俺もホットラインマイアミでさんざん銃を乱射しまくったよ。
でもあれは、俺が奴等を殺さなかったら、俺が殺されるからだ。
これはゲームの話だけじゃないんだ。
例えばあいつ。あいつは俺を殺す言葉を言ってきた。みんなのいる前でね。
つまりあいつから、俺を殺そうとして来たんだよ。
俺はマジに生命の危機を感じた。
全身の血が、沸騰して煮えたぎったはらわたが口からもつ煮込みとして出てきそうだった。
俺は咄嗟に口に手をあて、床に跪き、うぅっと唸った。
すると何人かが、近寄ってきて、そして、笑いながらこう言ったんだ。
汚ねえなおい、おいみんな、はははっ。こいつ吐いてるぜ。みろよ、ゲームに負けたくらいで吐く馬鹿なんてこいつくらいだ。
何故そんなに剥きになるんだ?
ただのゲームじゃないか。
俺がおまえをほんとに殺したわけじゃねえだろ。
FUCK OFF.失せろ。
気付けば目の前に、最悪な光景が拡がっていた。
生きている俺と、そして死体しかなかった。
俺は、此処でずっとずっと、待っているんだ。
game overという文字が、この世界に大きく浮かび上がる時を。
そして誰かが、pushする。
俺の記憶を消し、記憶を消された俺が、また同じ場所に立っている。
また此処から遣り直し。
あいつが俺に、嫌味を言ってくる。
みんなの前でね。
あいつは俺を殺そうとしているんだよ。
俺は心臓発作が起きて、今にも死にそうだ。
気付けばショットガンを手に持って、俺は微笑んでいる。
俺はこの世界を愛している。
ゲーム以上でも、ゲーム以下でもない。
わかってるだろう?
殺される前に殺せ。
みんなそれが好きなんだ。
何故、殺されなくてはならないのか、わからないからだよ。
何故、俺が、あいつに殺されかかっているのか、わからないんだ。
何故、あいつは俺を殺そうとしているんだ?
一体俺が、あいつに何をしたんだよ...
憶えてないんだよ。
なんにも。
あいつのことなんて、何一つ。
一体このゲームを遣り始めたのは誰なんだ。
あいつなのか。
俺なのか。
俺達なのか。
それとも、他の誰か。
気付くと、あいつは武器を持っていない。
それはあいつから、俺が武器を奪ったからだ。
あいつがまた、俺に凶器を向けるなら、俺はそれすら、奪うことができる。
俺に考えがあるんだ。
俺がそれすら奪えばきっと、もう二度と、あいつは俺を殺そうとすることはできない。
目の前に、ジンの瓶と、薬がある。
俺が俺を愛していると信じることと俺が俺を愛していないと信じること、どちらが簡単なんだ。
俺は手を伸ばす。
そして待つ。左上に『あなたは死んだ!(You Are Dead!』という文字が浮かび上がる瞬間を。
俺はまた同じ場所に立っている。
一体あいつは誰なんだ?
何故ここまで執拗に、俺を殺そうとしてくるんだ。
俺はまた同じ場所に立っている。
一体あいつは誰なんだ?
何故ここまで執拗に、俺を殺そうとしてくるんだ。
insanity でも誰もあいつを収容しない。
俺は何度も何度も、あいつに頼んできた。
俺を殺そうとするのはやめてくれないか?
なんでこんなことになってるんだ?
俺がおまえに、一体なにをしたんだよ。
おまえが俺を殺そうとしなければ、俺もおまえを殺す必要など、なかったはずだ。
なぜ俺を殺そうとするんだ...
言ってくれよ。
おまえの本当の望みは、最終的に俺を殺すことなのか。
俺はさんざん、おまえによって苦しめられてきた。
おもむろに、手にショットガンを持つ。
銃口を相手の顔面に向ける。
一体だれなんだよ、おまえは。
FUCK OFF. 失せろ。
鏡の割れる音がして、右上に『死んでしまった』という文字が浮かび上がる瞬間を。
俺は待っている。
此処でずっと。
おまえと。
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