赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナの悲劇から何を学ぶのか コラム(390)

2022-02-25 10:11:05 | 政治見解



コラム(390): ウクライナの悲劇から何を学ぶのか

小学校低学年のころ父に「日本が外国に攻め込まれたらどうなるの?」と尋ねたことがあります。父は「国連軍が守ってくれる」と即答しました。父は典型的な保守でしたが、それでも当時の日本に蔓延していた奇妙な国連信仰に影響されていたのだと思います。それに、私が生まれる前の年にはじまった朝鮮戦争での国連軍の存在も念頭にあったのかもしれません。

しかし、今度のロシアによるウクライナ侵攻で国連はいつものように何も機能しませんでした。まして、何十年と聞いたこともない国連軍がウクライナに駆けつけるわけでもなく、日本の学校教育で熱心に教えた国連中心主義や平和授業などが絵空事であることを証明するだけでした。

今回のウクライナの悲劇は、厳しい言葉かもしれませんが、ウクライナ自身の甘さにあったと言わざるを得ません。

ロシアという国はソ連時代を含めて自国の領土の外に衛星国を置き、そこを緩衝地帯とするという小心者の国家です。その緩衝地帯のひとつにウクライナがあり、ロシアにとっては絶対に西側にもっていかれてはならない国でした。そのことはウクライナ自身よくわかっていたはずです。

それにもかかわらず、ウクライナはその問題を重要視せず、西側諸国になることを夢見ていました。しかも、ウクライナが保有するソ連製の核兵器を廃棄すれば「ウクライナを守る」とのNATO諸国からの甘い言葉を本気で信じてしまったのです。つまり、ロシアへの強力な抑止力である核を自ら捨ててしまったことが今日の最大の悲劇の主因なのです。

抑止力がなくなったことを見越してロシアは侵攻したのですが、一方、ウクライナを守ってくれるはずのNATO諸国はロシアとの戦争になることを恐れて、経済制裁だけでお茶を濁そうとしています。ウクライナの考えは甘すぎました。生き馬の目を抜くような国際社会でそれは通用しなかったのです。

しかし、翻って日本のことを考えれば、ウクライナを笑うことはできません。ウクライナの現実が日本の現実と重なって見えるのです。日本の憲法前文、9条はウクライナと同じ考え方だからです。

しかも、中国が虎視眈々と日本を狙っているにもかかわらず、政府の要職者、自民党の国会議員のかなりの人が中国に取り込まれ、改憲して国を守ることを第一義にしなければならないことは眼中にありません。

まして、野党の政治家は非常事態にも関わらず、ウクライナの危機が日本の危機であるのに、まるで他人事のように振舞っています。立憲民主党の泉健太代表は「断じて容認できず」と述べたところで、蓮舫氏が「(ロシアの軍事行動に)容認できません。ウクライナの皆さんに連帯します」と述べたところで、ウクライナは救われるわけではありません。

一方、日本共産党の志位和夫委員長は「『 国連憲章を守れ』の一点で世界中が力を合わせる時です」と精神論を説いています。精神論というのは、現実が動き出す前には有効でも、現実が動き出してからでは効果はありません。せいぜい行動の一部を瞬間的に停止させるだけの効果しか期待できないのです。物理的に動き出した作用を止めるのは物理的な力しかありません。この分では、日本が侵略を受けても、志位さんは「平和憲法を守れ」と叫ぶだけで、国民の命を守る行動は何も起こさないと思います。

言うなれば、日本の反戦平和主義者とはカルト宗教の信者と同じで、教祖(党中央)の妄想を固く信じてそれ以外の真実を見ようとしない人たちなのです。現実を拒絶する分、反戦平和を唱えながら暴力的で闘争的な側面を見せるという矛盾撞着した考えに陥っているのです。

なお、余談ながら、社民党のようにロシア支持をツィートし(※1)、後日、黙って削除した例もあります。私たちが見る現実と彼らが見る現実は、同じものでありながら全く違って見えるのかもしれません。ロシアがウクライナに侵攻しようが、中国が台湾や沖縄に侵攻しようが、カルト脳になっている彼らには認めがたい現実が続くと思いますが、彼らはそう簡単にこれまでの考え方を変えるのはむずかしく、これから起きる現実にどういう詭弁を弄してくるのでしょうか。

※1:社民党機関紙「社会新報」;米国のバイデン政権や主流メディアはイラク戦争時のように怪しげな情報を拡散しながら、「ロシアのウクライナ侵攻」を宣伝している。だが真に論議されるべき課題は、ロシアが求めている安全の保障なのだ。


ただし、国民はこの状況を看過することはありえません。憲法がこのままでいいと思うはずもなく、国会で改憲議論を阻む勢力(公明党を含む)に対して厳しい視線を注ぐことは間違いありません。

本年7月の参議院議員選挙で国民の意思がはっきり示されると思います。立憲民主党、日本共産党にとって冬に逆行する時節が到来したようです。



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