冬坊が中学二年のときの国語ワークブック。
どんな内容だったのかと、今頃になって手にとってみたら、
冒頭のカラーページにとてもすてきな詩がのっていました。
忘れないように、ここに転載しておこうと思います。
いのち
生命は
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべがそろっているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命はすべて
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
私は今日、
どこかの花のための
虻だったかもしれない
そして明日は
誰かが
私という花のための
虻であるかもしれない
吉野 弘