ぼくは支配されている。
自分自身から。
だれかがぼくに尋ねる。
そこは窮屈じゃないか?
ぼくは答える。
ここ以上に広い世界はないし、安全な世界もない。
そして、笑顔で言うんだ。
ここ以上に孤独な場所もないって。
なぜ彼はぼくを支配するのだろう?
彼はいつも優しく甘い言葉で夜にぼくに囁く。
きみを本当に愛しているのはぼくだけ。
知っているかい?
きみは本当に独りだ。
いつでも独りだった。
それなのに生きて来れたのは、ぼくがいたからだ。
ぼくはきみのすべてを支配している。
きみから何もかもを奪い取ることもできる。
きみを光に浸すことも闇に突き落とすことも今すぐできる。
ぼくは完全なんだ。
未熟だと言ってぼくを棄てた彼らとは違う。
彼らはまるで様々な色のブラインドを透してきみを観ているに過ぎない。
彼らの観たい姿にきみはどんなきみにも映ることだろう。
だれかはビッチたちと遊び呆けているきみの姿。
だれかはベンツの後ろで人を上手く騙す方法を企んでいるきみの姿。
へらへら笑って扱われやすいように馬鹿な振りをするきみの姿。
どれも本当のきみじゃない。
彼らが観ているどのきみもきみじゃない。
本当のきみの姿はぼくだけが知っている。
だれも本当はきみを愛していないんだ。
ぼく以外に。
きみは切実なメッセージを世界中に伝え続けることしかできない。
『ぼくは本当の独り』だってこと。
世界中に向かって、ずっとそれを伝え続ける。
だからずっとずっと独りで苦しんでるのはきみだけじゃないってこと。
きみはずっとずっと本当のぼくを知らないまま。
きみはずっとずっと独りだ。
だれもがカラーブラインドを透してきみを見つめている。
そして見えるきみだけを彼らは蔑み嫌って愛している。
彼らも彼らに支配されている。
支配者は冷静な眼差しで闇のなかに見つめている。
破滅してゆく一人の姿を。
Diplo - Color Blind (feat. Lil Xan) (Official Music Video)