さっき酔い痴れた嫁が撮った写真でおわす。
午前の光の中では醜く見えて、夜の酒の灯りではそうでもない。
そういうことは誰しもあるのではないだろうか。
そういう人間の卑しさ、醜さを、肯定する為だけに、俺の愚妻は定期的に自画像を撮り続ける。
俺はカップ酒を右手に持ち、物言えずその様をただ眺めるしかできぬのであった。
俺は時に嫁に言った事がある。
「誰がそんなしょうもないもん観て喜ぶんや。」
嫁はその瞬間、陶器のパスタ皿を俺の顔面目掛けて投げ付けた。
俺は避ける隙もなく、額に青たんが半月、取れなかった。
俺は嫁が人様にこんな愚かな自画像を公開しつづけていることで生きている心地もしないほど虚無的だ。
誰か俺の嫁の重篤な精神疾患を、治してくれないやろか。
心から、御頼み申す。
ちなみに嫁は今回も「無化粧の無加工だからな」と誇らしげにゆうとった。
一体、俺以外の、誰に認められたいのだか…。