あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

繭の綻び

2017-05-04 20:07:49 | 
嗚呼、あなたと、セックスがしたい。
暮れゆくあなたはなんと美しいのだろう。
あなたの産声が聴こえてくる。
嗚呼、今!あなたの貌を飛行機が切り裂いた!
あなたは情けのうちにそれを受容し、
点滅する飛行機が、あなたの子宮口へと入ってった。
そこにわたしは乗っているのです。
このやわらかな流線形の白い飛行機を操縦して、あなたの愛に着地しようと試みています。
あなたは暗くなってきた。紅碧の雲の透き間に、白縹色の薄い脣であなたは微笑っている。
あなたは次に脣を閉じて、わたしに何かを言いたげだ。
もう綻ぶことのない傷を、あなたは開こうとしている。
もう滅ぶことのない息を、あなたは抱こうとしている。
もう喜ぶことのない岸を、あなたは開こうとしている。
あなたの夢を、わたしは閉じた。
あなたの傷を、わたしは閉じた。
わたしの傷を、あなたは閉じた。
わたしの夢を、あなたは閉じた。
あなたと交接できるなら、どんな方法でもとろう。
一歩ずつ、わたしはあなたへ近づいている。
二歩ずつ、あなたとわたしは近づいている。
もうすぐあなたは見えなくなるが、わたしは近づきつづける。
あなたが繕ってくれた縫い目を、ひとつひとつほどいてゆく。
そこからすべての内容物が溢れだし、わたしは皮一枚となる。
わたしはひらひらとこの白いからだを翻し、
あなたの子宮に着き、無事に繭となりました。

嗚呼わたしの外界は、あなたの膜とわたしの繭の接合体であった。
これが綻ぶことのないようにと、お祈りせずにはおれません。











最新の画像もっと見る