【ねこが訪ねる京都】三千院・左義長


 左義長(さぎちょう)は小正月(こしょうがつ)に行われる火祭りで、お正月の飾りや古いお札などをお焚き上げします。全国的な行事で、「どんど焼き」「お焚き上げ」など地域によってさまざまな呼称があります。
 大原の三千院では、毎年1月15日、青竹と注連縄(しめなわ)で囲われた不動堂前広場で行われます。
 三本の青竹を先で束ねて三角錐の形に立てた内側に、お焚き上げする門松や注連飾りが積み上げられており、お経の声が響くなか、大竹の松明を持った二人の僧侶が、炎で左右に三回ずつ円を描き、両側から火を移しました。
 松飾りや稲わらの隙間から白い煙が立ちのぼり始め、やがてちろちろと小さな赤い炎が姿を現し、どんどん大きくなっていきました。みかんのついた注連飾りがあったのでしょうか、みかんのあぶり出しのようななつかしい匂いが微かにしたような気がしました。
 煙は渦を巻いて空高くあがり、白い灰が、雪のように舞いました。地面からはじんじんと山の寒さが伝わってきますが、顔面だけは燃え上がる炎でぽかぽかします。
 地元の小学生たちが順に並んで、各々持参した書初めやお正月の飾りを炎に投げ入れました。書初めを燃やす炎が高く上がるほど、習字の腕が上達するそうです。
 最後には、三方に立てられた青竹、さらに外側に張り巡らされた注連縄の支柱の竹も火にくべられました。竹のはぜる威勢のいい音が山あいに響きました。


 お焚き上げの炎に炙られた竹は、30センチ程の長さに伐られ、「魔除けの竹」として参拝者に配られます。
 注連縄につけられた紙垂(しで)も厄除けとして、欲しい方が持ち帰られました。



 また、仏さまのお供えから下げられた鏡餅も一緒に焼かれて、お焚き上げのあとおぜんざいに入れてふるまわれます。これを食べると一年間無病息災に過ごすことができると言われています。
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【ねこが訪ねる京都】千本釈迦堂大報恩寺の大根焚き


 大根焚きは京都の冬の風物詩です。多くのお寺でこの時期、無病息災を祈願して、参拝者にお出汁で炊いたあつあつの大根がふるまわれます。
 中でもよく知られているのが、西陣にある千本釈迦堂大報恩寺の大根焚きで、毎年12月7日8日に法要が行われます。
 千本釈迦堂の大根焚きは、お釈迦様が12月8日の未明に悟りを開かれたことにあやかり、4本の大根を縦半分に切って8本とし、切り口に梵字を書いて魔除けとして供えたあと、ほかの大根と一緒に炊いて参詣者にふるまわれてたことが始まりとされています。



 大根をよそってくれる信徒さんの頭の手ぬぐいは、みなおかめさんの柄です。千本釈迦堂はおかめ信仰の発祥の地で、境内にはおかめ塚があります。
 「阿亀(おかめ)」は本堂建築で棟梁を務めた大工の奥さんで、夫のミスを機転を利かせて救ったのですが、大工でもない妻に助けられたとあっては夫の恥と、上棟式の前に自害してしまいました。
 1227年に建てられたその本堂は、応仁の乱などの戦火からも奇跡的に免れて、当時のまま今に至ります。



 家庭でも炊けるように、梵字の書かれた生の大根も売られています。こちらは丸い大根です。




<率直な感想>

 大根焚きに行ったものの、大根を食べるかどうかだいぶ悩みました。というのも、実は私は大根があまり好きではありません。どちらかというと苦手です。唯一大根を美味しいと感じるのは、おでんで二日以上煮込んで中までしっかり味がしみ込み大根らしさがなくなった場合だけです。さらにその日は風邪気味でお腹の調子もよくありませんでした。そして極めつけが、大根焚き券一枚千円。
 たっか…。大根ってスーパーで一本百円くらいで売ってるやん…。(あとで調べると、大根焚きの二日間で、1万5千人ほどの人が来るそうです。これって、経費やら差し引いても、ウハウハ過ぎませんか…)
 大根焚き券を購入するかしないか躊躇して、私は券売所の前やほかの人たちが大根を食べているテントの横(お椀をのぞいてみると、大きな輪切りが三つも入っていて、これを食べるのは絶対無理だと絶望しました)をかなりうろうろしましたが、せっかくここまで来たんだし(自転車で来たら意外と遠かった、そして寒かった)、紹介記事を書くにしても実際食べてみないとリアリティが感じられないだろうし、食べずに後悔するよりも食べて後悔するべしと意を決して、半ばやけくそ気味に、券売所のほくほく顔のおばちゃんに千円札を渡しました。
 チケットと交換で大根とお揚げの入ったお椀を渡してもらい、緋毛氈の掛けられた床几のあいているところを探して座って、大根をひと口、食べました。
 こ、これは、美味しい!
 とは残念ながらなりませんでした。めっちゃダイコンやん。中のほうはまだ大根本来の白さが残っていて、おでんでいえば、一日経ったくらいの感じでしょうか。大根嫌いにはきついわこれ…
 何年か前に大原の三千院で食べた大根焚きは、出しの色がもっと薄かったけれど大根の中までしっかり味がしゅんでいて、すごくおいしかったなあ、しかも普段と同じ拝観料の700円のみで大根は無料、お庭も建物の中も見学できてよかったなあ、などと遠い日のことを考えつつ、もうあかん、これ以上は食べれん、と何度も心が折れそうになりながら、何とか頑張って全部食べ終わり、食器を返却してそそくさと帰りました。(ちなみにお揚げはめちゃ甘かったです。)
 帰り道、悪かったお腹の調子が、少しマシになったような気がしました。もしかしたら、これこそ健康増進を祈願された大根の威力なのかもしれません(と、最後にとってつけたように持ち上げておきます)。
 
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京都の蜂蜜専門店「ミール・ミィ」

 京都の真ん中辺りを通る三条通と、富小路通が交わるところに、「ミール・ミィ」という蜂蜜専門の店がある。
 その一本西の筋の、柳馬場と三条通の角にYMCAがあって、そこのスイミングスクールに、子供の頃泳ぎを習いに行って、その帰り、母と一緒に蜂蜜を買いに入った覚えがある。30年くらい前のことだったと思うが、そのときからあるお店である(創業80年というから当然だけれど)。
 その頃は、今のような欧風の可愛らしい雰囲気のお店ではなくて、古い商店といった趣だった。名前も老舗「金市商店」だったのだと思う。
 昔のことで、あまり記憶がはっきりしないけれど、れんげの蜂蜜を買った。母が、れんげのお花ばっかりからミツバチさんが集めてきた蜂蜜よ、と教えてくれて、どこかで見た、田植え前の春の田んぼにピンク色のれんげの花がいっぱいに咲いているのを思い出した。
 YMCAには何日か通ったはずだが、スイミングスクールのことはほとんど何も覚えていなくて(泳げないのに泳いでごらんといわれて、泳げませんとも言えず、両腕だけ頭の横にそれらしく伸ばして泳ぐふりをしながら、上の階の観覧席から母が見ているかしらと気まずく思ったことくらい)、記憶にあるのは、蜂蜜屋さんのことだけである。
 それから、30年ほど経った今年の夏、今度は私の5歳になる息子がYMCAのスイミングスクールに一週間通った。がらりと様子の変わった三条通の中で、すっかりきれいになった蜂蜜屋さんが、30年経った今も同じ場所にあることはうれしい発見だった。
 息子の手を引きながら、帰り道、ミール・ミィの前で立ち止まり、まだ泳げないけれど、楽しそうな顔をして、プールでいっぱい水しぶきを散らしていた子供に、蜂蜜入りのジュースを買ってやった。


一口に蜂蜜といっても、いろんな種類があります。それぞれ色も違っていて、とてもきれいです。



あんまりたくさんあるのでなかなか決められず…お店の人のお話を聞きながら、夏なのでヒマワリの蜂蜜を選びました。それから、キャラメルが大好きなので、ミルクジャムのキャラメル味。
ヒマワリの蜂蜜は、甘さがはっきりしていて、元気なヒマワリのイメージ。


パンに塗ったり、ヨーグルトに混ぜたり…はまってます。


京都の蜂蜜専門老舗「ミール・ミィ」
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京都 下鴨神社の御手洗祭

 毎日暑いですね。
 日付が前後しますが、 京都・下鴨神社(正式名・賀茂御祖神社)の夏の伝統行事、御手洗祭です。土用の丑の日に、境内の御手洗池に足を浸し、無病息災を祈ります。
詳しくは過去のレポートをどうぞ。http://blog.goo.ne.jp/amoryoryo/e/cfe6e77ebf46935521f230d8760421cf
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京都御苑 トンボ池一般公開

 京都御苑にあるトンボ池の、夏の一般公開へ行ってきました。トンボ池は地下水を使って作られた人工の池で、トンボや蝶などの昆虫、モリアオガエルなどのカエル類、その他動植物を観察することができます。
 今年は天候不順のため、残念ながら池の蓮の花は見ることができませんでした。


「蚊やハチがいるので、長袖長ズボンで。帽子と動きやすい靴も忘れずにね。黒はハチを刺激するから着けないでにゃ~」
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