一触即発? 大戦前夜のような世界
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」203/通算634 2023(令和5)/7/31/月】我にも正義、彼にも正義、この世は正義と正義のぶつかりあい――人類の歴史はそういうものだろう。戦争で勝った者が正義となり新しい秩序を創るが、世界が一つの正義にまとまることはない。国境や人種を越えた「みんな世界市民」は理想かも知れないが、宗教一つをとっても無数に分かれ、「我こそ正統、正義! 他は邪教!」と主張している。
「戦争無き世界」「この世の天国」「桃源郷」は、ただの「夢想、妄想」、公取に摘発される「怪しげなビジネス」の広告みたいだ。それどころか「みんな世界市民」のような価値観の異なる人が押し寄せると、数千年の歴史を経て築いてきた各国の「国柄」「文化・文明」「秩序」「価値観」が揺らぎ、むしろ「戦争、紛争の元」になる。新大陸の先住民は絶滅、今は混血しかいない。
2つの世界大戦に疲れ果て、さらに“共産主義の祖国”ソ連の化けの皮がはがれて冷戦が始まると、欧州では共産主義者が激減していった。しかし平和・安全・安定を唯一の戦勝国であるヤンキー米国主導のNATOに依存するのでは独立国として危ういし、第一シャクに障る、自らの安全は自ら確保すべしという思いがEU(欧州連合)結成になったのだろう。
EUの根幹はお互いに最大の敵と見なしていた仏独の2大国だが、アカからピンクになっても共産主義者が社会主義者に転向したようなもので、根底には「みんな世界市民」「弱者に優しいバラマキ福祉」がありそう。智者は「もっと明かりを」、愚者は「もっとおカネを」・・・恥ずかしくないのか?
かつて世界を制覇した誇り高き大英帝国の血潮が辛うじて残っているエリザベス2世女王の英国はEUから離脱した。女王は亡くなる2日前まで公務を務めた。一方でEUのリーダーや官僚、実権を握る現場のエリート職員はピンクの高給取り、“我が世の春”的パラサイトばかりのよう。
それを見て英国民の多くはEUにウンザリしていたのではないか。「連帯を求めるも孤立を恐れず」・・・騎士道ジョンブル頑張れ、武士道の日本とインド・太平洋は君を待っている。民主党政権の米国より同じ君主制の英国の方が遥かに信頼できる、という日本人は結構多いのではないか。
小生思うに日本ではデキル人材は優(10%)良(20%)可(30%)あたりで合計6割、その下の並は20%、できない人は10%、夏彦翁によると残りの10%は「足を引っ張る人」。世界的に見ても日本は結構良い方だと思う。これという資源のない日本が一応先進国になれたのは教育の普及に努め、デキル人材を育て、皆が一所懸命に頑張ってきたからだ。
デキル人材の中でも「政治家」は最高かつ崇高な職能人だと言われるが、本当にデキル政治家というのは、敗戦で米国により「日本弱体化」が進められたため、今ではごく少数のよう。政治家は数年で選挙があり身分が保障されていないというリスクが高いから「志士」が育たない面もある。しかし「家業の2代目、3代目の政治家」ばかりでは心もとない。有能な人材がリスクを嫌ってビジネスでの成功を目指す・・・それは国家への貢献の一つではあるけれど、危機の時代にあって国家の安全保障を疎かにすると亡国リスクは高まる。
塩野七生氏の『誰が国家を殺すのか』所載「他者との共生の難しさ」(2018/4/17)から。
<日本はまだ難民問題に直面しないで済んでいるが、遅かれ早かれこの難題と正面から向き合わねばならない時が来るだろう。イタリアでは2018年3月の総選挙で政府与党が大敗した真の原因は、有権者の心の奥底に張り付いて離れなかった難民問題への不満にあった。結果はデマゴーグたちによる「デマゴジア」(衆愚政)の勝利で政局不安が続いている。
イタリア人は伝統的に人種差別意識の薄い国民で、ミス・イタリアに肌は茶色でも美女であれば選ぶ国であるが、他民族との共生にアレルギーを感じるようになった。その理由も具体的で、難民たちの大半は衛生観念ゼロのためか汚い。法を守る意識も薄弱だから、して良いことと悪いことの区別がつかない。つまり、不潔であるばかりか、治安まで悪化しているというのだ。
そして理由の第3は、というよりも最大の理由は、なぜイタリア人が払う税金で、彼らに人間並みの衣食住を保証してやらねばならないのか、自分たちは人間並みの生活をするのに毎日苦労しているのに・・・である。
これこそ『逆襲される文明』だなと思ってしまうが、日本も含めた文明諸国は「人権尊重」という大義を樹立して久しい。だから、出身国では保証されていなくても難民先の先進国では保証されてしかるべきというのが“文明的な対応”とされるのである。
ところが文明度ではイタリアよりは進んでいるはずのイギリスやフランスを始めとする北西ヨーロッパ諸国は、いずれも難民シャットアウト。難民はイタリアに溜まる一方になり、イタリア人の不満は“文明的な対応”を続ける政府と与党に対して爆発したのだ。
歴史上で難民対策で成功したのは一例しかない。古代ローマである。国境外からの移住希望者に対してローマ帝国は開放路線で対応し続けたのだが、ローマはローマなりに「ローマ・ファースト」は行使している。一言でいえば、ローマ帝国の市民権(国籍)を持つものと移住希望者は平等に扱わない、につきる。
市民権所有者とその奴隷には月に30キロの小麦粉配給などがあったが、移住希望者には衣食住の保証もいっさいなし。法律厳守は絶対で、反しようものなら極刑に処せられる。商いに従事すれば売上税を払う義務を負う。違反すれば牢獄行き。
要するに古代のローマ人のやり方は、受け入れるのはOKだが、それ以後は自分で働け、であった。それでも移入希望者が絶えなかったのは、大帝国ゆえに巨大な経済圏を形成していたローマでは、働く気さえあれば職は常にあったからだ。
市民権を「取得権」と考えていたローマ帝国では新規移住者にも業績次第では市民権取得への道は開かれていたので、社会の格差はあっても、その中での流動性は維持されていた>(以上)
そのローマ帝国も栄枯盛衰、世の習い、1000年後には滅亡へ。塩野氏はインタビューでこう語っている(デイリー新潮2017/4/15)。
<ローマ帝国滅亡への一因とされている蛮族の侵入。私が学生であった頃の日本の学界では『蛮族の侵入』ではなく『民族の大移動』とするべきだと言われていたんですよ。でも、ローマ帝国内に侵入してきた『蛮族』が(アイデンティティを高め)フランス人やドイツ人になるのは『侵入』から500年が過ぎてからです。
北方からの侵入に直面していた当時のローマ人の気持ちになったとしたらどうでしょう。武器を持ち、抵抗する者は容赦なく殺し、すべてを奪い、しかもそのまま居ついてしまう北方人は、やはり『蛮族』に見えたのでは?>
フランス人、ドイツ人・・・仏独は大昔からパワフル! 敵にはしたくないが、友達になるのもちょっと怖いような・・・彼らも「“カミカゼ”日本人は命知らずで何をするか分からない」と恐れているかもしれない。要は「人間、民族、国家は怪しいもの、戦時にあっては敵、平時にあっては友、永遠の友も永遠の敵もない、距離をおいて付き合うべし」ということだろう。
ところがこの「距離」の塩梅が難しい・・・近年では同意書をとっておかないと「セクハラだ!」なんて非難されるから、君子危うきに近寄らず、男女交際なんて恐ろしくてできない男が増えるから結婚も出産も低下するばかりだろう。国家間の交際、外交もお互いに「どこまで信じていいのか?」と随分怪しくなってきたのではないか。(不細工でも懐が温かくて気前の良い国・男に人は擦り寄る。外交は男女交際みたいだ。習近平・中共は怪し過ぎ! まるで広域指定暴力団)
仏のマクロンは今春4月の訪中時に記者団にこう語った。
<EUは米中対立と距離を置き「第三極」を目指すべきだ。台湾での緊張の高まりに、われわれの利害はあるか。答えはノンだ。最悪なのは、米国のペースや中国の過剰反応に追随せねばならないと考えること。われわれのものではない危機にとらわれればワナに陥る>
台湾が習近平・中共に侵略されても「われわれの危機ではないのだから介入しない、中共はフランス経済にとって大事なパートナーなのだから」ということだ。日米欧などの国際社会は唖然とし、マクロン・フランスはすこぶる怪しい、警戒すべし、と肝に銘じたろう。ドゴールの「共産圏と自由民主圏の間の等距離外交」を真似たのだろうが、結局、中共のワナにはまってポチに成り下がったマクロンは同志国の信頼を失った。
自分で自分を「何を仕出かすか分からぬ奴」と警戒している小生から見ると、このところイスラエルもおかしくなってきたようだ。小生はエドワード・ルトワックの『戦争にチャンスを与えよ』(2017年)を読んで、イスラエルは頑張っているじゃないか、日本とユダヤ人は縁があり、親日的で日本企業も随分進出しているから共に頑張るべし(アイアンドーム売ってくれないかなあ)と思っていたが、このところは内政が随分不安定になったよう。ルトワックはイスラエルを随分称賛していたが、調べたら・・・
<Edward Nicolae Luttwak、1942年11月4日-)は米国の国際政治学者。専門は大戦略、軍事史、国際関係論。戦略国際問題研究所シニアアドバイザー(上級顧問)。
ルーマニアのユダヤ人の家庭に生まれ、イタリア、イギリスで育つ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、英国軍、フランス軍、イスラエル軍に所属した後、1975年にジョンズ・ホプキンス大学で国際関係論の博士号取得>(WIKI)
ルトワックはユダヤ人だった。キッシンジャーみたいな「侮日」ユダヤ人ではないが、最近お騒がせなエマニュエル駐日米国大使(戦闘的なユダヤ人過激派の家系らしい)は根っからの「侮日」、キッシンジャーとは違って知性が足りないのか、目立ちたがり屋なのか、露骨に日本を侮辱している。
産経2023/6/16「エマニュエル米大使、LGBT法歓迎 『流れ変わった』」から。
<米国のエマニュエル駐日大使は16日、自身のツイッターを更新し、LGBTなど性的少数者への理解増進法が同日の参院本会議で成立したことについて、「これで流れが変わった。岸田文雄首相のリーダーシップと、LGBTQI+の権利に対する日本国民のコミットメントをたたえる。万人に平等な権利を確保するための重要な一歩となる」と投稿した。
米国大使館のホームページなどによれば「LGBTQI+」の「Q」は規範的とされる性のあり方に当てはまらない「クィア」の人を、「I」は生まれつき生殖系の構造に変異がある「インターセックス」の人を、「+」は自身を男性とも女性とも認識しない人を指すという>
日本では信長の時代あたりには同性愛は「高尚な趣味」になったよう。十返舎一九 の「東海道中膝栗毛」の弥次さん喜多さんの2人も同性愛。江戸時代には同性愛者向けの「陰間茶屋」もあり、当時の社会はそれなりに容認していた。稲垣足穂の「少年愛の美学」も大方の読者は「ふーん、そういう世界があるんだ」と知っても非難はしなかった。英国人の「アラビアのロレンス」も同性愛者だが、キリスト教では異端とされるためだろう、それを隠していた。カトリックの総本山バチカンは同性愛に否定的だ。
「人は好き好き、けなすは野暮よ、好きなお方の好きにさせ」と母は小生によく言っていたが、日本はエマニュエルにガタガタ言われる筋合いはない。エマニュエルって何なのだ。
<ラーム・イスラエル・エマニュエル(Rahm Israel Emanuel、1959年11月29日 - )は、米国の政治家。父はイスラエルのエルサレム出身のユダヤ人小児科医であったが、それ以前は「オデーサ・ギャング」とも呼ばれたイスラエル右翼民兵組織「イルグン」のメンバーであった。母はシカゴ出身のX線技師である。2人は1950年にシカゴで出会った。
エマニュエルの父方の先祖はポグロム(ロシア人によるユダヤ人狩り)でウクライナのオデーサからイスラエル建国前のパレスチナに逃亡したユダヤ人であり、母方の先祖はモルドバ出身のユダヤ人である。
ラーム・イスラエル・エマニュエルの「ラーム」は「高尚」などを意味するヘブライ語で、彼の父ベンジャミンによると、イスラエル過激派武装グループ「イスラエル解放戦士団」の戦死した戦闘員Rahaminから名付けたという。また、彼の一族は元々アウエルバッハ(Auerbach)という姓であったが、アラブ人との抗争で死亡した彼の叔父エマニュエルにちなみ改姓した。
エマニュエルは1991年の湾岸戦争ではイスラエル国防軍に民間ボランティアの資格で参加し、イスラエル北部の基地で働いていた。つまり米国とイスラエルとの二重国籍を持った「シオニスト(ユダヤ人国家建設運動家)」で、自他共に認める「ユダヤ・ロビー」の1人であると敵対勢力から中傷されることがある。
エイミー夫人は結婚直前にユダヤ教に改宗してユダヤ人になったため、現在2人の間にはユダヤ人の1男2女の子供がいる>(WIKI)
1904年の日露戦争からの歴史を振り返っても日本がユダヤ人からコケにされるいわれはないが、エマニュエルには日本を叩く「理由」がそれなりにあったようだ。島田洋一・福井県立大学教授の「LGBT問題は米民主党の『接着剤』」(Japan In-depth 2023/5/1)から。
<アメリカでは、民主党が包括的なLGBT差別禁止法案(名称は平等法)を提出したものの、共和党が一致して反対する姿勢を崩しておらず、予見しうる将来、成立の見込みはない。
共和党の反対理由の柱は、差別の定義が曖昧で、女性の保護を掘り崩し、信仰の自由を脅かすというものである。従ってエマニュエル大使の発言はあくまで米民主党の意見であって、アメリカ全体の意見と捉えると状況を見誤る。
LGBT問題はアメリカでも、というより日本以上にアメリカにおいて激しいせめぎ合いが続いているテーマである。同時にLGBT問題は、内部に大小さまざまな軋轢を抱える民主、共和両党にとって、党の結束を誇示し、一枚岩で外部に対しうる得難い「接着剤」的テーマでもある。
エマニュエル大使としては、この問題で「自分が日本に差別禁止法を成立させた」と言える展開を作ることで、所属する民主党全体から評価を得たいとの思惑が働いていよう>
ナチスの宣伝担当、ゲッベルス曰く「嘘も百回言えば真実になる」。日本では“盗人にも三分の理”“嘘も方便”とか“嘘から出たまこと”というのもある。ユダヤの過激武闘派の血を引いているらしいエマニュエルには「何をしても勝った方が正義」という信念がありそうだ。「常在戦場」のエマニュエルは日本バッシングで得点を挙げ、民主党でさらに出世を重ね、やがては大統領に・・・というのが目標か。
小生から見ると彼は「人間としての品格」が劣っているようだが、民主党はFDRルーズベルトを筆頭に共産主義との親和性が高く、カネへの執着が強く、知性や理性ではなく利益や好悪、有色人種への軽侮といった思想、感情、価値観で動くようである。彼のような人が集まっているのが米国民主党だろう。
民主党に比べて米国共和党は遥かにマシだが、いずれにせよ日本は国防の米国依存を改め軍事力を格段に強化しなければ中露北の侵略を免れ得ない。小国でも頑張ってきたイスラエルの今のゴタゴタは、「国際情勢は危機を高めており、これまでの民主主義による連立政権では有事に際して国防を維持できない、民主主義を削っても自国を守れる体制にしなければならない」という政策を巡るもののようである。
世界情勢は平時から戦時へ向かっているからG7、EU、NATO、G20などの民主主義諸国はいずこも四苦八苦しながら中露北など強権独裁国による侵略に備え始めている。「平和を守りたいのなら戦争で勝つ、少なくとも負けない」強靭な国家にしなければならないということ。
しかし脳内お花畑≒ピンク≒容共左派の人はそれが分からない、分かっていても「国境があるから戦争になる、みんな地球市民になれば戦争のない世界になる」と信じているから「軍拡、ダメ、絶対!」、ほとんど宗教、つける薬なし。我らの内なる敵性国民・・・内憂外患の危機の時代が始まっている。
主敵の習近平を排除すれば危機は相当後退すると小生は思うのだが、それは禁じ手か? 中核派のリーダー、本多延嘉書記長が革マル派に殺される(1975/3/14)と中核派はタガが緩んで急速に弱体化していった。ピンポイント暗殺は効き目があるのだ。
勝った革マル派も今や高齢化で絶滅寸前、共産主義者同盟(ブント)系+社会党系らしい立憲民主党、100年経っても革命できない日共もパワーダウンしているが、老化、劣化による自滅を待つと数十年もかかる。平時の内政ならそれでいいかもしれないが、危機が募るばかりの対中政策においては民主主義的で穏やかな外交ではとても対処できまい。
習近平と側近を排除すれば、血を流すこと少なく、上海閥と共青団派蘇生→改革開放の資本主義復活・・・と中共はそれなりにまともな国になっていくのではないか。良識ある識者は「暗殺のすゝめ」なんぞ唱えれば、これまた良識あるマスコミから「常軌を逸している、暴力は許さない」と総スカンを食うので言えるはずがないので、失うものが何もない小生が代弁した。習近平にお引き取りを願う・・・大戦になるより上策ではないか? ゴルゴ13の出番だが・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」203/通算634 2023(令和5)/7/31/月】我にも正義、彼にも正義、この世は正義と正義のぶつかりあい――人類の歴史はそういうものだろう。戦争で勝った者が正義となり新しい秩序を創るが、世界が一つの正義にまとまることはない。国境や人種を越えた「みんな世界市民」は理想かも知れないが、宗教一つをとっても無数に分かれ、「我こそ正統、正義! 他は邪教!」と主張している。
「戦争無き世界」「この世の天国」「桃源郷」は、ただの「夢想、妄想」、公取に摘発される「怪しげなビジネス」の広告みたいだ。それどころか「みんな世界市民」のような価値観の異なる人が押し寄せると、数千年の歴史を経て築いてきた各国の「国柄」「文化・文明」「秩序」「価値観」が揺らぎ、むしろ「戦争、紛争の元」になる。新大陸の先住民は絶滅、今は混血しかいない。
2つの世界大戦に疲れ果て、さらに“共産主義の祖国”ソ連の化けの皮がはがれて冷戦が始まると、欧州では共産主義者が激減していった。しかし平和・安全・安定を唯一の戦勝国であるヤンキー米国主導のNATOに依存するのでは独立国として危ういし、第一シャクに障る、自らの安全は自ら確保すべしという思いがEU(欧州連合)結成になったのだろう。
EUの根幹はお互いに最大の敵と見なしていた仏独の2大国だが、アカからピンクになっても共産主義者が社会主義者に転向したようなもので、根底には「みんな世界市民」「弱者に優しいバラマキ福祉」がありそう。智者は「もっと明かりを」、愚者は「もっとおカネを」・・・恥ずかしくないのか?
かつて世界を制覇した誇り高き大英帝国の血潮が辛うじて残っているエリザベス2世女王の英国はEUから離脱した。女王は亡くなる2日前まで公務を務めた。一方でEUのリーダーや官僚、実権を握る現場のエリート職員はピンクの高給取り、“我が世の春”的パラサイトばかりのよう。
それを見て英国民の多くはEUにウンザリしていたのではないか。「連帯を求めるも孤立を恐れず」・・・騎士道ジョンブル頑張れ、武士道の日本とインド・太平洋は君を待っている。民主党政権の米国より同じ君主制の英国の方が遥かに信頼できる、という日本人は結構多いのではないか。
小生思うに日本ではデキル人材は優(10%)良(20%)可(30%)あたりで合計6割、その下の並は20%、できない人は10%、夏彦翁によると残りの10%は「足を引っ張る人」。世界的に見ても日本は結構良い方だと思う。これという資源のない日本が一応先進国になれたのは教育の普及に努め、デキル人材を育て、皆が一所懸命に頑張ってきたからだ。
デキル人材の中でも「政治家」は最高かつ崇高な職能人だと言われるが、本当にデキル政治家というのは、敗戦で米国により「日本弱体化」が進められたため、今ではごく少数のよう。政治家は数年で選挙があり身分が保障されていないというリスクが高いから「志士」が育たない面もある。しかし「家業の2代目、3代目の政治家」ばかりでは心もとない。有能な人材がリスクを嫌ってビジネスでの成功を目指す・・・それは国家への貢献の一つではあるけれど、危機の時代にあって国家の安全保障を疎かにすると亡国リスクは高まる。
塩野七生氏の『誰が国家を殺すのか』所載「他者との共生の難しさ」(2018/4/17)から。
<日本はまだ難民問題に直面しないで済んでいるが、遅かれ早かれこの難題と正面から向き合わねばならない時が来るだろう。イタリアでは2018年3月の総選挙で政府与党が大敗した真の原因は、有権者の心の奥底に張り付いて離れなかった難民問題への不満にあった。結果はデマゴーグたちによる「デマゴジア」(衆愚政)の勝利で政局不安が続いている。
イタリア人は伝統的に人種差別意識の薄い国民で、ミス・イタリアに肌は茶色でも美女であれば選ぶ国であるが、他民族との共生にアレルギーを感じるようになった。その理由も具体的で、難民たちの大半は衛生観念ゼロのためか汚い。法を守る意識も薄弱だから、して良いことと悪いことの区別がつかない。つまり、不潔であるばかりか、治安まで悪化しているというのだ。
そして理由の第3は、というよりも最大の理由は、なぜイタリア人が払う税金で、彼らに人間並みの衣食住を保証してやらねばならないのか、自分たちは人間並みの生活をするのに毎日苦労しているのに・・・である。
これこそ『逆襲される文明』だなと思ってしまうが、日本も含めた文明諸国は「人権尊重」という大義を樹立して久しい。だから、出身国では保証されていなくても難民先の先進国では保証されてしかるべきというのが“文明的な対応”とされるのである。
ところが文明度ではイタリアよりは進んでいるはずのイギリスやフランスを始めとする北西ヨーロッパ諸国は、いずれも難民シャットアウト。難民はイタリアに溜まる一方になり、イタリア人の不満は“文明的な対応”を続ける政府と与党に対して爆発したのだ。
歴史上で難民対策で成功したのは一例しかない。古代ローマである。国境外からの移住希望者に対してローマ帝国は開放路線で対応し続けたのだが、ローマはローマなりに「ローマ・ファースト」は行使している。一言でいえば、ローマ帝国の市民権(国籍)を持つものと移住希望者は平等に扱わない、につきる。
市民権所有者とその奴隷には月に30キロの小麦粉配給などがあったが、移住希望者には衣食住の保証もいっさいなし。法律厳守は絶対で、反しようものなら極刑に処せられる。商いに従事すれば売上税を払う義務を負う。違反すれば牢獄行き。
要するに古代のローマ人のやり方は、受け入れるのはOKだが、それ以後は自分で働け、であった。それでも移入希望者が絶えなかったのは、大帝国ゆえに巨大な経済圏を形成していたローマでは、働く気さえあれば職は常にあったからだ。
市民権を「取得権」と考えていたローマ帝国では新規移住者にも業績次第では市民権取得への道は開かれていたので、社会の格差はあっても、その中での流動性は維持されていた>(以上)
そのローマ帝国も栄枯盛衰、世の習い、1000年後には滅亡へ。塩野氏はインタビューでこう語っている(デイリー新潮2017/4/15)。
<ローマ帝国滅亡への一因とされている蛮族の侵入。私が学生であった頃の日本の学界では『蛮族の侵入』ではなく『民族の大移動』とするべきだと言われていたんですよ。でも、ローマ帝国内に侵入してきた『蛮族』が(アイデンティティを高め)フランス人やドイツ人になるのは『侵入』から500年が過ぎてからです。
北方からの侵入に直面していた当時のローマ人の気持ちになったとしたらどうでしょう。武器を持ち、抵抗する者は容赦なく殺し、すべてを奪い、しかもそのまま居ついてしまう北方人は、やはり『蛮族』に見えたのでは?>
フランス人、ドイツ人・・・仏独は大昔からパワフル! 敵にはしたくないが、友達になるのもちょっと怖いような・・・彼らも「“カミカゼ”日本人は命知らずで何をするか分からない」と恐れているかもしれない。要は「人間、民族、国家は怪しいもの、戦時にあっては敵、平時にあっては友、永遠の友も永遠の敵もない、距離をおいて付き合うべし」ということだろう。
ところがこの「距離」の塩梅が難しい・・・近年では同意書をとっておかないと「セクハラだ!」なんて非難されるから、君子危うきに近寄らず、男女交際なんて恐ろしくてできない男が増えるから結婚も出産も低下するばかりだろう。国家間の交際、外交もお互いに「どこまで信じていいのか?」と随分怪しくなってきたのではないか。(不細工でも懐が温かくて気前の良い国・男に人は擦り寄る。外交は男女交際みたいだ。習近平・中共は怪し過ぎ! まるで広域指定暴力団)
仏のマクロンは今春4月の訪中時に記者団にこう語った。
<EUは米中対立と距離を置き「第三極」を目指すべきだ。台湾での緊張の高まりに、われわれの利害はあるか。答えはノンだ。最悪なのは、米国のペースや中国の過剰反応に追随せねばならないと考えること。われわれのものではない危機にとらわれればワナに陥る>
台湾が習近平・中共に侵略されても「われわれの危機ではないのだから介入しない、中共はフランス経済にとって大事なパートナーなのだから」ということだ。日米欧などの国際社会は唖然とし、マクロン・フランスはすこぶる怪しい、警戒すべし、と肝に銘じたろう。ドゴールの「共産圏と自由民主圏の間の等距離外交」を真似たのだろうが、結局、中共のワナにはまってポチに成り下がったマクロンは同志国の信頼を失った。
自分で自分を「何を仕出かすか分からぬ奴」と警戒している小生から見ると、このところイスラエルもおかしくなってきたようだ。小生はエドワード・ルトワックの『戦争にチャンスを与えよ』(2017年)を読んで、イスラエルは頑張っているじゃないか、日本とユダヤ人は縁があり、親日的で日本企業も随分進出しているから共に頑張るべし(アイアンドーム売ってくれないかなあ)と思っていたが、このところは内政が随分不安定になったよう。ルトワックはイスラエルを随分称賛していたが、調べたら・・・
<Edward Nicolae Luttwak、1942年11月4日-)は米国の国際政治学者。専門は大戦略、軍事史、国際関係論。戦略国際問題研究所シニアアドバイザー(上級顧問)。
ルーマニアのユダヤ人の家庭に生まれ、イタリア、イギリスで育つ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、英国軍、フランス軍、イスラエル軍に所属した後、1975年にジョンズ・ホプキンス大学で国際関係論の博士号取得>(WIKI)
ルトワックはユダヤ人だった。キッシンジャーみたいな「侮日」ユダヤ人ではないが、最近お騒がせなエマニュエル駐日米国大使(戦闘的なユダヤ人過激派の家系らしい)は根っからの「侮日」、キッシンジャーとは違って知性が足りないのか、目立ちたがり屋なのか、露骨に日本を侮辱している。
産経2023/6/16「エマニュエル米大使、LGBT法歓迎 『流れ変わった』」から。
<米国のエマニュエル駐日大使は16日、自身のツイッターを更新し、LGBTなど性的少数者への理解増進法が同日の参院本会議で成立したことについて、「これで流れが変わった。岸田文雄首相のリーダーシップと、LGBTQI+の権利に対する日本国民のコミットメントをたたえる。万人に平等な権利を確保するための重要な一歩となる」と投稿した。
米国大使館のホームページなどによれば「LGBTQI+」の「Q」は規範的とされる性のあり方に当てはまらない「クィア」の人を、「I」は生まれつき生殖系の構造に変異がある「インターセックス」の人を、「+」は自身を男性とも女性とも認識しない人を指すという>
日本では信長の時代あたりには同性愛は「高尚な趣味」になったよう。十返舎一九 の「東海道中膝栗毛」の弥次さん喜多さんの2人も同性愛。江戸時代には同性愛者向けの「陰間茶屋」もあり、当時の社会はそれなりに容認していた。稲垣足穂の「少年愛の美学」も大方の読者は「ふーん、そういう世界があるんだ」と知っても非難はしなかった。英国人の「アラビアのロレンス」も同性愛者だが、キリスト教では異端とされるためだろう、それを隠していた。カトリックの総本山バチカンは同性愛に否定的だ。
「人は好き好き、けなすは野暮よ、好きなお方の好きにさせ」と母は小生によく言っていたが、日本はエマニュエルにガタガタ言われる筋合いはない。エマニュエルって何なのだ。
<ラーム・イスラエル・エマニュエル(Rahm Israel Emanuel、1959年11月29日 - )は、米国の政治家。父はイスラエルのエルサレム出身のユダヤ人小児科医であったが、それ以前は「オデーサ・ギャング」とも呼ばれたイスラエル右翼民兵組織「イルグン」のメンバーであった。母はシカゴ出身のX線技師である。2人は1950年にシカゴで出会った。
エマニュエルの父方の先祖はポグロム(ロシア人によるユダヤ人狩り)でウクライナのオデーサからイスラエル建国前のパレスチナに逃亡したユダヤ人であり、母方の先祖はモルドバ出身のユダヤ人である。
ラーム・イスラエル・エマニュエルの「ラーム」は「高尚」などを意味するヘブライ語で、彼の父ベンジャミンによると、イスラエル過激派武装グループ「イスラエル解放戦士団」の戦死した戦闘員Rahaminから名付けたという。また、彼の一族は元々アウエルバッハ(Auerbach)という姓であったが、アラブ人との抗争で死亡した彼の叔父エマニュエルにちなみ改姓した。
エマニュエルは1991年の湾岸戦争ではイスラエル国防軍に民間ボランティアの資格で参加し、イスラエル北部の基地で働いていた。つまり米国とイスラエルとの二重国籍を持った「シオニスト(ユダヤ人国家建設運動家)」で、自他共に認める「ユダヤ・ロビー」の1人であると敵対勢力から中傷されることがある。
エイミー夫人は結婚直前にユダヤ教に改宗してユダヤ人になったため、現在2人の間にはユダヤ人の1男2女の子供がいる>(WIKI)
1904年の日露戦争からの歴史を振り返っても日本がユダヤ人からコケにされるいわれはないが、エマニュエルには日本を叩く「理由」がそれなりにあったようだ。島田洋一・福井県立大学教授の「LGBT問題は米民主党の『接着剤』」(Japan In-depth 2023/5/1)から。
<アメリカでは、民主党が包括的なLGBT差別禁止法案(名称は平等法)を提出したものの、共和党が一致して反対する姿勢を崩しておらず、予見しうる将来、成立の見込みはない。
共和党の反対理由の柱は、差別の定義が曖昧で、女性の保護を掘り崩し、信仰の自由を脅かすというものである。従ってエマニュエル大使の発言はあくまで米民主党の意見であって、アメリカ全体の意見と捉えると状況を見誤る。
LGBT問題はアメリカでも、というより日本以上にアメリカにおいて激しいせめぎ合いが続いているテーマである。同時にLGBT問題は、内部に大小さまざまな軋轢を抱える民主、共和両党にとって、党の結束を誇示し、一枚岩で外部に対しうる得難い「接着剤」的テーマでもある。
エマニュエル大使としては、この問題で「自分が日本に差別禁止法を成立させた」と言える展開を作ることで、所属する民主党全体から評価を得たいとの思惑が働いていよう>
ナチスの宣伝担当、ゲッベルス曰く「嘘も百回言えば真実になる」。日本では“盗人にも三分の理”“嘘も方便”とか“嘘から出たまこと”というのもある。ユダヤの過激武闘派の血を引いているらしいエマニュエルには「何をしても勝った方が正義」という信念がありそうだ。「常在戦場」のエマニュエルは日本バッシングで得点を挙げ、民主党でさらに出世を重ね、やがては大統領に・・・というのが目標か。
小生から見ると彼は「人間としての品格」が劣っているようだが、民主党はFDRルーズベルトを筆頭に共産主義との親和性が高く、カネへの執着が強く、知性や理性ではなく利益や好悪、有色人種への軽侮といった思想、感情、価値観で動くようである。彼のような人が集まっているのが米国民主党だろう。
民主党に比べて米国共和党は遥かにマシだが、いずれにせよ日本は国防の米国依存を改め軍事力を格段に強化しなければ中露北の侵略を免れ得ない。小国でも頑張ってきたイスラエルの今のゴタゴタは、「国際情勢は危機を高めており、これまでの民主主義による連立政権では有事に際して国防を維持できない、民主主義を削っても自国を守れる体制にしなければならない」という政策を巡るもののようである。
世界情勢は平時から戦時へ向かっているからG7、EU、NATO、G20などの民主主義諸国はいずこも四苦八苦しながら中露北など強権独裁国による侵略に備え始めている。「平和を守りたいのなら戦争で勝つ、少なくとも負けない」強靭な国家にしなければならないということ。
しかし脳内お花畑≒ピンク≒容共左派の人はそれが分からない、分かっていても「国境があるから戦争になる、みんな地球市民になれば戦争のない世界になる」と信じているから「軍拡、ダメ、絶対!」、ほとんど宗教、つける薬なし。我らの内なる敵性国民・・・内憂外患の危機の時代が始まっている。
主敵の習近平を排除すれば危機は相当後退すると小生は思うのだが、それは禁じ手か? 中核派のリーダー、本多延嘉書記長が革マル派に殺される(1975/3/14)と中核派はタガが緩んで急速に弱体化していった。ピンポイント暗殺は効き目があるのだ。
勝った革マル派も今や高齢化で絶滅寸前、共産主義者同盟(ブント)系+社会党系らしい立憲民主党、100年経っても革命できない日共もパワーダウンしているが、老化、劣化による自滅を待つと数十年もかかる。平時の内政ならそれでいいかもしれないが、危機が募るばかりの対中政策においては民主主義的で穏やかな外交ではとても対処できまい。
習近平と側近を排除すれば、血を流すこと少なく、上海閥と共青団派蘇生→改革開放の資本主義復活・・・と中共はそれなりにまともな国になっていくのではないか。良識ある識者は「暗殺のすゝめ」なんぞ唱えれば、これまた良識あるマスコミから「常軌を逸している、暴力は許さない」と総スカンを食うので言えるはずがないので、失うものが何もない小生が代弁した。習近平にお引き取りを願う・・・大戦になるより上策ではないか? ゴルゴ13の出番だが・・・
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