名古屋から通ってくれている生徒さんご夫婦。
初めて持ち込んだのがタンスでした。
二月に水洗いと下準備を済ませ、
25日から二日がかりで仕上げました。
こちらはご主人のタンス。明治16年に作られたものでした。
これはさすがに和紙で貼り固めるわけには行きません。
水洗いで汚れを落とし、柿渋で五回ほど拭き塗りを重ね、
錆びの出た金具は黒のペイントで上塗りしました。
後は、時間が色と艶を増してくれる筈です。
こちらは奥さんのタンス。
杉板と洋材のラフな造りのものだったので和紙で下張り。
周りを黒の和紙で貼り固め、引き出しの面部分に帯の布地を張りました。
こちらは刺繍の絢爛さを残したかったので、クリアニスで表面を保護。
後は取っ手の金具を付けて完成です。
こんなに大きなタンスは初めての経験なので、ちょっととまどいましたが、
なんとか満足していただけたようで何よりでした。
次は普通のカゴに挑戦したい、と笑顔で帰って行きましたが、
案外、また大きなものを持ち込みそうな気配のご夫婦でした。