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―四方のたより― 山頭火ふるさと会のことなど
今日の「山頭火の一句」、その行乞記にあるごとく、この日、山頭火は大種田破産で故郷を追われる直接の因ともなった種田酒造場のあった大道に、妹とその縁戚を訪れているのだが、この一事に因んでちょうど10年前に防府を訪ねたことを思い出しつつ記しておこう。
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Photo/山頭火の家業だった大道の種田酒造場廃墟の跡-‘01.09.06
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Photo/第10回全国山頭火フォーラムの会場-’01.09.06
昭和54-1979-年に発足したという「山頭火ふるさと会-全国山頭火の会-」の、年に一度の催しに私が初めて参加したのは、といってもこれまでのところ後にも先にもこの折の一回こっきりなのだが、先述したように平成13-2001-年の秋、彼の出生地である防府開催のときで、その名も「第10回・全国山頭火フオーラム」と題されたものだった。
一泊二日のあわただしい旅に同行してくれたのはフリーカメラマンの山崎武敏君。4歳下の彼は熊本出身で、実家は代々黒田藩の御殿医だったという家柄で、彼自身も一旦は熊本大の医学部に進んだものの、なにしろ団塊世代のこと、60年代後半に吹き荒れた大学紛争に自らを投入していった挙げ句に、180度ともいえるような転身をしていったのだろう。
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Photo/護国寺の山頭火墓所にて-’01.09.06
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Photo/山頭火の生家跡にて-’01.09.06
そんな彼と同行二人よろしく、山頭火の墓所である護国寺や大道に残る種田酒造場の廃家跡、あるいは防府天満宮など山頭火ゆかりの地を廻りつつ、フォーラムに顔を出し、またその二次会ともいえる懇親のパーティに出席したのだった。
この席上、生前の山頭火と交わりのあった人々、一昨年3月に97歳の天寿を全うされた下関在住の俳人近木圭之介翁や、1915年生れの山口市在住で詩人の和田健翁とお会いしたのをはじめ、山頭火終焉の一草庵を世話した高橋一洵の子息高橋正治氏、山頭火ふるさと会の会長富永鳩山氏ら、さらには版画家秋山巌氏とも面識を得、名刺を交換したりしているのも懐かしい一齣だ。
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Photo/和田健さんと名刺交換の図-’01.09.06
―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-205
8月2日、朝から酒-壁のつくろひは泥だといふがまつたくその通りだ-、宿酔が発散した。
11時の汽車で大道へ、追憶の糸がほぐれてあれこれ、あれこれといそがしい。
7年目ぶりにS家の門をくぐる、東京からのお客さんも賑やかだつた、久しぶりに家庭的雰囲気につつまれる。
伯母、妹、甥、嫁さん、老主人、姪の子ら。‥‥
夕食では少し飲みすぎた、おしゃべりにならないやうにと妹が心配してゐる、どうせ私は下らない人間だから、下らなさを発揮するのがよいと思ふけれど。
酒は甘露、昨日の酒、今日の酒は甘露の甘露だつた、合掌献盃。
よい雨だが、足らない、降れ、降れ、しつかり降つてくれ。-略-
樹明兄が貸して下さつた「井月全集」を読む、よい本だつた、今までに読んでゐなければならない本だつた、井月の墓は好きだ、書はほんとうにうまい。
石地蔵尊、その背景をなしてゐた老梅はもう枯れてしまつて花木が植ゑてある、ここも諸行無常を見る、一句手向けよう。
※表題句の外、8句を記す
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Photo/同じく、大道の種田酒造場廃墟の跡-‘01.09.06
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Photo/北の旅-2000㎞から―函館の五稜郭タワー-’11.07.24
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