き起こすのかは想像に難くありません。




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