散らかしふくちゃん

 猫草を引っこ抜いて散らかしたり、キャットフードを食べ散らかしたり、キッチリ派のみゆちゃんに比べていい加減なところが多々あるふくちゃんだけど(もっとも、フードの食べ方に関してはみゆちゃんを見習ったのか(?)ずいぶんマシになった)、庭遊びして帰ってくるときにも、みゆちゃんと違ってからだに落ち葉などのごみをいっぱいくっつけて戻ってくる。
 みゆちゃんとふくちゃんでは庭での遊び方や遊ぶ時間の長さも違うし、また毛の質も違うから、ふくちゃんの毛はごみが付着しやすいのかもしれないが、ふくちゃんだけが、ちょうどいま庭に散らかったままになっている百日紅の枯れて落ちた花を、背中やお尻にいっぱい付けて家の中に戻ってくる。
 そして、当然のことながら、部屋でうろうろするうちに、いつのまにか、ふくちゃんは元通りきれいな毛並みになっている。
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猫のツボ

 みゆちゃんは、おなかを撫でられることを好まない。みゆちゃんが好きなのは、あごの下や頬っぺた、おでこや眉間や、鼻腔の横などの顔周辺と、背中のしっぽに近いあたりを掻いてもらうことである。
 椅子の上でくつろいでいるみゆちゃんのあごやおでこを撫でると、気持ちよさそうに頭を座面に擦り付けて、少し仰向きになるから、調子に乗ってふわふわで柔らかいおなかをさすると、すかさずうしろ足のキックが飛んでくる。爪を出して蹴るから痛いのだけれど、我慢してしつこく撫でていると、今度は両手で撫でているこちらの手をつかんで、噛みついてくる。もちろん、肉球を触られるのも嫌いである。
 おひとよしなふくちゃんは、体中どこを撫でられてもうれしいらしい。触った瞬間、もしくは触る前からごろごろとのどを鳴らしている。肉球の手を握ってもごろごろ言っている。
 それでも一番好きなのは、おなかをごしごし撫でられることで、仰向けに寝転がっていつまでも嬉しそうにしているから、きりがない。
 ふくちゃんのおなかを撫でていたら、みゆちゃんが寄ってきた。そうして、自分は嫌いなくせにやきもちを妬いたのか、それとも単にちょっかいを出そうと思っただけなのか、ふくちゃんの脇の下に鼻を突っ込んで、かぷと噛んだ。
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机の上の猫

 ときどき、みゆちゃんは私の机の上にやってくる。
 机はそんなに広くなくて、その上にパソコンのモニターとキーボード、スケッチブックや本や、筆記具など、いろいろなものが載っているのに、構わず、それらの上にどたっと寝る。おなかの下に鉛筆や筆が敷かれていても平気である。
 横になりはするものの、すっかりくつろいで眠ってしまうわけでもない。なんとなく居心地がよくないような感じで、目を閉じたり開けたりして、うつらうつらしている。それで、しばらくすると、やっぱり落ち着かないやと立ち上がって、どこかへ行ってしまう。
 みゆちゃんが机の上に横たわると、狭い机がいっぱいになって、作業が何も出来ない。おまけに、よくキーボードの上にもたれかかるように寝るから、背中で何かのキーを押して、パソコンがブーブー鳴る。仕方なく休止状態にすると、変な風にキーを押していたから、次に立ち上げるとき、キーボードが効かなくなっていたりして、再起動しなければならないこともたびたびである。
 それでも、みゆちゃんが来てくれるのはうれしい。みゆちゃんが来るのは私が机の前に座っているときだけだから、きっとそばにいようと思ってきてくれるのだと思う。そこがうれしい。
 もっとも、机の引き出しの中のおやつがほしいだけのときもある。そういうときは、机の上に足をそろえて行儀よく座って、おやつが入っている一番上の引き出しのほうを、首を傾けてじっと見つめている。わざと知らん振りして、撫でてほしいの、と頭をなでると、迷惑そうな顔をしている。仕方がないからおやつを出して机の上に少しあけてやると、さっさと食べて、食べ終わるとすっと向こうへ行ってしまう。
 最近では、机の上に寝に来るよりも、おやつをねだりに来る方が多くなった気がする。



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君はネズミか…

 またふくちゃんが、やらかした。
 廊下で、かりっ、かりっという音がするから、何をしているのだろうと思って見ると、ふくちゃんがまたインターフォンのコードをかじっている!あっ、何してるの!と叱ったが時すでに遅し、壁には無残にかじり切られたコードの先っちょがぶら下がっていた。
 ふ~く~ちゃ~~ん、と非難しても、にゃあに?と無邪気な顔。前回、かじられて取り替えてから、まだ一ヶ月も経ってないよ~。ふくちゃん、何が面白くてそんなことするの…
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猫草サラダ

 ふくちゃんが、庭で変な草を食べていたから、ちゃんとした猫用の草の種を撒くことにした。
 庭の隅の、雑草の生い茂っていた一角を開墾して、そこへ撒いた。何日かして生えてきた猫草の若葉を、さっそくふくちゃんは食べはじめた。見ていると、短く生えた猫草の上に寝そべって食べている。おなかの下に土の感触がひんやりとして気持ちいいのだろうけど、何となくぐうたらした食べ方である。みゆちゃんは、そんなことはしない。きちんと座って食べる。
 庭の猫草はふくちゃんがほとんど食べてしまったので、部屋の中にも猫草を置こうと、今度は、小さな植木鉢に種を撒いた。数センチ生えてきたところでふくちゃんが食べ出したが、お行儀が悪いというか、癖が悪いというか、まだ根のしっかりしていない草を引っこ抜いて、植木鉢のまわりに散らかしてしまった。これでは食べ頃に育つ前に猫草がなくなってしまうので、十分に育つまでふくちゃんに見つからないように隠しておくことにした。食べ方は相変わらずぐうたらしていて、やっぱり寝そべりながら植木鉢に両手を掛けて、猫草をなぎ倒しながら食べている。
 ふくちゃんは猫草が好きでよく食べるが、あまり毛玉を吐いたことがない。胃の掃除という実用目的ではなくて、純粋に嗜好としてサラダ感覚で食べているようである。
 みゆちゃんは、あまり食べないけれど、食べると吐く。ただ以前は、庭で猫草を食べたあと、家に入って、わざわざ拭きやすい床の台所を通過し、必ずといっていいほどその先のリビングのじゅうたんの上で吐いていたものだが、ここ最近はどういう心境の変化か、さらにリビングは通り越して、廊下の床板の上や、玄関の土間で吐いてくれるので、掃除がしやすくて助かっている。
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探し猫

 幼稚園の帰り道、電信柱に探し猫の張り紙を見つけた。
 ほっそりしたロシアンブルーで、名前はハナちゃん。家の中で飼っていたのが、外へ出てしまったらしい。首輪はしていない。
 いなくなった日は9月7日。
 大事な猫がいなくなった飼い主さんの心痛や、家に戻れなくなってしまった猫のことを考えると、同じく猫を愛し猫と暮らす者として、人事とは思われない。
 住所は京都市左京区の東竹屋町とある。
 もし心当たりのある方、おられましたら、どうぞご一報ください。
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一本足りない川の猫字

 朝起きると、たいていとなりのベビーベッドでみゆちゃんとふくちゃんが仲良く眠っている。夜、そろそろ寝ようと思って寝室へ上がるときには、ふたりともそれぞれ居間のお気に入りの場所に眠っていて、みゆちゃんふくちゃん、おやすみね、と言っても、せいぜい耳をぴくぴくさせるかしっぽの先を一振りするくらいで(ふくちゃんの場合は、にーと鳴いたりごろごろ言ったりもするが)、知らん顔して目も開けないのだけれど、いつのまに上がってくるのか、それぞれが好きなときに来るのか、あるいはふたり示し合わせたように一緒に来るのかはわからないが、朝になると、ちゃんと寝室に寝ている。
 ふくちゃんはいつも黙って上がって来て寝ているが、みゆちゃんはときどき、あたかも来ましたよと宣言するかのように、大きな声でにゃーっと鳴いてくることがある。放っておいたら恨めしい声でにゃあにゃあ鳴き続けるから、ベビーベッドの上で丸くなるまで構ってあげなければならず、そのたびに目が覚める。そういうとき、朝になって見てみると、階下からみゆちゃんが運んできた紐が、寝室の床に落ちていることがよくある。
 ふたりして、わーっと乱入してくることもある。時間は定かでないけれど、窓の外が少し明るくなっている頃だから、4時か5時くらいかもしれない。階下で追いかけっこしていたのが俄然盛り上がってきたのだろう、階段をだだだーっと駆け上るや否や、次々と人間のベッドに飛び乗ってきて、それでも走るのをやめず、ベッドを縦断して窓のところまでいってUターンしてから、またわれわれの足を踏みつけてベッドから飛び降り、まただだだーっと嵐のように去っていく。こちらは眠りの真っ最中だから、何事が起きたのかとびっくりする。
 ベビーベッドでは、並んで寝ていることが多い。先に書いたとおり、居間で寝ているときには、暑い時期だとそれぞれが好き勝手な場所に寝ているのに、なぜか寝室のベビーベッドで寝るときには、きれいに並んで眠っている。となりでは人間が三人並んで寝ているから、それを真似て、ベビーベッドに二匹並んで寝ているかもしれない。上下逆さまに並んでいるときもあれば、頭をそろえて寝ているときもある。
 ふくちゃんが、みゆちゃんのおなかを枕にして寝ていると、目を覚ましたみゆちゃんがふくちゃんの顔をせっせと舐めてあげている。その逆も然り。私なんかがおなかに顔をうずめたら、すぐに迷惑そうな顔をして向こうへ行ってしまうのだから、ふたりの仲は羨ましい。
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黄色い新幹線

 黄色い新幹線がある。ドクターイエローという愛称で呼ばれているけれど、正式の名前は「新幹線電気軌道総合試験車(あるいは検測車)」といって、お客を乗せるのではなく、新幹線の線路や設備を検査するための車両である。
 月に数回、東京博多間を往復していて、前に一度、京都駅の横の国道を車で通ったとき、駅から出てくるところを見たことがある。
 夏休みのこと、幼稚園の友達の、電車が大好きな男の子のお母さんが、今度の週の何日の何時頃、おそらくドクターイエローが京都駅を通過するから、見に行くのだと云った。おそらく、というのは、ドクターイエローの正確な時刻表をJRは公表していない。鉄道ファンの人たちが集め合った目撃情報を元に、いつどこを通るのかということを推測するのだそうである。限られた本数でいつ通るかもはっきりしないから、ほかの普通の新幹線などに比べると、見ることが難しい車両であるらしい。前に私がたまたま見たのは、よっぽど珍しいことだったのかもしれない。
 ドクターイエローが京都駅を通過すると思われる予定日の前日、昼過ぎに何となくそのことを思い出して、どういう風に通過日時を調べるのだろうという他愛のない興味から、ネットでドクターイエローを検索してみたら、「移動端末用ドクターイエロー速報版」という掲示板が引っかかってきた。ドクターイエローを目撃した人が、リアルタイムで目撃した時間と場所を書き込む専用の掲示板であるらしい。一番新しい書き込みには「何月何日、13時14分、豊橋通過しました」とあった。おや、と思ってなんとなく胸がどきどきした。日付をよく見直したら、まさにきょうその日の日付である。時計を見ると時刻は13時20分、ちょうど数分前に書き込まれたものらしかった。
 慌ててほかのドクターイエローサイトで、豊橋から京都までどのくらい時間が掛かるのかを調べた。約1時間。
 今すぐ車で京都駅に向ったら、なんとか間に合いそうである。うちの子供も電車が大好きだ。それに自分としてもここまで首を突っ込んだ以上、見てみたいという気になっていた。
 友達にすぐ電話をして、明日ではなくきょう通過するらしい、それもまもなく、ということを伝えて、今から車で一緒に行くかと尋ねたら行くと云うので、身支度もそこそこに、彼ら親子を拾って京都駅へ向った。
 川端通がいつもより混み合っているように思えて、苛々した。ようやく駅ビルの駐車場に入れて、そこからまた新幹線のプラットフォームまでは距離がある。
 入場券を買って改札を通り、階段を駆け上っていくと、正面にある電光掲示板の一番上に「回送」の文字が光っているのが見えた。あれじゃないかと云いながら階段を登りきったところに、いた。停車中の大きな黄色い新幹線が、カモノハシのような平べったい最後尾車両をホームに横たえている。
 いた、と叫んだ瞬間、発車のベルが鳴りはじめた。慌ててバッグからカメラを引っ張り出して、とりあえず撮った。そのあいだにもドクターイエローはするすると動き出してどんどん遠ざかっていった。駅を離れ、線路から立ち昇る陽炎に揺らめきながら、やがてカーブの向こうに見えなくなった。
 あまりにも短い時間のことだったので、黄色い新幹線を見ることができたという有り難味とか実感はなかった。子供たちも、いまいちぴんと来ないような顔をしていた。
 あとで、黄色い新幹線と白い新幹線とどっちが好き、と尋ねたら、白い方がかっこいいという答えであった。
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懐中猫の季節到来

 朝晩肌寒くなって、薄手のカーディガンを羽織るようになったから、襟のところを引っ張って、ふくちゃん、またどうですか、と勧めてみたら、するすると襟首から中に入ってきて、また懐中猫になった。相変わらず人の懐の中が心地よいらしく、ごろごろ云いながら、カーディガンの裏から前足を突っ張ったりして遊んでいる。
 冬のあいだ、ふくちゃんはよく私の上着の中で温まっていたものだったが、どういうわけか暑い時分にも一度、Tシャツの狭い首から無理やり中に入ってきたことがある。ふくちゃんの温かくて柔らかいふわふわの毛がじかにおなかに触れるので気持ちよかったけど、さすがに暑いのでふくちゃんのほうもすぐに「出る」と暴れ出し、そこはみゆちゃんと違って礼儀を知らない猫である、私のおなかに爪を立てて、蹴飛ばして出て行ったから、それ以来、夏の懐中猫はこちらから遠慮していた。
 しかしもう秋なので、また懐中猫になってくれたら可愛いし暖かい。だけど上着の中で小ぢんまりしていた前のシーズンのときよりも、ふくちゃんはずいぶん大きくなっているから、服も伸びそうだし、ずり落ちそうなふくちゃんをもう片手では支えきれなくなっている。
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猫用花瓶の水

 猫というのは、ちゃんとした専用の飲み水を用意してやっていても、金魚の水槽の水とか、流しに溜まった水とかを好んで飲むようで、うちの猫たちもよく花瓶の水を飲むから、切り花のエキス入りの水の味がいいのかと思っていたら、そういうわけでもないらしく、花瓶という入れ物から水を飲むこと自体に趣を覚えているようである。
 活けていた花がやがて枯れてしまったので、花も水も捨てた空の花瓶を洗面台の上に置いておいたら、ふくちゃんがやってきて、花瓶に前足を掛けてひっくり返してしまった。ふくちゃんはときどき花の入った花瓶をそんな風に倒して、あたりを水浸しにしたり、花器を割ったりしてしまうのだが、それは即ち、中に入った水が飲みたいからなのである。
 そこで、花がなくても花瓶から水が飲みたいのかしらと思って、水道水を汲んでやったら、それ以来、その青いガラスの花瓶からばかり水を飲むようになってしまった。
 ふくちゃんだけでなく、みゆちゃんも花瓶の水飲み場を好んで使っている。ひとりずつが飲みに行くときもあれば、しばらく前まで部屋で遊んでいたふたりの姿が見えないと思ったら、のどが渇いて一緒に飲みに行っていることもある。そういうときには、ちゃんと一列に並んで、順番を守ってひとりずつ飲んでいるから面白い。
 そんなわけで、うちには花の活けてある花瓶のほかに、花は入っていないのに、水だけがなみなみと湛えられた青いガラスの花瓶が、洗面台の上に置いてある。



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