小児科に入院していると同じ年代の子供同士仲良くなるもので、
入院中の身としては、
そういったささいなことが精神的に楽にさせてくれる出来事の一つだ。
私が高校一年生で入院した時は、
本来であればもう内科であるが、
中学校からの引き続きで5度目の入院であった為、そのまま小児科に入院していた。
その時、一番年が近い子が小学校6年生で、
私よりも先に入院していた彼は、どちらかといえばガキ大将タイプ。
普段病院内を歩いていても、
「一体何処が悪いんだろうか?」
と多分寝巻きを着ていなければ誰も入院しているとは思えないような元気一杯の子だった。
そんな子であったから、
ちょっと年が離れていて病室も違っていた私にも、物怖じせずに話しかけてきてすぐに仲良くなった。
私の状態が大分良くなって来てからも、彼の元気は相変わらずで、
一日に数回の小児喘息の吸入器をする間だけしか静かな時はなく、よく看護婦さんに怒られていた。
どうして入院していなくてはならないのかと、私も不思議に思っていたが、
その理由を知る日がそれから間もなくやってきた。
彼の病状はとても安定していて、
今度病院から小学校へ通うことになったのだといって、久しぶりの学校へ行ける事にとても喜び、
朝から騒々しく楽しそうに学校へと行った。
そしてそれから僅か2時間ほど経ったころ、
今度は別の意味で騒々しく病院へと担ぎ込まれる形で戻ってきた。
小児喘息の発作が起こったのだ。
いつもの元気な彼からは想像できない程状態は悪く、
呼吸困難の状態になり、
それは酷い苦しみ方をしていた彼をみると、
なんとなく自分がその場にいるのが怖くなった記憶が未だに私には残っている。
その後、
私の方が早く退院したが、
今でも時々あの光景を思い出すことがあり、
今は治って元気に働いていればいいなぁと思う。