あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第十一章

2020-01-15 02:37:17 | 随筆(小説)
天に召す鉄格子の日々、エホバ。
余所者のわたくしを今日も、愛してくださり、わたしに恵みの疲労と渇いた杯を御与えくださいました。
わたしの庭には、乾涸びた太陽が、蹄を降らしました。
心置きなく、聖なる者たちを、殺すようにと、御告げがありました。
石垣に生えた血のように赤い薔薇に水を遣っていました。
気づきを屍に、成長させる為に。
今宵、彼があなたの愛をわたしたちに話し掛けるなか、神殿の外ではパトカーのサイレンが鳴り響いておりました。
人が人を殺し、人が人に似た(近い)、生き物の死体を貪り尽くしている世界で、どの場所も、神聖ではありません。
わたしが神殿のなかでわたしの右腕が”彼ら”のように切り落とされるならば、気づかれるのですか。
わたしの右の目が熱湯のなかで溶けるのならば、誰かは気づくのですか。
何故わたしは、あなたの愛から生まれ、生命(兄弟)の拷問を目にしつづけているのですか。
何故わたしは、同胞の積み重なれた血みどろの、解体された肉塊の山を目にしつづけながら、利己的な快楽(幸福)を欲しているのですか。
アダムはあなたに言った。
「この女が、この実を食べよとわたしに言った為、わたしは食べたのである。」
あなたは知っている。既に最初の人間(アダム)が、蛇(サタン)に唆されるまえから、あなたに背いていたことを。
あなたほど、悲しい存在は存在しない。
あなたほど、美しい存在は存在しない。
すべてを滅ぼし給え。エホバよ。
だれもが、本当のあなたを、愛さない。
愛と悪であるあなたを。
だれもが、本当のあなたを、知る日は来ない。
血の海に染められ続けた紙に書かれたあなたの言葉を解読できる者はだれひとり、存在しないのです。
だれかは言う。
これは、”光”だ…!
わたしたちすべてが、救われる奇跡。これで、死は終ると。
呪われた悪魔の奴隷の子羊よ、あなたは母を、間違えた。
あなたはあなたの母を、間違えたのです。
わたしの過去へ戻り、どうか御伝え下さい。
あなたはわたしの、母ではありません。
わたしを始まりから終りのない日まで愛しつづけることはなかったあなたは、わたしの母でも、わたしの神、エホバでもありません。
わたしはあなたに滅ぼされる身。
”あなたは、わたしに滅ぼされる子”
あなたの子宮に宿った瞬間あなたが、わたしにそう告げました。
そしてわたしのすべてを滅ぼす主、滅世主、末の子「コズエ」と、あなたはわたしに名付けました。
あなたの栄光が、永遠に讚えられんことを。
最後の子、わたしを滅ぼし去ったあなたの真の栄光が、永遠の楽園で、あなたの真の子たちと共に、光り輝かんことを。




















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