土狸庵ゆめ日記

土タヌキおやじのひとりごと。

一閑楽座考5

2013年11月25日 22時03分04秒 | 一閑張り考
10年ほど前の、目からウロコの品がコレ!





どちらも江戸時代の一閑張りを修復したもの。

ある古物屋さんで見つけたものだったが、古物屋さん曰く、
どうやら江戸時代の防火用の備品だったらしい。

竹かごを和紙で貼り固め、柿渋と漆で塗り固めてあり、
持ち手には竹の棒が付けられている。
いまで言うバケツのような役目だったそうな。

でも、水を入れるなら木の桶のほうが丈夫だと思うので、
その真意は確かでは無い。

そんなことより、このフォルムと侘びの美しさに一目ぼれ!
かなりボロボロで、触るのも危うい感じだったが、
残せる部分を出来るだけ残して古文書で幾重にも補強、
柿渋で塗り固めて、なんとか修復したものだった。

これぞ一閑張り!と、目からウロコが落ちる思いがして、
展示会でも非売品として大切にしていたのだが、
妙齢なご婦人に「花活けにどうしても!」とせがまれ、
出された金額にコロッと負けて手放してしまったという、
まことにお恥ずかしい、苦い想い出のある品だ。



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一閑楽座考4

2013年11月23日 20時13分28秒 | 一閑張り考


平成10年頃、自分用に作ったバッグ。
雑巾で書いた墨文字の雪月花が印象的だった。

あじろ編みの竹の板を箱状に組み立てて、
男性が持っても違和感のないように角をたて、
平皮の持ち手とショルダーベルトもつけてみた。

これが意外と好評で、別に10個ほどを作ったが、
材料が手に入らなくなって、いまでは作れなくなってしまった。
いまも現役で活躍してくれている、愛着のある一品だ。



同時に、赤い椿のバッグが作られた。
淡い灰色で縁どりがされ、葉は緑色だった。
この椿のおかげで、一閑張りの創作にも自信が持てたし、
いつしか、赤い椿が私のトレードマークになった。

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一閑楽座考3

2013年11月20日 18時25分51秒 | 一閑張り考


平成9年頃から、バッグ作りが始まった。

夏になると、街で竹のお買物かごを見かける。
同じ竹かごなら一閑張りが出来るだろうと、やってみた。
どうすれば貼りやすいか、どんな柄が似合うのか、試行錯誤が続いた。

一番の問題は持ち手だった。
ビニールの持ち手が付いているので、和紙で巻いてみたり、
布のヒモに変えてみたりしたが、どうも美しく出来ない。

いっそ市販の持ち手につけ替えてみたらと、
あれこれ試してなんとか今の形に落ち着いたが、

最初は底の鋲は不要かと思ったが、
使ってくれた女性がトイレに行ったときに、
濡れていた床にそのまま置くのがイヤで、
「アゴではさんでいて大変だった!」
という話を聞いて付けるようにした。

これも、取付の道具を自作するなどけっこう大変だった。
この底鋲は今でも好評だ。

やがて、これが今の一閑張りバッグのブームにつながっていった。

画像は最初に作られた頃のバッグの一つで、今も愛用されています。
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一閑楽座考2

2013年11月18日 19時19分59秒 | 一閑張り考






平成7年、藤枝市内で初めての作品展を開く。

まだ一閑張りを知る人も無く、めずらしさに来客でにぎわうも、
会場内にただよう柿渋の臭いには閉口した。




絵柄も文字が主体でしたが、好きな椿をモチーフにしたものも、
少し作り始めていた。
いまから思うと、素直で良い作品に見えるが、
絵色紙に渋を塗ったというだけのものでした。

作品の渋の色も浅く、これがどんな色に変わるのかも解らず、
まさに五里霧中の出発だった。

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一閑楽座考1

2013年11月16日 20時07分42秒 | 一閑張り考


平成5年、一人の暮らしに馴れた頃、
旅先の雑貨店で見つけた、無地の柿渋色の小さな籠、
それが一閑張りとの出会いだった。

妙に作ってみたくなり、いろいろ調べてはみたものの、
当時はこれといった資料も情報も無く、
「古い籠に和紙を張り、表面に柿渋や漆を塗った漆器の一種」
といった説明がせいぜいだった。

そのため、柿渋を求めて奈良の山中に製造元を訪ねたり、
和紙を探して問屋めぐりをしたり、
いくつかの糊を試行錯誤してみたりと、
あれこれ模索の中で作ったのがこの籠。

最初は墨の文字のみで、椿の花は後で入れたもの。

ただ作りたい!という素な想いが感じられて、
ときおり眺めては初心を思い返してみる、
原点ともいえる大切な作品だ。





コメント (2)
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