戦後秩序を考えるべき時
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」106/通算538 2022/11/10/木】先週末は子供3人、孫5人が集まってカミサンと小生の古希のお祝いをしてくれた。カミサンは50年勤務のナース引退祝いを兼ねており、小生は昨年が古希だがコロナ禍でできなかったので今回は夫婦でダブル古希祝い。紫のチャンチャンコ代わりにユニクロのダウンベストを着て「はい、チーズ!」。
毎日が「趣味の営繕」やり放題で、11/7は4F展望台リニューアル工事完了、その勢いで3F屋上ガーデンも庭師になった気分で一気呵成に手入れして、気分爽快、腰はフラフラ。
古人曰く「馬鹿と煙は高いところへ上る」。ことわざ辞典によると「愚か者はおだてにのりやすい」というたとえ。誰も誉めてくれないから自分で自分を褒めるのだ、「良くやった、明日も頑張ろう!」と。自分の老いの住処を自分の好むように美しくしていくのはやりがいがあって心が晴れ晴れする。
小生のようなヒッキーヂヂイにとって我が家の3Fと4Fは天国、解放区だが、下界を見下ろせば炊煙どころではなく硝煙やら黒煙が蔓延していそう。大戦前夜の趣だ。
Wedge ONLINE 11/2、部谷直亮/慶應義塾大学SFC研究所上席所員の「ウクライナ軍が人類史上初の水上ドローンで対艦攻撃 中国軍自爆ドローンによる海上自衛隊無力化の恐れも」から。
<ウクライナ軍は2022年10月29日にロシア海軍の黒海艦隊に対し、海戦史上の画期となる軍事革命を象徴する攻撃を行った。攻撃を受けたロシア国防省の発表によれば、8機のドローンと7隻の自爆水上ドローン(以下、自爆USV、*無人水上艇/Unmanned Surface Vehicle)がセヴァストポリ港を本拠とする黒海艦隊に空と海からの対艦攻撃を仕掛けたという。攻撃をしたウクライナ側もUSVからの映像と共に攻撃を発表した。
これは人類史上初のドローンによる対艦スウォーム攻撃(*複数以上のドローンを使って攻撃する戦法)であり、軍事革命となる可能性が高い。航空機が戦艦を初めて撃沈したタラント空襲(1940)や日本海軍による真珠湾攻撃(1941)に匹敵する契機になりそうな見込みだ。
今回の攻撃はどのようなものだったのだろうか。両軍の発表や既に報じられた分析を相互比較して論じてみよう。
まずロシア軍側としては複数のドローンと自爆USVの攻撃が行われたとしているが、両軍ともに水上ドローンの映像しか出ていないので、「複数の自爆USVによる停泊する艦隊への攻撃が行われた」というのが現時点の確定した事実だろう。
この自爆USVとは、何が使用されたのか? そのヒントになるのが9月にセヴァストポリに漂着し、ロシア軍に回収された謎のUSVだ。このUSVは、衛星通信用のスターリンクアンテナと思しきものを装備し、胴体中央に潜望鏡のようなカメラと船首に爆薬を積載した偵察や自爆、それにおそらくは通信の中継も可能なタイプと目されており、ドローンの高い汎用性を象徴する機体だ。最高速度は時速110キロメートルと目されている。
一説には米国が供与したとされるUSVはこれではないかとも囁かれている。他方で民生部品を集合させただけの非常に簡素なつくりなのでウクライナ軍が作ったとする説もある。
長年の訓練によって練磨した乗組員を積載し、長期的な建艦計画に基づいて配備された高価な艦艇が、四次産業革命を背景とする民生品の寄せ集めの安価な無人兵器によって損傷させられた上に、怯えなければならなくなっていることはどうみても軍事史の転換点だろう。
空を飛ぶドローンの軍事的有用性は――自衛隊とその奇妙な応援団が拒否してきたが――2020年のナゴルノカラバフ紛争や2022年のロシア・ウクライナ戦争によって証明された。ポーツマス大学のピーター・リー教授が指摘するように「もはやドローンが無ければ、戦争を遂行することはできない」のだ。それが今、海戦でも起きようとしている。
ようやくドローン前提軍へと舵を切り始めた自衛隊だが、あくまでも職種ごとの発想や調達に縛られてしまっている。なによりも問題なのはこれまでの兵器や人間を置き換える、つまり少子高齢化問題を解決する省人化の発想にとらわれていることだ。
つまりドローン等を活かした新しい戦い方を志向するのではなく、ロシア軍のように古い戦い方の道具にしようとしているのだ。実際、電波法や航空法の縛りで現場部隊はロクにドローンを運用できず、せっかく調達した小型ドローンも目視可能な距離で弱風の際にのみ運用する自撮り棒状態となっている。残念ながら海自のドローン対策も進んでいない。
2012年に米海軍大学院はシミュレーションの結果、8機のドローンがイージス艦に対艦攻撃した場合、3.82機のドローンがイージス艦への突入に成功するとしている。本研究は東京湾のようなエリアのために主砲やミサイルを使わない想定だが、仮に洋上戦闘だとしても艦隊戦の前に安価なドローンに高価で補充できない対空ミサイルを射耗することは致命的だ。
そして「イージス艦の戦闘システムは高速、レーダー断面の大きい目標と交戦することに特化しており、UAVのような低速、レーダー断面の小さい目標に対しては脆弱である」「レーザーは連射が効かないことから自爆UAVが複数襲来する状況では問題になる」とも指摘し、米海軍は最近でも自爆ドローンのスウォーム攻撃に備える実験を繰り返している。2021年4月には、米海軍はドローンの群れによる対艦攻撃演習も実施している。米海軍は艦隊戦においてドローン攻撃を目指し、また備えつつあるのだ。
一方で、中国軍はスウォーム攻撃する自爆ドローンによって日米の艦隊をせん滅する構想を示しているほか、最近でもAIで駆動する無人水上艦の実験に成功もしている。電子妨害による援護と同時に対艦攻撃するスウォームドローンに対する防空演習も繰り返しており、ドローンの運用やドローンのAIの学習も進んでいると思われる。特に厄介なのは、中国軍はドローンからの電波妨害を重視していることだ。WZ-7翔竜のように敵艦隊の通信妨害に特化した機体もあり、今年9月にも台湾の防空識別圏へ侵入もさせている。
しかし海自の護衛艦は無防備なままで、ほとんど対策もしていない。中東の武装集団ヒズボラはドローン保有数が2000機だとされるが、自衛隊は今夏の岸信夫防衛相(当時)の説明によれば家電量販店で売っているドローンを含めて1000機しか保有していない。自衛隊はヒズボラよりもドローンに関しては軍事的に劣後しているのだ。
このような「周回遅れ」を重ねた状況で中国海軍と戦えば海自は壊滅しかねない。例えばドローンと自爆USVを組み合わせたスウォーム攻撃を台湾有事直前にされれば、戦わずして無力化されるだろう。今回使用されたのは、自爆タイプなので接触しなければならないが、電子妨害や小型ミサイルを発射できるタイプならば一定の距離に近づくだけで十分だ。
少なくともUSVに投資をしている中国が今回の戦いからどのような戦訓を導き出し、更なる投資を行うかは論じるまでもない。火を見るより明らかだ。
よしんば海自艦隊が中国艦隊との艦隊決戦にたどり着けても、電子妨害ドローンによってレーダーも通信も妨害される中、無数の自爆ドローンによって損傷なり、貴重な対空ミサイルやCIWSの弾薬を射耗してしまうだろう。あとは中国艦隊が発射する対艦ミサイルによって殲滅される“結果”だけが待っていることになりかねない。
そして、その悲惨な様子はドローンの4K映像によって、今回のように世界中にSNSを通じて配信され、日本の戦意は消失し、米国内を含む国際世論は中立化しかねない。
もう一つの恐ろしいシナリオは米海軍は先述したようにドローンによる攻撃も対策も重視している。それなのに自衛隊がこの分野で遅れたままでは共同作戦能力を欠いているとみなされ、同盟にヒビが入りかねない。そうであってはならない。
むしろ陸海空自衛隊は、在来型兵器と空中・水上・水中におけるドローンを組み合わせて東シナ海の低空域と浅海域――浅い大陸棚はまさしく水上及び水中ドローンの恰好の場だ――の「空地中間領域」を支配し、中国軍の侵入を拒絶するコンセプトとドクトリンに移行するべきだ・・・
もはやウクライナの戦場では無人アセットなくして戦争に勝つどころか、まともに戦争すら遂行できないことが明らかになっている。日本としても新技術を古い仕事の穴埋めに使うのではなく、「新しい戦い方」のために使い、その為に必要な制度改革と予算の確保に全力を尽くべきだ>(以上)
小生が部谷直亮氏の論稿を読んだのは上記が初めてだが、随分軍事に詳しいようだ。氏のツイッターによると「ひだに なおあき」と読む。ネット論壇のSAKISIRUににはこう紹介されている。
<部谷直亮:安全保障アナリスト/慶應義塾大学SFC研究所上席所員。成蹊大学法学部政治学科卒業、拓殖大学大学院安全保障専攻修士課程(卒業)、拓殖大学大学院安全保障専攻博士課程(単位取得退学)。財団法人世界政経調査会 国際情勢研究所研究員等を経て現職。専門は米国政軍関係、同国防政策、日米関係、安全保障全般>
文春オンラインによると氏は2017年までは朝日新聞のWEBRONZAにも寄稿していた。肩書の「慶應義塾大学SFC研究所上席所員」とは何か。慶應のサイトによると、この肩書を“利用”する人が結構いるようだ。
<上席所員・所員一覧:569名 2022/10/1 ※ご注意※『慶應義塾大学SFC研究所 上席所員』および『慶應義塾大学SFC研究所 所員』という呼称は「慶應義塾大学SFC研究所の実施する研究に参加させる目的でSFC研究所が受け入れる研究者」を示すものであり、慶應義塾との雇用関係を示すものではありません>
SFCは何の略か、何を研究しているのだろうと思っていたらSFCは「湘南藤沢キャンパス」の略。ナンカナーの気分だが、「慶應義塾大学SFC研究所上席所員」として部谷氏が具体的に何をしているのか全然分からない。そもそも研究所のテーマに「安全保障」「軍事」はない。
小生だってカッコイイ肩書が欲しい。「毎日が日曜日 暇つぶしDIY孤老の会会長」「雀のお宿日本支部長」「左巻きから右巻きへ 転向のすゝめ学会理事長」・・・全然ダメ、ただの変人だ。「元気老人『営繕友の会』多摩区支部長」くらいか? パッとしないなあ。
部谷氏は上記の論稿で「自衛隊ガンバレ!」と言っているのだろうが、調べてみたら氏はかつて自衛隊をこき下ろしていたというか、バカにしていた。「自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由 中学校レベルの根性論とパワハラ」(PRESIDENT 2018/10/1)から。
<【自衛隊幹部の51%が高卒以下だった】 筆者の情報公開請求とプレジデント社との共同取材により、自衛隊幹部は公務員の中でも異様な低学歴集団であることが判明した。しかも、それは米軍や韓国軍にも劣るレベルだという。
まず目立つのは大卒の低さである。大卒以上の幹部(尉官以上)は45.9%しか存在しない(2017年10月末時)。大卒率ほぼ100%のキャリアの国家公務員や米軍の現役幹部の83.8%(15年時)と比べると異常な低さだ。
次に修士以上も酷い状況だ。米軍の現役幹部の41.5%が修士号以上を取得している。しかし、自衛隊幹部は僅か5.02%のみ。特に航空自衛隊幹部は3.64%でしかない(18年4月時)。
そして、注目すべきは高卒の多さである。なんと自衛隊幹部の51%が高卒以下であり、一佐ですら3%の80人が高卒であった(17年10月末時)。中卒の一佐も3人いた。一佐とは、諸官庁では課長級であり、連隊長ともなれば数百~1000人の部下をまとめる職である。
では、なぜそうなってしまうのか。それは自衛隊が第1に、諸外国の軍隊の中でも知性を軽視しているからだ。米軍の場合は基本的に将校は学位を保有せねばならず、保有しない将校でも大尉になれば一定期間までに学位を取らねばならないとなっている。将軍では2つや3つの修士はザラである。
自衛隊の場合は、そうした規定もなく、また積極的に国内外の大学に幹部を留学させる仕組みも乏しい。防衛省を含む各省庁のキャリア官僚は、基本的に海外の大学院に留学させるが、自衛隊では非常に限定される。国内の大学院へ行けばはみ出し者扱いされるという。
第2は、自衛隊の専門知識や学問に対する軽視だ。特に陸上自衛隊では、職場の机の上に書籍(軍事や戦争の専門書でも)を置いているだけで上司からにらまれることが多々あり、検閲の場合は私物として隠さねばならない。業務に直接関係のないものを置くのは美しくないためだ。これでは、自ら外部の教育機関で学ぼうとする意欲を持つ人間はつまはじきにされてしまう。
【自衛隊幹部だけが全公務員の中で教育の機会を与えられていない】 複数の自衛隊幹部は「自衛隊幹部の学歴は先進国でも最低レベルではないか。平和安全法制以後、米国などとの共同作戦や演習が増えていく中で深刻な問題になっている」と現状を嘆く・・・
米軍などを見習って、基本的に幹部には学位を取らせるべきであるし、キャリアに当たる幹部は基本的に他省庁と同様に留学させるべきだ。国内大学の修士課程であれば1人135万円、学部なら250万円で卒業可能だが、これは演習弾数発程度でしかない。オスプレイ2機を断念すれば自衛隊の大卒幹部のほとんどを修士課程に、5機を断念すれば自衛隊の高卒幹部約2万人を全員学卒にできる。
自衛隊幹部だけが全公務員の中で、教育の機会を与えられず、中学校レベルの根性論とパワハラで勤務させられるのは差別的待遇でしかない>(以上)
部谷氏は「自分は高学歴で能力があるのに優遇されていない」という、強烈な不満があるのではないか。プライドが高過ぎて周りの連中がバカに見えるから、組織の中では上手くやれないタイプかも知れない。
学歴が高ければ“いい仕事”をするわけではない。高学歴の米軍は第2次世界大戦で勝って以降、ほとんど負けっぱなしである。1950年に始まった朝鮮戦争は未だに決着できずに休戦状態のままだ。中共をパンダと思って餌を与えた米国の高学歴の政治家、軍人は、今、モンスターになったパンダに右往左往している。
学歴が高いと強い軍隊になるのなら、世界中の軍隊の将兵が大卒になるだろう。そうなると誰が最前線で戦うのか。高学歴の兵士は戦闘機の操縦が上手いのか? ハイテク武器の操作に優れているのか? 命令に従って吶喊するのか?
「将兵が高学歴なら軍隊は強い」、それなら兵器にカネを投入するより大学に行かせた方がいいとなるが、大学で何を学ぶのか。文学、史学、地理学、心理学、哲学、語学、経済学、経営学、数学、物理学、化学、情報工学、ロボット工学、航空宇宙工学・・・共産主義が大好きなアカが日本学術会議を制圧しているから軍事学がない。
将兵の資質にとって一番大事なのは国を守る気概・愛国心、勝つための情報分析と作戦能力、強靭な体力と根性、ハイテク機器を操作する戦闘能力などだろう。民生とは違って専門職過ぎるから一般的な大卒、大学院卒では学べない。例えば空自のパイロットは空自で育てるしかない。
部谷氏は大手マスコミへの寄稿では糊口を凌げないのか、今は有料のツイッターを開設している。小生が注目していた若き論客、岩田温(あつし)氏は大学准教授を辞めてユーチューバー(岩田温チャンネル)になり、支持者を固めて言論活動と生活を支えていく覚悟のよう。
大学は本来、学問を通じて良き人材を育て、国家、国民、人類の発展、成長を促すのが使命であり原点だろうが、日本の大学は世界ランキングで随分後退しているという。良き人材どころか、古人も懸念していたようにまるで「駅弁大学」「浮薄の普及」になってしまった面もある。
先進国の政治家は大卒が多いだろうが、日本の大学は学問よりスポーツなどにやたらと熱心だ、と思うのは小生の偏見か。「早稲田文学の向こうを張って三田文学だと・・・まるで早慶戦の延長、愚の骨頂だ」と荷風散人は「学問」での競争ではなく人気取りに堕した大学の商業主義を嘆いていた。もっとも荷風は慶応に頼まれて三田文学を創刊したのは糊口ためだと言い訳していたが(このアバウトさが荷風の面白いところだ)。
今では日本の大学は教育・学問・研究よりも「大卒」の免状を売るビジネスの面が濃いようだから、国会議員が大卒ばかりでも、それなりの知性を持っている人は世の中と一緒で20%ほど。与党と野党で10%ずつのようで、G7やG20の諸国も似たようなものかもしれない。実際、大卒=有能だという話は聞いたことがない。
専門分野が多岐にわたり過ぎて“博学の智者”というのが難しくなっていることもあるだろう。「学歴よりキャリア! 即戦力になるデキル人材が欲しい」という時代に日本も世界も移行しつつあるのではないか。
まともな教育を受けているのかどうかも怪しいプーチン、習近平、金正恩、イスラム過激派に、先進国の大卒、院卒、学者、識者、政治家は右往左往している。戦時にあっては学歴や人格よりも、強い奴、狡猾な奴、できる奴、それが評価されないために鬱屈しているような一癖も二癖もある奴が良い働きをする、ということをマキアヴェッリは言っている。
「彼らに能力を発揮する場を与え、優遇すると、やがては熱烈な忠誠心を持つ将兵になるのだ」
そういう時代になってきたということ。第3次世界大戦が始まっている、共産主義独裁を消滅する好機、と小生は思うが、行き過ぎた自由民主人権法治を正す機会でもあるだろう。21世紀をどういう時代にすべきか、おいおい考えていきたい。
・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
https://note.com/gifted_hawk281/n/n9b3c7f4231f9
https://www.facebook.com/shuichi.ishii.14
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」106/通算538 2022/11/10/木】先週末は子供3人、孫5人が集まってカミサンと小生の古希のお祝いをしてくれた。カミサンは50年勤務のナース引退祝いを兼ねており、小生は昨年が古希だがコロナ禍でできなかったので今回は夫婦でダブル古希祝い。紫のチャンチャンコ代わりにユニクロのダウンベストを着て「はい、チーズ!」。
毎日が「趣味の営繕」やり放題で、11/7は4F展望台リニューアル工事完了、その勢いで3F屋上ガーデンも庭師になった気分で一気呵成に手入れして、気分爽快、腰はフラフラ。
古人曰く「馬鹿と煙は高いところへ上る」。ことわざ辞典によると「愚か者はおだてにのりやすい」というたとえ。誰も誉めてくれないから自分で自分を褒めるのだ、「良くやった、明日も頑張ろう!」と。自分の老いの住処を自分の好むように美しくしていくのはやりがいがあって心が晴れ晴れする。
小生のようなヒッキーヂヂイにとって我が家の3Fと4Fは天国、解放区だが、下界を見下ろせば炊煙どころではなく硝煙やら黒煙が蔓延していそう。大戦前夜の趣だ。
Wedge ONLINE 11/2、部谷直亮/慶應義塾大学SFC研究所上席所員の「ウクライナ軍が人類史上初の水上ドローンで対艦攻撃 中国軍自爆ドローンによる海上自衛隊無力化の恐れも」から。
<ウクライナ軍は2022年10月29日にロシア海軍の黒海艦隊に対し、海戦史上の画期となる軍事革命を象徴する攻撃を行った。攻撃を受けたロシア国防省の発表によれば、8機のドローンと7隻の自爆水上ドローン(以下、自爆USV、*無人水上艇/Unmanned Surface Vehicle)がセヴァストポリ港を本拠とする黒海艦隊に空と海からの対艦攻撃を仕掛けたという。攻撃をしたウクライナ側もUSVからの映像と共に攻撃を発表した。
これは人類史上初のドローンによる対艦スウォーム攻撃(*複数以上のドローンを使って攻撃する戦法)であり、軍事革命となる可能性が高い。航空機が戦艦を初めて撃沈したタラント空襲(1940)や日本海軍による真珠湾攻撃(1941)に匹敵する契機になりそうな見込みだ。
今回の攻撃はどのようなものだったのだろうか。両軍の発表や既に報じられた分析を相互比較して論じてみよう。
まずロシア軍側としては複数のドローンと自爆USVの攻撃が行われたとしているが、両軍ともに水上ドローンの映像しか出ていないので、「複数の自爆USVによる停泊する艦隊への攻撃が行われた」というのが現時点の確定した事実だろう。
この自爆USVとは、何が使用されたのか? そのヒントになるのが9月にセヴァストポリに漂着し、ロシア軍に回収された謎のUSVだ。このUSVは、衛星通信用のスターリンクアンテナと思しきものを装備し、胴体中央に潜望鏡のようなカメラと船首に爆薬を積載した偵察や自爆、それにおそらくは通信の中継も可能なタイプと目されており、ドローンの高い汎用性を象徴する機体だ。最高速度は時速110キロメートルと目されている。
一説には米国が供与したとされるUSVはこれではないかとも囁かれている。他方で民生部品を集合させただけの非常に簡素なつくりなのでウクライナ軍が作ったとする説もある。
長年の訓練によって練磨した乗組員を積載し、長期的な建艦計画に基づいて配備された高価な艦艇が、四次産業革命を背景とする民生品の寄せ集めの安価な無人兵器によって損傷させられた上に、怯えなければならなくなっていることはどうみても軍事史の転換点だろう。
空を飛ぶドローンの軍事的有用性は――自衛隊とその奇妙な応援団が拒否してきたが――2020年のナゴルノカラバフ紛争や2022年のロシア・ウクライナ戦争によって証明された。ポーツマス大学のピーター・リー教授が指摘するように「もはやドローンが無ければ、戦争を遂行することはできない」のだ。それが今、海戦でも起きようとしている。
ようやくドローン前提軍へと舵を切り始めた自衛隊だが、あくまでも職種ごとの発想や調達に縛られてしまっている。なによりも問題なのはこれまでの兵器や人間を置き換える、つまり少子高齢化問題を解決する省人化の発想にとらわれていることだ。
つまりドローン等を活かした新しい戦い方を志向するのではなく、ロシア軍のように古い戦い方の道具にしようとしているのだ。実際、電波法や航空法の縛りで現場部隊はロクにドローンを運用できず、せっかく調達した小型ドローンも目視可能な距離で弱風の際にのみ運用する自撮り棒状態となっている。残念ながら海自のドローン対策も進んでいない。
2012年に米海軍大学院はシミュレーションの結果、8機のドローンがイージス艦に対艦攻撃した場合、3.82機のドローンがイージス艦への突入に成功するとしている。本研究は東京湾のようなエリアのために主砲やミサイルを使わない想定だが、仮に洋上戦闘だとしても艦隊戦の前に安価なドローンに高価で補充できない対空ミサイルを射耗することは致命的だ。
そして「イージス艦の戦闘システムは高速、レーダー断面の大きい目標と交戦することに特化しており、UAVのような低速、レーダー断面の小さい目標に対しては脆弱である」「レーザーは連射が効かないことから自爆UAVが複数襲来する状況では問題になる」とも指摘し、米海軍は最近でも自爆ドローンのスウォーム攻撃に備える実験を繰り返している。2021年4月には、米海軍はドローンの群れによる対艦攻撃演習も実施している。米海軍は艦隊戦においてドローン攻撃を目指し、また備えつつあるのだ。
一方で、中国軍はスウォーム攻撃する自爆ドローンによって日米の艦隊をせん滅する構想を示しているほか、最近でもAIで駆動する無人水上艦の実験に成功もしている。電子妨害による援護と同時に対艦攻撃するスウォームドローンに対する防空演習も繰り返しており、ドローンの運用やドローンのAIの学習も進んでいると思われる。特に厄介なのは、中国軍はドローンからの電波妨害を重視していることだ。WZ-7翔竜のように敵艦隊の通信妨害に特化した機体もあり、今年9月にも台湾の防空識別圏へ侵入もさせている。
しかし海自の護衛艦は無防備なままで、ほとんど対策もしていない。中東の武装集団ヒズボラはドローン保有数が2000機だとされるが、自衛隊は今夏の岸信夫防衛相(当時)の説明によれば家電量販店で売っているドローンを含めて1000機しか保有していない。自衛隊はヒズボラよりもドローンに関しては軍事的に劣後しているのだ。
このような「周回遅れ」を重ねた状況で中国海軍と戦えば海自は壊滅しかねない。例えばドローンと自爆USVを組み合わせたスウォーム攻撃を台湾有事直前にされれば、戦わずして無力化されるだろう。今回使用されたのは、自爆タイプなので接触しなければならないが、電子妨害や小型ミサイルを発射できるタイプならば一定の距離に近づくだけで十分だ。
少なくともUSVに投資をしている中国が今回の戦いからどのような戦訓を導き出し、更なる投資を行うかは論じるまでもない。火を見るより明らかだ。
よしんば海自艦隊が中国艦隊との艦隊決戦にたどり着けても、電子妨害ドローンによってレーダーも通信も妨害される中、無数の自爆ドローンによって損傷なり、貴重な対空ミサイルやCIWSの弾薬を射耗してしまうだろう。あとは中国艦隊が発射する対艦ミサイルによって殲滅される“結果”だけが待っていることになりかねない。
そして、その悲惨な様子はドローンの4K映像によって、今回のように世界中にSNSを通じて配信され、日本の戦意は消失し、米国内を含む国際世論は中立化しかねない。
もう一つの恐ろしいシナリオは米海軍は先述したようにドローンによる攻撃も対策も重視している。それなのに自衛隊がこの分野で遅れたままでは共同作戦能力を欠いているとみなされ、同盟にヒビが入りかねない。そうであってはならない。
むしろ陸海空自衛隊は、在来型兵器と空中・水上・水中におけるドローンを組み合わせて東シナ海の低空域と浅海域――浅い大陸棚はまさしく水上及び水中ドローンの恰好の場だ――の「空地中間領域」を支配し、中国軍の侵入を拒絶するコンセプトとドクトリンに移行するべきだ・・・
もはやウクライナの戦場では無人アセットなくして戦争に勝つどころか、まともに戦争すら遂行できないことが明らかになっている。日本としても新技術を古い仕事の穴埋めに使うのではなく、「新しい戦い方」のために使い、その為に必要な制度改革と予算の確保に全力を尽くべきだ>(以上)
小生が部谷直亮氏の論稿を読んだのは上記が初めてだが、随分軍事に詳しいようだ。氏のツイッターによると「ひだに なおあき」と読む。ネット論壇のSAKISIRUににはこう紹介されている。
<部谷直亮:安全保障アナリスト/慶應義塾大学SFC研究所上席所員。成蹊大学法学部政治学科卒業、拓殖大学大学院安全保障専攻修士課程(卒業)、拓殖大学大学院安全保障専攻博士課程(単位取得退学)。財団法人世界政経調査会 国際情勢研究所研究員等を経て現職。専門は米国政軍関係、同国防政策、日米関係、安全保障全般>
文春オンラインによると氏は2017年までは朝日新聞のWEBRONZAにも寄稿していた。肩書の「慶應義塾大学SFC研究所上席所員」とは何か。慶應のサイトによると、この肩書を“利用”する人が結構いるようだ。
<上席所員・所員一覧:569名 2022/10/1 ※ご注意※『慶應義塾大学SFC研究所 上席所員』および『慶應義塾大学SFC研究所 所員』という呼称は「慶應義塾大学SFC研究所の実施する研究に参加させる目的でSFC研究所が受け入れる研究者」を示すものであり、慶應義塾との雇用関係を示すものではありません>
SFCは何の略か、何を研究しているのだろうと思っていたらSFCは「湘南藤沢キャンパス」の略。ナンカナーの気分だが、「慶應義塾大学SFC研究所上席所員」として部谷氏が具体的に何をしているのか全然分からない。そもそも研究所のテーマに「安全保障」「軍事」はない。
小生だってカッコイイ肩書が欲しい。「毎日が日曜日 暇つぶしDIY孤老の会会長」「雀のお宿日本支部長」「左巻きから右巻きへ 転向のすゝめ学会理事長」・・・全然ダメ、ただの変人だ。「元気老人『営繕友の会』多摩区支部長」くらいか? パッとしないなあ。
部谷氏は上記の論稿で「自衛隊ガンバレ!」と言っているのだろうが、調べてみたら氏はかつて自衛隊をこき下ろしていたというか、バカにしていた。「自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由 中学校レベルの根性論とパワハラ」(PRESIDENT 2018/10/1)から。
<【自衛隊幹部の51%が高卒以下だった】 筆者の情報公開請求とプレジデント社との共同取材により、自衛隊幹部は公務員の中でも異様な低学歴集団であることが判明した。しかも、それは米軍や韓国軍にも劣るレベルだという。
まず目立つのは大卒の低さである。大卒以上の幹部(尉官以上)は45.9%しか存在しない(2017年10月末時)。大卒率ほぼ100%のキャリアの国家公務員や米軍の現役幹部の83.8%(15年時)と比べると異常な低さだ。
次に修士以上も酷い状況だ。米軍の現役幹部の41.5%が修士号以上を取得している。しかし、自衛隊幹部は僅か5.02%のみ。特に航空自衛隊幹部は3.64%でしかない(18年4月時)。
そして、注目すべきは高卒の多さである。なんと自衛隊幹部の51%が高卒以下であり、一佐ですら3%の80人が高卒であった(17年10月末時)。中卒の一佐も3人いた。一佐とは、諸官庁では課長級であり、連隊長ともなれば数百~1000人の部下をまとめる職である。
では、なぜそうなってしまうのか。それは自衛隊が第1に、諸外国の軍隊の中でも知性を軽視しているからだ。米軍の場合は基本的に将校は学位を保有せねばならず、保有しない将校でも大尉になれば一定期間までに学位を取らねばならないとなっている。将軍では2つや3つの修士はザラである。
自衛隊の場合は、そうした規定もなく、また積極的に国内外の大学に幹部を留学させる仕組みも乏しい。防衛省を含む各省庁のキャリア官僚は、基本的に海外の大学院に留学させるが、自衛隊では非常に限定される。国内の大学院へ行けばはみ出し者扱いされるという。
第2は、自衛隊の専門知識や学問に対する軽視だ。特に陸上自衛隊では、職場の机の上に書籍(軍事や戦争の専門書でも)を置いているだけで上司からにらまれることが多々あり、検閲の場合は私物として隠さねばならない。業務に直接関係のないものを置くのは美しくないためだ。これでは、自ら外部の教育機関で学ぼうとする意欲を持つ人間はつまはじきにされてしまう。
【自衛隊幹部だけが全公務員の中で教育の機会を与えられていない】 複数の自衛隊幹部は「自衛隊幹部の学歴は先進国でも最低レベルではないか。平和安全法制以後、米国などとの共同作戦や演習が増えていく中で深刻な問題になっている」と現状を嘆く・・・
米軍などを見習って、基本的に幹部には学位を取らせるべきであるし、キャリアに当たる幹部は基本的に他省庁と同様に留学させるべきだ。国内大学の修士課程であれば1人135万円、学部なら250万円で卒業可能だが、これは演習弾数発程度でしかない。オスプレイ2機を断念すれば自衛隊の大卒幹部のほとんどを修士課程に、5機を断念すれば自衛隊の高卒幹部約2万人を全員学卒にできる。
自衛隊幹部だけが全公務員の中で、教育の機会を与えられず、中学校レベルの根性論とパワハラで勤務させられるのは差別的待遇でしかない>(以上)
部谷氏は「自分は高学歴で能力があるのに優遇されていない」という、強烈な不満があるのではないか。プライドが高過ぎて周りの連中がバカに見えるから、組織の中では上手くやれないタイプかも知れない。
学歴が高ければ“いい仕事”をするわけではない。高学歴の米軍は第2次世界大戦で勝って以降、ほとんど負けっぱなしである。1950年に始まった朝鮮戦争は未だに決着できずに休戦状態のままだ。中共をパンダと思って餌を与えた米国の高学歴の政治家、軍人は、今、モンスターになったパンダに右往左往している。
学歴が高いと強い軍隊になるのなら、世界中の軍隊の将兵が大卒になるだろう。そうなると誰が最前線で戦うのか。高学歴の兵士は戦闘機の操縦が上手いのか? ハイテク武器の操作に優れているのか? 命令に従って吶喊するのか?
「将兵が高学歴なら軍隊は強い」、それなら兵器にカネを投入するより大学に行かせた方がいいとなるが、大学で何を学ぶのか。文学、史学、地理学、心理学、哲学、語学、経済学、経営学、数学、物理学、化学、情報工学、ロボット工学、航空宇宙工学・・・共産主義が大好きなアカが日本学術会議を制圧しているから軍事学がない。
将兵の資質にとって一番大事なのは国を守る気概・愛国心、勝つための情報分析と作戦能力、強靭な体力と根性、ハイテク機器を操作する戦闘能力などだろう。民生とは違って専門職過ぎるから一般的な大卒、大学院卒では学べない。例えば空自のパイロットは空自で育てるしかない。
部谷氏は大手マスコミへの寄稿では糊口を凌げないのか、今は有料のツイッターを開設している。小生が注目していた若き論客、岩田温(あつし)氏は大学准教授を辞めてユーチューバー(岩田温チャンネル)になり、支持者を固めて言論活動と生活を支えていく覚悟のよう。
大学は本来、学問を通じて良き人材を育て、国家、国民、人類の発展、成長を促すのが使命であり原点だろうが、日本の大学は世界ランキングで随分後退しているという。良き人材どころか、古人も懸念していたようにまるで「駅弁大学」「浮薄の普及」になってしまった面もある。
先進国の政治家は大卒が多いだろうが、日本の大学は学問よりスポーツなどにやたらと熱心だ、と思うのは小生の偏見か。「早稲田文学の向こうを張って三田文学だと・・・まるで早慶戦の延長、愚の骨頂だ」と荷風散人は「学問」での競争ではなく人気取りに堕した大学の商業主義を嘆いていた。もっとも荷風は慶応に頼まれて三田文学を創刊したのは糊口ためだと言い訳していたが(このアバウトさが荷風の面白いところだ)。
今では日本の大学は教育・学問・研究よりも「大卒」の免状を売るビジネスの面が濃いようだから、国会議員が大卒ばかりでも、それなりの知性を持っている人は世の中と一緒で20%ほど。与党と野党で10%ずつのようで、G7やG20の諸国も似たようなものかもしれない。実際、大卒=有能だという話は聞いたことがない。
専門分野が多岐にわたり過ぎて“博学の智者”というのが難しくなっていることもあるだろう。「学歴よりキャリア! 即戦力になるデキル人材が欲しい」という時代に日本も世界も移行しつつあるのではないか。
まともな教育を受けているのかどうかも怪しいプーチン、習近平、金正恩、イスラム過激派に、先進国の大卒、院卒、学者、識者、政治家は右往左往している。戦時にあっては学歴や人格よりも、強い奴、狡猾な奴、できる奴、それが評価されないために鬱屈しているような一癖も二癖もある奴が良い働きをする、ということをマキアヴェッリは言っている。
「彼らに能力を発揮する場を与え、優遇すると、やがては熱烈な忠誠心を持つ将兵になるのだ」
そういう時代になってきたということ。第3次世界大戦が始まっている、共産主義独裁を消滅する好機、と小生は思うが、行き過ぎた自由民主人権法治を正す機会でもあるだろう。21世紀をどういう時代にすべきか、おいおい考えていきたい。
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