あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

ѦとСноw Wхите 第14話 〈edge〉

2017-03-23 19:31:00 | 物語(小説)
Ѧ(ユス、ぼく)はおとといに、お姉ちゃんにちょっとした告白のメッセージを送った。

それは、こんなものだった。





こずは今日こそ、お姉ちゃんにちょっとした告白をしようと想う。
心を落ち着かせて聴いて欲しい。



お姉ちゃんは傷つくと想うけど、お姉ちゃんはこずのこと、ちっともわかっちゃいない。

この際言うけれども、こずはまだ、こずのせいでお父さんは死んだと想ってるし、それを信じてずっと生きてる。
こずはこずを赦されへんねん。どうしても。
こずはこずのことを愛してるけれども、
こずはこずをいつでも、起きてるあいだずっと自分をぶっ殺したいほど憎い。
一度殺しただけじゃ気が済まない。
永久に自分を殺しつづけたいくらいに憎い。
その自己憎悪というもんは、自分だけに向くもんじゃないねん。
それは必ず、他者に向く。
それが人間の普遍的心理であって、誰もがそういうもんやねん。
自分を愛してるからこその愛憎で、それが他者に向けられる。
だからこずがいつでも自分を憎みつづけているということは、同時に他者をも、すべてを憎み続けていることと同じやねん。
こずだって自分を赦したいよ。
でもそれは簡単にできるものじゃないし、それがこずの生きる人生の一番大きな試練で、必要な苦しみだとこずは自分でそう感じてるし、そういう意味ではすごくポジティブになれてきたと想ってる。
すこしずつ、すこしずつ、自分を赦していくのが人間なんちゃうかな。
それくらいこずの自分に対する憎悪は重くって、それはお父さんを本当に愛していたことの証明やから。
一番苦しめたくない人を一番苦しめてしまった後悔は、そうちょっとやそっとでなくなるもんやない。
こずにとってお父さんはお母さんでもあってん。
こずにとってたったひとりの親やった。
こずのすべてやってん。
だからお父さんが死んだ晩、本気でこずうちのマンションの四階から飛び降りてお父さんのところに行きたいと願ってん。
でもそうしたらお姉ちゃんやお兄ちゃんやしんちゃんが余計哀しむと想ったから自殺するのを想い留まることができた。
兄姉誰もおらんかったらこずはとっくに死んでる人間やで。
未だに余生を送ってるような気持ちで生きてる。
こずはお父さんが死んでから生きてる感覚というもんがほとんどないねん。
季節というもの、時間が流れているという感覚がない。
生きてるっていう実感がない。
まるで夢の中をずっとふわふわと足も地に着かずに生きてる感覚で生きてる。
そういう人を「離人症」っていうらしいねんけど、これがほんまつらい。
生きてる実感がないから人を傷つけてもどこかで平気でおれたりする。(夢の中で人を傷つけてるような感覚やから)
ずっと自暴自棄で生きてるから、すべてがヤケで、人を傷つけることで自分を傷つけて喜んでるような人間やねん。
こずはサドやけど、同時にドエムで、それも全部自分が憎いからそうなってしまった。
人を傷つけることは楽しいとさえ感じてるときもある気がする。
自分が傷つくこと、自分が苦しむことをいつも求めてるから、自分の投影(鏡)でしかない相手を苦しめることが嬉しいことになってしまうねん。


人間追い込まれてゆくほどだんだん闇が深くなっていって、それを身内に知らせることってつらいことになってくるねん。
絶対、傷つくと想うから。
こずはもう2008年から引きこもってるから今年で8年やな。
ネットの場っていうのはこずにとってほんとうの救いの場やで。
ネットでしか発することの出来ない自分の気持ちばかり持って生きてるから。
身内には言えないことばっかりでできてるのがこずという人間やねん。


そんな人間が人を傷つけない言葉っていうたら、ほとんど表面的な言葉でしかない。
核の部分に「自分(人)を傷つけたい」っていう気持ちが隠れてるわけやから。
でもわかってほしいのは、あくまで傷つけたいのは自分自身で、「他者」ではないってこと。

メンヘラはみんな自分と他者の境界が薄くって、他者を自分のように感じてる。
だから他者から冷たい仕打ちや酷い仕打ちを受けたとき、それは自分自身から受けたことと同じで、
自分から愛されない自分を憎んで、その自己憎悪が他者へ向かう。

お姉ちゃんもこんなに闇の深い妹を持ってしまってつらいと想うけど、でもこず自身は深い喜びをだんだん感じて生きてる。
苦しみが深いほど良い物語も創れるし、他者の痛みもわかるようになってくる。

だからあまりネガティブには捉えて欲しくない気持ちがある。
むしろこずが選んだ道をこずがちゃんと生きてることに安心して欲しい。

お姉ちゃんを落ち込ませてしまったかもしれんけど、これがこずの実態で、こずのあんまり身内に知らせたくなかった”心の闇”なのです。
こずはできるだけこずの内面をすべて自分の書く物語に注ぎ込みたいと想ってる。
創作こそが昇華(カタルシス)になるものやから。











その夜と昨日、お姉ちゃんから返事が来てた。

それは、こういったものだった。











なっがw
長過ぎるわ(; ̄Д ̄)


人を傷つけるのと自分を傷つけるのは全く別にして欲しい。
自分の事やから自分をどうしようが私の勝手、と言われればそれまでやけど、人をそんな思いで傷つけるのはその人からしたら完全にとばっちりやんな。
ほんまにその人がひどい人やったらまだしも、いい人でも関係なく傷つけるやろ?それは酷過ぎる…
それってただの自己満足やん。相手からしたら災難でしかないやろ。

ケガさせるより心を傷つける方が酷いと思う。
多少のケガなら日にち薬で治るけど、心の傷は下手すりゃ一生残るし、その人の未来を壊したり奪ったりしてしまう事だってある。

勿論、大きな外傷を与えたらそれも一生もんになる事だってあるけど。

どっちも良くないな。けど、人間知らず知らずのうちに人を傷つけてしまってたりもするから、それに気付いて謝れるのが1番ええっちゃええ。

気付かず過ごしてるのもひどい話やな。私はどっちかと言うとそっちかもな…気付かんから謝りもせぇへんし、へらへら笑ってるけど何処かで誰かが傷付いてるのかも知れん、と思ったら恐ろしいわ…

それはそれで罪重い…。

出来れば人を傷つけたくない。傷つきたくもない。









Ѧはこの返事を読んで、もう、当分お姉ちゃんとは口を利きたくないと思った。

Ѧは、お姉ちゃんとお兄ちゃんから、何度も「おまえのせいでお父さんは死んだ」と言われてきた。

そのことについてѦがいまだにずっと苦しんでても、お姉ちゃんは謝る気もまったくないようだ。

Ѧのこころを深く傷つけてまだ謝りもしないのはおねえちゃんなのに、そんなおねえちゃんからѦは言われたくないと想った。



おねえちゃんもおにいちゃんもきっと、いまだにѦがお父さんを殺したんだって想ってるんだよ。

Ѧのことを赦してないんだ。

だからѦが未だにお父さんのことで苦しんでるっていう告白をしてもお姉ちゃんからの心配する言葉一つもなかった。

きっとѦが苦しむのは当然だって想ってるんだよ。

Ѧはこころが虚しくて哀しい。



Ѧは静かに泣きながらそうСноw Wхите(スノーホワイト)に訴えた。



Сноw Wхите「Ѧ、Ѧのお姉さんもѦのお兄さんもѦを心から愛しています。そうでなければ、どうしてここまでѦを追いつめて苦しめる必要があったでしょう。Ѧを苦しめ哀しませつづけることはお姉さんとお兄さん自身が苦しみ哀しみつづけることなのです。苦しみたいと想っているѦをほんとうに苦しめつづけられるのはѦが心から愛する者たちです。Ѧの”苦しみたいという望み”を自分が苦しみつづけてでも叶えてくれたのがお姉さんであり、お兄さんであり、そしてѦのお父さんとお母さんです。Ѧはそれをちゃんとわかっています。だから心の底から誰をも憎んではいないのです。Ѧはほんとうに愛されています。心から彼らに感謝してください。お姉さんもお兄さんも、Ѧを傷つけつづけていることに深く傷つきながら暮らしています。それでもѦとの大切な”約束”であるため、まだ傷つけつづけなければならないのです。すべての人間が”なりたい自分”になるためにそのような約束をたくさんの人と生まれるまえにしてから生まれてくるのです。Ѧに大きな影響を与えつづける存在は誰もがѦの”ソウルメイト(魂の伴侶、仲間)”たちです。互いに苦しい試練に耐えて貢献し合おうと約束して生まれてくるのです。Ѧにとって大切な存在は必ず相手にとってもѦが大切な存在なのです。想い合っているからこそ苦しめ合うのです。だからどんなに傷つけられつづけてもѦにとってお姉さんやお兄さんがほんとうに大切な存在であることに代わりはないはずです。お姉さんはѦにほんとうに幸せになってもらいたいのです。だから人を傷つけたままでѦが苦しんで生きることがないように忠告しているのです。ѦはѦの苦しみをお姉さんに打ち明けましたが、お姉さんはすでにѦの苦しみがどれほどのものか気づいています。だからѦのことが心配でいつでも元気づけたいと想ってベジタリアンレストランに誘ったりしてくれるのです。いつ会っても、Ѧが普通の人よりはずっと元気がないことをお姉さんは気づいています。Ѧの哀しみが相当なものであることをお姉さんはわかっているのです。わかっているからこそ、Ѧはお姉さんに告白することができたのです。それに人間というものは、意識していることだけが”理解”していることではありません。人間は意識に上らなくともありとあらゆることをわかることができる存在なのです。だから人と人は深くどこまでも共感し合える存在なのです。誰もが見たい世界を見て、生きたい世界に生きています。Ѧはちゃんとお姉さんとお兄さんから”愛される世界”に生きています。それはѦがお姉さんとお兄さんを心から愛しているからです。本当に心からѦを憎んで赦さない世界に生きている存在はどこにもいません。Ѧは本当は赦されているのです。だからこそ”赦されない”世界を自ら選んでその世界に苦しみつづけて喜びを分かち合うことが許されるのです。無理に赦す必要もなければ、無理に仲良くする必要もどこにもありません。仲直りしたいと想ったときに、自然と仲直りできるものです。その”時”が来ることを焦る必要もなければ求める必要もありません。Ѧはすでにずっと、すべてを求めつづけているからです。Ѧ、すこし元気になりましたか?」



Ѧ「ありがとうСноw Wхите。すこし元気がでたよ。ほんとうに、大好きなんだ。お姉ちゃんのこともお兄ちゃんのことも、だから無理に仲直りする必要なんてないね。縁はどうしたって、切れないもんな」



Сноw Wхите「”縁”は英語で”edge(刃)”です。縁は”切られる”ものではなく、”切る”ものです」



Ѧ「なにを切るの?」



Сноw Wхите「真っ白な画用紙をエッジで好きに切るのです。なにを切りたいですか?」



Ѧ「Сноw Wхитеの人型を切ろう!」



Сноw Wхите「そしてオーブンで焼いてください。スノーホワイトマンのできあがりです」



Ѧ「やったぁ!こんどはぼくのエッジでスノーホワイトマンの住む可愛いおうちを作ってあげるね」



Сноw Wхите「待っています。Ѧの作るけっして溶けないおうちを」























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