あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

漫画「透明なゆりかご」赤ちゃんの求める愛は人間すべての求めているもの

2017-05-21 16:20:03 | 漫画






沖田 ×華の漫画「透明のゆりかご③」の第15話「7日間の命」を震える手でむせび泣きながら読んだ。
今までこれほど泣きながら読む漫画があったろうかと想う。

作者が1997年の当時高校生のときにバイトをしていた産婦人科で起こったことが描かれている漫画です。
単純な絵で人間の内面を表しているさくらももこのような漫画で、すごくいいんですよ。
単純な絵だから余計に感情移入してしまうってのもあるでしょうね。

透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記 / 3 ここで試し読みができます。



第15話「7日間の命」はどういうお話かと言いますと、
作者の勤める産婦人科にやってきた坂本夫妻は妊娠7ヶ月で幸せいっぱいなのですが、以前の妊娠時に胎児の臓器がないことがわかって4ヶ月で惜しくも中絶手術をした経緯がありました。
そのことでお母さんは精神不安定になっていましたが、また赤ちゃんを授かったことで精神は安定し、今度こそという想いが強くありました。

しかし今回の検査の結果、胎児は心臓と肺と大動脈に奇形が3つ以上合併している重度の心臓病であることがわかりました。
手術をしても改善する可能性は低く、延命の処置で1~2ヶ月、なしでは一週間は生きられないと言われました。















それで今回もお腹の子を堕ろすことを夫妻はやむなく決めるのですが、お母さんの精神状態はまた戻ってしまいました。
お父さんも苦しんでいるのですが、それがなかなかお母さんには伝わらず、ここでお父さんがある提案をお母さんに出します。
それは子どもを堕ろさずに産んでみないか?ということでした。
お母さんは産みたいけれども、それは親のわがままではないかと言います。
でもお父さんが、お腹のなかの赤ちゃんに尋ねてみると、赤ちゃんはお腹を蹴って返事をします。










そして無事に出産をしてとても可愛い赤ちゃんが生まれました。
赤ちゃんは見た目には何の異常も見られなくて、両親はもしかしたらこのまま生きられるかも・・・と願います。
しかし5日目から呼吸が弱くなってきて、ゆっくりゆっくりと、赤ちゃんが死んでいってしまうのです。
たった7日間の命とご両親は言っていますが、実際は胎内にいたときからの命ですから、十月十日(とつきとおか、妊娠期間)と産まれてからの7日間の命なわけですね。
ご両親は、「親子の大事な時間を過ごすことができました。時間以上の思い出を心に刻み込むことができました。わたしたちは家族になれました。本当に産んでよかったと想います」と作者に向かって言います。
作者は看取ることは悲しみだけではなく、そこに存在したことを記憶にとどめることでもあるんだ。ということに気づきます。

作者は夫妻に接して、夫妻の決断が正しかったかどうかわからないけれども、赤ちゃんはお母さんとお父さんの愛情を感じられたから「透明な子供」ではなかったんだと感じます。



昔では胎児の病状がわからなかったのですが今ではものすごく細かく胎児の状態を知ることができるようなので胎児に奇形や病気があるとわかれば堕ろしてしまうご両親がいるわけですね。
それは両親の利己的なことなのか、それとも赤ちゃんの為に想ってなのかわかることではありませんが、赤ちゃんっていうのは、たった一瞬でもいいからお母さんに抱っこしてもらいたいという気持ちがあるようにわたしは想えてならないんですよね。

そこには赤ちゃん自身の苦労や苦痛もあるのかもしれません。
でもそれなら、堕ろすことにも、同じだけか、もしかしたらそれ以上の苦痛があるかもしれないわけですね。
それなら産んだほうが良いのではないかとわたしは想いますね。

目も当てられないほどの姿の赤ちゃんが生まれてくる可能性もあります。
でもそうだとしても、赤ちゃんはお母さんに抱っこされたい気持ちがあるんだと想えば、お母さんはどんな赤ちゃんでも愛おしくなるかもしれません。

わたしはその可能性に懸けて、どんな病気や奇形児だったとしても、もし妊娠したなら産みたいと想います。

赤ちゃんが一瞬でも、わたしに抱っこされて幸せな感覚を知ることができるのなら、赤ちゃんは産まれてこれてよかったと想えるかもしれないし、わたしも産んでよかったと想えるかもしれないからです。













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