「我は海の子」。池波正太郎が随筆で書いているのだが、7月、8月の夏休み前の時期に、夏休みが待ち遠しくて、ワクワクしながら、音楽室で「我は海の子」などの歌を歌った。随分、時代の差はあるはずだが、同じだと思い出す。
池波正太郎は戦前だし、私の場合は、戦後の昭和30年代の初めの頃の小学生高学年か、終わりの頃の中学生時分。あまり変わらなかったに違いない。
で、「日曜の万年筆」という随筆には、浅草観音の浅草寺に7月10日にお参りすれば、その功徳は4万6千日分、つまり百二十六年分の参詣に相当するご利益があるとか、と書いている。まさに、「ほおづき市」が立つ日。昔のお寺も、参詣客を呼び寄せるために、実に「誇大広告」を謳ったものだと、私は思う。
今も昔も変わらない。サプリの効能なども似たり寄ったりの「功徳」に違いない。何せ、この世は、「作って、売る」で、成り立っている。「売って売って、売りまくる」と億万長者になれる。
100回読んでも面白いのは「大破局」。人の欲に付け込んで、紙切れを売るのが、この世の極楽というもの。