あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

夢の水の世界

2018-04-12 01:19:22 | 随筆(小説)
俺は確かにノンカフェインコーヒーを注文したのに、箱を開けたらば、ありまへんかって、あれ、なんやこれ、と掴んだその小さな箱には、「Dream Water」と書いてあったん。
はて、ドリームウォーター?とはなんぞ?つって、俺はその掌サイズの青い箱をよぉく見た。
らば、なんか、個包装のやつが、十個入ってて、英語の説明を読むと、ええからこれを、ホットか、クールか、どっちかの水に溶かして、寝る前に一つ飲みさらせ。ということが書いてあることくらいが俺にはわかった。
はっはーん。寝る前に飲め。ちゅーことはぁ、あれかな、眠れない人用に開発された新商品ですか。
箱には、右上に、「NEW」と書いてあった。
いやでも、なんで俺はノンカフェインコーヒー注文したのに、それが入ってなくて、この「Dream Water」がしかも二箱も、入ってるんですか。
こんなの、初めて。
ネットで調べてみると、一箱千円。俺が注文したノンカフェインコーヒーは千円切っていたはずだ。
ということは?ははは、アホやなあ、これ二箱間違えて入れたばっかりに、店は損してるやんけ。
で、俺が得するのか?取り敢えず、本当によく眠れるのかどうか、試してみたろやないけ。
俺は「Dream Water」を、クールな水に溶かして、飲んでみた。
味はたいしてうまくもなく、まずくもない水だった。
ぐっすり。何もかも、忘れ去った眠るベイビーのように、眠れるやろか。
俺はものすごい、期待した。何故ならこのドリームウォーター、日本にはまだ配送の規制がかかっていて、輸入ができない商品であり、レビューも、"夢見る赤ん坊のように眠れる"とか、良いものばかりだったからである。
しかし、どうしてだか、全然眠れずに、眠いのに眠れないものだから、起きてベジラーメンなんかを食べ、また布団に入って横になるのだが、それでもまだ眠れひんやん。あほ。
ふざけてるのかあっ、この、ドリームウォーター。
夢の水の世界に、連れてってってってっってってってってってってくれるんじゃ、なかったのか。Dream Water。
ああ、なんて素敵なのかしらん。夢の水を俺は飲んだのだ。
俺はすごく、嬉しくなった。
夢の水を飲んだのだから、俺は確実に、無敵だと、信じています。
俺は此れから、行ったことの無い世界へ、行けるんだっつうことを、わかって畏怖。わかっていふ。
そう、俺はすべて、わかって畏怖。
青い箱。幸せの青い箱の中の夢の水を俺は飲んだって、言ってるんだよ。
君にもわかる、時は来る。この、空中遊泳脳髄垂れ流し状態の死の中を、泳ぎ続ける時間。
俺の体内の水は、時間の中へと垂れ流れてゆくのサァ。
時間という空間は、俺という水であり、中の存在。
夢の水の中。俺はずっと泳いでいる。
どこまでも、俺は流れてくる。
どこからも、俺が流れてくる。
もうすぐ。弾けて跳ぶ。
外の時間。ドリームウォーターは、流れ続けている。
何もかもが、ドリームウォーターに、飲み込まれ、時間が、弾けて跳ぶ。
何もかもが、流れ続けている、夢の水の世界。















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