アンドレア・デル・サルトは
1486年7月16日にフィレンツェに生まれた
フィレンツェのルネッサンス・マニエリスム期を代表する画家。
父Agnolo(アーニョロ)が仕立て屋(sarto)であったために
「仕立て屋の」と呼ばれています。
仕立て屋にはならず、金細工士として仕事を始め
後に絵描きに転向。
1531年にフィレンツェに没。死因はペストとも言われています。
そんな彼の傑作のひとつが
San Salvi(サン・サルヴィ)の「最後の晩餐」。
サン・サルヴィは7世紀初めに実在したアミエンスの司祭。
彼に捧げる祈祷所を1048年に
フィエーゾレの司祭が建設したものが
基礎となりその後に修道院となり
その修道院の食堂の壁に描かれたものが
アンドレア・デル・サルトの「最後の晩餐」。
1500年代風の室内での晩餐の様子。
部屋はイエス・キリストの友人宅という設定になっています。
まず目を引くのが晩餐の場面よりも上部に描かれた
開廊部分で興味深げに晩餐を覗き込む二人の姿。
これはアンドレア自身と妻を描いていると伝えられています。
そしてメインとなる晩餐の部分。
イエスキリストを中心として12人の使徒。
認識できる使徒は半分程度。
右となりにGiovanni(ジョヴァンニ)、
その脇にGiacomo(ジャコモ)、
Andrea(アンドレア)、Bartolomeo(バルトローメオ)。
左サイドにはGiuda(ユダ)、Pietro(ピエトロ)、
そしてTommaso(トンマーゾ)。
裏切り者とされるユダの姿はたいてい
画面の一番端か
テーブルを挟んで一人だけ反対側に
描かれることが多いけれど
この作品ではキリストのすぐ横。
一番かわいがられていたジョヴァンニと
対称的に描かれているのが印象的。
そのジョヴァンニを安心させるように
手をそっと握るキリストの姿が温かく描かれています。
世界を騒がせるレオナルド・ダ・ヴィンチの
「最後の晩餐」では描かれていないと
話題になったワイングラス。
実はアンドレアの「最後の晩餐」にも描かれていません。
ワインを入れた壷は画面の左下に描かれていますが
それを注いで飲むグラスはテーブル上はもちろん
画面のどこにも描かれていません。
これは謎解きの題材にはならないのだねぇ。
あんまりミステリアスではないからなのか・・・。
San Salviはフィレンツェの街の北東部の外れの
住宅街の一角。
中央駅から市バス(6番か20番)で25分程度。
Cenacolo di San Salvi
Via di San Salvi 16
開館時間 8:15から13:50
休館日 毎週月曜日、1月1日、5月1日、12月25日
入場料 無料
併設されている小さな美術館も
Pontormo(ポントルモ)、Andrea del Sarto、
彼の師匠Franciabigio(フランチャビジオ)、
Raffaellino del Garbo(ラッファエロ・デル・ガルボ)、
Giuliano Bugiardini(ジュリアーノ・ブジャルディーニ)などの
作品を置いていて見応えあり。