Information「Shihohkan Dance-Café」
-今日の独言- 借本がイッパイ
先日(4/3付)触れた辻惟雄「奇想の系譜」は文庫版で読んだのだが、なにしろ図版の多いことゆえ文庫体裁では些かさびしい。因って初版本を図書館から借りることにした。遠い記憶の「絵金」についても再度見てみたいし、そんなこんなで図書館からの借本が、先月からの「芭蕉秀句」と合せて限度一杯の8冊(図書館規定)にまで膨らんでしまった。
今月の購入本
G.ドゥルーズ「スピノザ-実践の哲学」平凡社ライブラリー
ドストエフスキー「虐げられた人々」新潮文庫
富岡多恵子「波うつ土地/芻狗」講談社文芸文庫
扇田昭彦「才能の森-現代演劇の創り手たち」朝日選書
図書館からの借本
広末保・藤村欣市郎編「絵金-幕末土佐の芝居絵」未来社
広末保・藤村欣市郎編「絵金の白描」未来社
辻惟雄「奇想の系譜」平凡社
辻惟雄「奇想の図譜-からくり・若冲・かざり-」平凡社
斉藤慎璽・編「塚本邦雄の宇宙-詩魂玲瓏」思潮社
岡井隆・編「短歌と日本人-1-現代にとって短歌とは何か」岩波書店
富岡多恵子・編「短歌と日本人-4-詩歌と芸能の身体感覚」岩波書店
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<春-43>
面影のかすめる月ぞ宿りける春や昔の袖のなみだに 俊成女
新古今集、恋二、水無瀬恋十五首歌合に、春恋の心を。
先出、業平の恋歌「月やあらぬ春や昔の春ならぬ‥‥」の本歌取り。
邦雄曰く、袖をぬらす懐旧の涙、その涙に映る月、月にはかつて逢い、かつ愛した人の面影が霞む。心と詞がアラベスクをなして絡み縺れつつ、余情妖艶の極致を示す新古今きっての名歌、と。
照りもせず曇りも果てぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき 大江千里
新古今集、春上。
生没年不詳、寛平・延喜頃の漢学者。在原行平・業平の甥にあたる。寛平6年(894)、句題和歌を宇多天皇に詠進。古今集に10首、後撰集以下に約15首。
邦雄曰く、源氏物語「花宴」では、「朧月夜に似るものぞなき」と誦じつつ来る女と、微薫を帯びた源氏の出会う名場面がある。この歌は白氏文集のの中の一句「明らかならず暗からず朧々たる月」を歌にしたもの。結句の、敢えて一言言い添えたところが、古今集時代の特徴であり、この歌のめでたさ、と。
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