komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

「トーマの心臓」萩尾望都

2016年04月23日 | イラストなどなど

             

 

 「トーマの心臓」萩尾望都(1974.11)

 70年代少女マンガの洗礼を受けた人には、王道中の王道ですね。
 全寮制の男子校を舞台に、深い傷を抱えた少年たちが、葛藤をくり返しながら成長していく物語。
 バナナブレッドと並び、私の心の殿堂で不動の位置を占めている名作です。


 この作品には、人生を形作る要素がすべて入っていると、おおげさでなく思っています。
 そう気づいたのは20代のころですが、50も過ぎたいまこの年になって、20代の私が感じた思いはまちがっていなかったのだと実感しています。
 形作る要素のすべて。
 生きること。死ぬこと。
 愛情、友情、恋情。よろこび、悲しみ、苦しみ、そして救済。


 すべてがこの作品の中にある。すべての要素に、登場人物ひとりひとりが・・・つまり作者自身が向き合っている。
 しかも舞台は、多彩で魅力的な美少年たちがつどう、ドイツの寄宿舎。
 華やかな画面構成で美しさにあこがれる年代の読者たちを満足させつつ、テーマは純文学並みに深遠、それに加えて、オスカー様までいらっしゃるときたら(笑)。
 もう殿堂入りは当然ですね。


 先日、萩尾望都さんの対談集を読んでいたら「若いときだから描けた。いまなら愛のために死ぬなんて考えただけで却下」というような発言をみつけました。
 たしかに!
 実は私、作品のファンでありながらなんですが、トーマの自殺についていまひとつ納得できていなくて。
 ユーリがわかってくれたからいいようなものの、わからなかったら無駄死にじゃないの~! もっと別の方法があるでしょ~? なんてね。
 ただ、トーマは生身の人間というより「無償の愛の象徴」なんだろうな、というふうに理解はしているつもり。天使なんですよね、きっと。


 萩尾望都さんの描く少年は、このあとどんどん進化をとげて、生身の人間になっていきます。
 「トーマの心臓」の魅力のひとつは、美少年たちの中性的(女性的ではなく)な描き方にあると思うのですが、近年の作品に出てくる生身の少年たちは、これまた別の意味で魅力的。
 つくづく、すごいマンガ家さんだなあと感嘆します。
 ちょっと前にEテレで密着番組をやってましたが、正座で拝見させていただきました。
 なんていうか・・・まるで子どもを産んで育てるように、自分の才能をいつくしみ育て、作品として産み落としつづけているのを目の当たりにした気がしました。

 

            つづきます 

 
 「読みましたよ」のワンクリック
     できましたら、ぜひ・・・。

 

   
 
 

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
しらなかったなぁ! (kuri)
2016-04-23 01:18:15
こんばんは~

漫画家さんの名前には記憶があるのです。 他の作品を読んだのか?
なかよし、フレンド、マーガレットを読んだ小学生時代からいくとしつき。
今度探して読んでみたいですね~
ブックオフとかに売っていたら大人買いしようかな?
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おはようございます! (こまち)
2016-04-23 09:23:24
お久しぶりです(*^^*)♪
いつも楽しく読ませてもらってます。
「トーマの心臓」
私は読んでないのですが、里中先生が萩尾先生のところにアトリエ訪問に行かれたのをみて、気にはなっている一冊です。
気になってから25年は過ぎようとしています(笑)!はやく読んだほうがいいなーと感じましたよ(^^*)
komaさんのブログの文章の書き方にもすごいなーと思ってますます読みたくなりました。
ネットで探してみようかな?と思います。

私はわたなべまさこ先生のガラスの城を小学生のときにはまってしまったのですが、読まれたことありますか?
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Unknown (ふかこ)
2016-04-23 10:13:09
私も萩尾望都さんだいすき!
多分あなたと同世代か、ちょっと年上だとおもうのだけれど。
ちなみに、私のバイブルは 内田善美さんの 空の色に似ている
ぶ~け誌上で、リアルに読みました。
あの時代の少女漫画は、果てしなく詩的で繊細でしたね。絵も、ストーリーも、キャラクターもね。もう一度、全部読んでみたい…
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kuriさんへ (koma)
2016-04-23 11:31:51
kuriさん、いらっしゃいませ~♪

萩尾望都さんは少コミだったんですよね。
少女マンガの神さま、とまで言われているので
名前を見る機会は多いんじゃないかと思います。
大人買い、ぜひ(笑)。
でも当時のマンガって画面が込み入ってるので、
慣れるまで読みづらいかもしれないですけどね。
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こまちさんへ (koma)
2016-04-23 11:45:05
あまり更新しないのに、遊びにきてくださってありがとう! 
「ガラスの城」読んだことないんですよ。
名作みたいなので読んでおけばよかったなあ。
あの作者の「聖ロザリンド」や「白いカメレオン」はばっちり読み、
あまりにもホラーなので敬遠しちゃってたんですよね。

こまちさんの天青ちゃんやインコちゃんもときどき拝見しています♪



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ふかこさんへ (koma)
2016-04-23 11:56:58
コメントありがとうございます。
内田善美さんの作品って、いまはもう手に入らないですよね。
もっとちゃんと読んでおけばよかった~、と後悔しきりです。
でも私、イラスト集をいまだに持っていまして、これはもう永久保存版です!
そのうちブログでも紹介しちゃうかも。
ぶ~け、なつかしい。松苗あけみさんとかいましたよね。

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これは参加せねば! (しとこ)
2016-04-23 13:35:03
トーマ大好きです!オスカーラブです!
このメンバーで違うお話があったような気がする・・
それから、それから、
「とっても大好きモトちゃん」とかいうマンガでオスカーが助手役でチラ出演してたのも、一気に思い出した( ..)φメモメモ

トーマは探せばあるかも(全巻はないかなぁ)
「ポー」と「スターレッド」は大人になって、再購入してるし、他にもいろいろと・・

あ、そういえば
萩尾先生の絵を、パクったのもあるかも・・

ちょっと、手作りパウンドケーキ持って、komaさんちに語らいに行きたいわ!!
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しとこさんへ (koma)
2016-04-23 13:57:37
わあ! しとこさん! だだ大丈夫ですか?
ちょうど今日の昼食時、同居の母に「被災した人が筆ペンでスケッチしてるよ。倒壊した神社も描いてるよ、すごい!」って話したとこなんですよ。
天使の絵、とっても素敵でした。あ、そちらのブログでのコメントでなくてすみません。
でもあんまり頑張り過ぎないでくださいね~。

記事を書きながら「しとこさんはポーの一族のほうが好きだっていってたかな? オスカーラブともいってたか・・・」なんて思い出してました。

「モトちゃん」・・・萩尾望都を語るときにもまず取り上げられることのない作品名(笑)。そんなのもあったあった!
「綿の国星」はかなり長く続いて、途中で追いかけるのをやめてしまいました。

 コメントありがとうございました!
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