緊急事態宣言まで出てしまったコロナウィルス感染症。
正しくこわがろう、という表現をよく耳にする。
昔こんな言葉は無かった。
ここ数年見聞きしていて、いったいどういう意味なんだろう、と気になっていたので調べてみた。
どうやらもと(出展)は、寺田虎彦氏の「小爆発二件」と題する昭和十年に書かれた随筆で、浅間山の爆発に関して書かかれたものだそうだ。
山が爆発しているのだから、本来なら「危険」と認識して近づかないのが正しい行動なのに、「たいしたことない」と思って山に登って行ってしまう。
そういう人たちの言動を書いた後、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。」
と書いている。
この「正当にこわがることはなかなかむつかしい」という表現が、東日本大震災の原発事故で放射能が拡散された際に「放射能を正しく恐れる」という表現になって使われたのだそうだ。「正当に」、が「正しく」に。「こわがる」が、「恐れる」に書き換えられ別物になった。
寺田氏は「ちゃんと危険なモノはこわがらないといけないのに、難しいよね」と言っているのに「(放射能、放射性物質はそんなに怖がらなくていい」「パニックに、ヒステリックにならないで」、という意味で使われている。
そしてコロナだ。
今度は「正しく怖がる」と変わってきている。
放射性物質には「怖がらないで」というニュアンスがあったのだが、今度は「もっとちゃんと怖がって」というニュアンスがあるように思う。
真逆だ・・・
日本医学ジャーナリスト協会理事の木村良一氏が、感染症全般についてそもそも根絶できないので「日々の手洗いなど、正しい知識に基づいて日ごろから健康管理と予防を十分に行い、ワクチンや治療薬、抗菌剤を適切に使ってウイルスや細菌などの病原体をコントロール(制御)しながら、感染症とうまく付き合っていくということ。これが正しくこわがることであり、新型コロナウイルスにも同じことがいえるのではないでしょうか。」と東洋経済オンラインで述べられている。
ウィルスに対して正しい知識をもって、自分ができることをちゃんとやりましょうね、ということだろう。
「怖がる」という感じではない。だからひらがなで「こわがる」なのかな?
長野県茅野市(ちのし)のHPで、諏訪中央病院の玉井先生が書かれた「新型コロナウィルス感染をのりこえるための説明書」が公開されている。
(かなり詳しく書かれており、とても参考になるので、一度見て欲しい)
玉井先生は「①、コロナを正しくこわがる」、という項目で、「知識が無いと丸腰の状態」「知識を身につけると戦える」と書かれている。
確かにそうだ。敵を知らなければ対処法はわからない。
そうなのだが、「知識」が問題だ・・・
新型コロナウィルスは、登場したばかりの未知のウィルスであり、インフルエンザのような対処法はまだ確立されていない。
このウィルスに対する「知識」は日々更新されているし、しかも正しい情報がどれかわからない状態である。
まだ、ワクチンも確実な治療薬も無いのだ。
致死率がそこそこ高い病気だから、感染しないよう気を付けないといけないし、自分がウィルスをまき散らさないようにしないと高齢者や心臓・血管系などの疾患がある、いわゆるリスクのある人に知らずにうつしてしまう可能性がある。
人は、我が身のことは考えるが、他人のことはそれほど気にかけていない。
(自分より他人のことを一生懸命考えられる人ももちろんいるが・・・)
家族や友人、ご近所の方ならいざ知らず、見も知らない他人のことなど気にかけていられない、というのが大方の人の感情だろうと思う。
今回の「正しく怖がる」。
怖がり方はたぶん人それぞれだろう。そもそも怖がっていない人もいるだろう。
「正しく」怖がるというのは何だろう・・・?
現状、「私はコロナとは無関係。何しても大丈夫」と言い切れなくなってきているのだが、感染者の出ていない地域では多くの人がそう感じいるのではないだろうか。
でもなんだか不安、疑心暗鬼に駆られている。
不顕性感染者、つまり「症状が何もないけど実は感染していて、ウィルスを周囲にまき散らしている人」が増えてきていると思われる。
それが誰かがわからないし、誰しも無関係とは言い切れないのだ。
そういうことを怖がって、ちゃんと各人が対処する、ということなのだろうか?
最初の寺田氏の言葉に戻ろう。
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」
まさに、そのとおりだと思う。
今回の「新型コロナ」は、どうやらかなり危険なウィルスのようだ。
今まで知られているどのウィルスとも違う性質を持っている。
(Jons Hopkinsらの研究によると、多様な感染ルートと多様な増殖の手段を持つ最強のウィルス、らしい)
だから、ヒステリックに、疑心暗鬼に怖がるのではなく、また全く気にしない、というのでもなく、「ちゃんと」怖がらないといけない。
今爆発している火山の火口に行ってはいけない。
そういう意味で「正しく怖がる」必要がある。
その上で、ちゃんと対処しないと、自分が感染し、あるいは他人に感染させるリスクを負う。
毎日ニュースを見ていると不安になる。
これはデマが飛び交いやすい状況である。
だから、少なくともデマではない情報を手に入れよう。
正しくこわがろう、という表現をよく耳にする。
昔こんな言葉は無かった。
ここ数年見聞きしていて、いったいどういう意味なんだろう、と気になっていたので調べてみた。
どうやらもと(出展)は、寺田虎彦氏の「小爆発二件」と題する昭和十年に書かれた随筆で、浅間山の爆発に関して書かかれたものだそうだ。
山が爆発しているのだから、本来なら「危険」と認識して近づかないのが正しい行動なのに、「たいしたことない」と思って山に登って行ってしまう。
そういう人たちの言動を書いた後、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。」
と書いている。
この「正当にこわがることはなかなかむつかしい」という表現が、東日本大震災の原発事故で放射能が拡散された際に「放射能を正しく恐れる」という表現になって使われたのだそうだ。「正当に」、が「正しく」に。「こわがる」が、「恐れる」に書き換えられ別物になった。
寺田氏は「ちゃんと危険なモノはこわがらないといけないのに、難しいよね」と言っているのに「(放射能、放射性物質はそんなに怖がらなくていい」「パニックに、ヒステリックにならないで」、という意味で使われている。
そしてコロナだ。
今度は「正しく怖がる」と変わってきている。
放射性物質には「怖がらないで」というニュアンスがあったのだが、今度は「もっとちゃんと怖がって」というニュアンスがあるように思う。
真逆だ・・・
日本医学ジャーナリスト協会理事の木村良一氏が、感染症全般についてそもそも根絶できないので「日々の手洗いなど、正しい知識に基づいて日ごろから健康管理と予防を十分に行い、ワクチンや治療薬、抗菌剤を適切に使ってウイルスや細菌などの病原体をコントロール(制御)しながら、感染症とうまく付き合っていくということ。これが正しくこわがることであり、新型コロナウイルスにも同じことがいえるのではないでしょうか。」と東洋経済オンラインで述べられている。
ウィルスに対して正しい知識をもって、自分ができることをちゃんとやりましょうね、ということだろう。
「怖がる」という感じではない。だからひらがなで「こわがる」なのかな?
長野県茅野市(ちのし)のHPで、諏訪中央病院の玉井先生が書かれた「新型コロナウィルス感染をのりこえるための説明書」が公開されている。
(かなり詳しく書かれており、とても参考になるので、一度見て欲しい)
玉井先生は「①、コロナを正しくこわがる」、という項目で、「知識が無いと丸腰の状態」「知識を身につけると戦える」と書かれている。
確かにそうだ。敵を知らなければ対処法はわからない。
そうなのだが、「知識」が問題だ・・・
新型コロナウィルスは、登場したばかりの未知のウィルスであり、インフルエンザのような対処法はまだ確立されていない。
このウィルスに対する「知識」は日々更新されているし、しかも正しい情報がどれかわからない状態である。
まだ、ワクチンも確実な治療薬も無いのだ。
致死率がそこそこ高い病気だから、感染しないよう気を付けないといけないし、自分がウィルスをまき散らさないようにしないと高齢者や心臓・血管系などの疾患がある、いわゆるリスクのある人に知らずにうつしてしまう可能性がある。
人は、我が身のことは考えるが、他人のことはそれほど気にかけていない。
(自分より他人のことを一生懸命考えられる人ももちろんいるが・・・)
家族や友人、ご近所の方ならいざ知らず、見も知らない他人のことなど気にかけていられない、というのが大方の人の感情だろうと思う。
今回の「正しく怖がる」。
怖がり方はたぶん人それぞれだろう。そもそも怖がっていない人もいるだろう。
「正しく」怖がるというのは何だろう・・・?
現状、「私はコロナとは無関係。何しても大丈夫」と言い切れなくなってきているのだが、感染者の出ていない地域では多くの人がそう感じいるのではないだろうか。
でもなんだか不安、疑心暗鬼に駆られている。
不顕性感染者、つまり「症状が何もないけど実は感染していて、ウィルスを周囲にまき散らしている人」が増えてきていると思われる。
それが誰かがわからないし、誰しも無関係とは言い切れないのだ。
そういうことを怖がって、ちゃんと各人が対処する、ということなのだろうか?
最初の寺田氏の言葉に戻ろう。
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」
まさに、そのとおりだと思う。
今回の「新型コロナ」は、どうやらかなり危険なウィルスのようだ。
今まで知られているどのウィルスとも違う性質を持っている。
(Jons Hopkinsらの研究によると、多様な感染ルートと多様な増殖の手段を持つ最強のウィルス、らしい)
だから、ヒステリックに、疑心暗鬼に怖がるのではなく、また全く気にしない、というのでもなく、「ちゃんと」怖がらないといけない。
今爆発している火山の火口に行ってはいけない。
そういう意味で「正しく怖がる」必要がある。
その上で、ちゃんと対処しないと、自分が感染し、あるいは他人に感染させるリスクを負う。
毎日ニュースを見ていると不安になる。
これはデマが飛び交いやすい状況である。
だから、少なくともデマではない情報を手に入れよう。