あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

The Most Sad World

2017-10-03 08:43:17 | 
6時間眠って、目が醒めるとみちた(うさぎ)の寝息が聴こえていた。
ああ良かった。彼は今日も生きているんだ。
あとどれくらい一緒に生きていられるのかはわからない。
わたしはふと想う。
一緒にわたしとみちたは眠っていた。
同じ眠りの時間を過ごしていたんだ。
それはもしかしたら、同じ時空の世界を過ごしていたのかもしれない。
向こうの世界ではわたしとみちたは起きていて、違う世界を過ごしていたのかもしれない。
違う関係を過ごしていたのかもしれない。
わたしはこの世界では、本当に彼にとって酷い飼い主かもしれない。
彼を喪うことを日々恐怖しながら、彼を大事にしてやることができない。
サークルの中はひどい有様で彼を一度すら撫でずに寝る日も多い。
誰かはわたしのことを動物虐待者と呼ぶかもしれない。
それでもわたしは彼の頭を数回撫でる元気すらない毎日を送っている。
もし、存在は無数の時空を生きているのならば、わたしの生きるこの世界は、
最も苦しくひどい世界であらねばならない。
彼がわたしに一度も撫でられずに眠るこんなに哀しい世界以上の、
わたしと彼の世界があってはならない。
わたしと彼の生きるこの時空世界は、わたしのなかのわたしの生きる世界のなかで、
一番不幸な世界であらねばらない。
誰かはこの世界で、人を殺し、人を拷問にかけている。
誰かはこの世界で、動物を殺し、その死肉を喰らって生きている。
そんなに悲しく苦しい世界は、彼らの生きる世界のなかで一番悲劇的な時空世界であらねばらない。
でも他の世界では、彼らは殺した人間と微笑み合って、
その肉を食べた動物たちと家族となって、広い野原を駆け回って遊んでいるのかもしれない。
眠りの世界では、すべての時空が繋がっていて、わたしたちはそれを知るので、
わたしたちはどうしても眠らなければならないのかもしれない。
わたしたちは、別のわたしたちを生きる為に、眠りに就くのかもしれない。
死ねばその一つの眠りは醒めないというのならば、
わたしたちはここよりは幾らか安らかな世界を生きる為に醒めない眠りへと就くのだろうか。
そしてまたいつか、本当に苦しく哀しい世界を生きるとき、
わたしたちはまた、心から生きているという実感をもって、
ここ以上の苦しく哀しい世界はないようにと願って、生きるのかもしれない。
生きる感覚をどこまでも求めるのならば、わたしたちは苦しく哀しい世界からは
逃れられないではないか。
最も苦しく悲しいわたしたちの生きる世界が現実で、
それ以外の時空間は、すべてを幻想とわたしは呼ぼう。
そしてわたしは、この世界が最も苦しく、悲しくないというのならば、
ここ以上に苦しく悲しい世界を創造し、その世界をわたしは生きよう。
そしてこの世界は、幻想と呼ぶに相応しい。
あちら(物語の世界)がわたしの現実であるのだから。













Ricky Eat Acid - Séance for a Dead Pet



















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